忍城の甲斐姫
- カテゴリ:勉強
- 2012/02/28 00:36:59
現在の埼玉県行田市にあったのが忍の浮き城と呼ばれる忍城。
かの北条氏康、上杉謙信をもってしても陥落しなかった金城湯地の堅城なのである。
その特徴は周囲を沼に囲まれた水の城。これは確かに攻めにくい!
そんな忍城にも天正十八年 戦国界のラスボス秀吉の魔の手が伸びてくる。
北条方の支城として総大将、石田三成率いる3万の軍勢の攻撃を受けるのだった。
こんな小さな城ひとひねりだとばかり数に物を言わせ力攻めを行う三成くん。
しかしその意外な堅牢ぶりにビックリ! 三成くんは考えます。
敬愛する秀吉さまが見せた水攻め あれパクろう!
すぐさま石田堤を作り、利根川の水を引き込んで水攻めを敢行。
丸墓山に陣取ってご満悦の三成くん。
「ふふふ、完璧じゃ!」
しかし悲劇はひたひたと水音をたてて、すぐそこまで迫っていたのです……。
ドォオオン 深夜にけたたましい轟音がしました。
ビックリの三成くん。
「なにごとだ?」
しかしなにが起こったかはすぐにわかりました。
本陣が水浸しになったからです。
実は間者が堤に細工をして決壊をさせてしまったのです。
当然水攻めは失敗。それどころか多数の兵士が溺死するという大失態。
三成くんは頭を抱えました。
「うぅ~ふりだしに戻ってしまった」
そんなボケをかましているうちに、小田原城が陥落しそうだという知らせが舞い込みます。
三成くんは焦ります。
「本城陥落なのに、支城がおとせないなんて…。秀吉様に無能呼ばわりされてしまう!」
そんなことは絶対にプライドが許さない三成くん。
けれど特に良い策があるわけでもなし…。
考えた末、真田昌幸に援軍を頼み更なる兵力で忍城を包囲!
何をするかと思えば、結局は最初の力押しに戻ってしまいます。
「なんでもいいから城を落とせ~」
堅牢な城を再び攻める策無しの三成くん。
けれど、未だに忍城は落ちません。
攻め疲れた三成くん。すると城門がするすると開き美麗な女武者が現れます。
黒駒に跨り小桜縅の鎧に猩々緋の陣羽織、薙刀を構え肩に弓を掛け
その姿はさながら「緋牡丹」と称される 戦国最強の女バーサーカー甲斐姫です。
その姿に、ズキューンとハートを射抜かれた半端イケメン三宅さん。
「愛の力でこんな城すぐに落としてみせる! そしたら嫁になってくれないか? ハニー」
などと口を滑らせます。
現代において半端イケメンが戦場でこんなことを言うのは、
死亡フラグを立てる、という大変危険な行為であるのは周知の事実。
御多分の例に漏れず、TPOをわきまえない彼は甲斐姫により一矢で射殺されてしまいます。
一瞬の出来事に騒然とする兵士達
甲斐姫は名刀「波切」を手に、その真っ只中に飛び込みます。
女だてらに暴れまくると、多くの敵を討ち取り悠然と城へ引き上げていきます。
三成くんもこれには完全に意気消沈。
「あいつ……。なんか怖い!」
そんなこんなでマゴマゴしていると、とうとう小田原城は陥落。
三成くんは、忍城を落とせませんでしたが、命に別状はないのでよしとすることにしました。
「あ~忍城のみなさん!小田原が落ちましたよ~大人しく出て来て下さい」
投降を呼びかける三成くん。しかし…。
ビュン 三成くんの右耳5cm横辺りを矢が通過しました。
甲斐姫は、どうやら三成くんがウソをついていると思っているようです。
「あいつ……。やっぱり怖い!」
三成くんもほとほと困ってしまいました。
すでに敗北した軍の支城ひとつ落とせないなんて…。
このままでは、無能どころか産廃扱いされかねません。
「なんかいいアイデアないか?」
「一族の氏直ってのが降伏してますけど?」
「ソレダ!!」
結局、氏直に説得させ、無事開城となったのだが、このままでは責任を問われかねない三成くん。
一計を案じます。
「氏直カモン!」
「なんでしょう?」
「あのさあ~お前のせいでこの城落ちるの遅れた訳じゃん?」
「いやそういうわけではないかと…」
「お前も豊臣家での僕ちゃんの立場知ってるよな?」
「それはそれは、勿論です」
「後は、わかるな?」
「は?」
「は?じゃねーよ! 出すもんだせって言ってるの! 言わせんな恥ずかしい」
「え~~~!」
こうして、氏直から多額の黄金を巻き上げた三成くんは、それを秀吉に献上し事なきを得たという。
殿いつ、読みたくなっちゃうじゃないですかw
ボケをかますのは殿なんですか?
さすが歴史通よくご存知で~『のぼうの城』や『水の城いまだ落城せず』でおなじみの忍城です。
この城、謙信も攻めあぐねたようで、謙信は最終的には、城下の町を無差別に焼き払うという
非道な戦法で開門させたのですよね…。
甲斐姫はこのほかにも、勇壮なエピソードがありますのでまたの機会に書きたいと思います。
楽しく読んでいただけて幸いですw
10倍以上の兵力差でも落ちなかった歴史上でもあまり例のない戦いなので
三成くんでなくても落とすのは難しかったでしょうね。
三成は、秀吉の子飼いの武将たちからは「あたまでっかち君」みたいに言われてたらしいですからねw
勉強はできるけど、現場では今ひとつだったのかもしれません。
歴史人物は、正解がないのが楽しみの一つですね。
受け手の解釈次第なとこありますから。
楽しく読ませてもらいました^^
歴史のお勉強も、こんな感じで解説してくれるといいのだけど・・・
おもしろおかしく読みました。
生真面目一本の印象があった三成さんでしたが
恭介さんの手にかかると
ドジで、おちゃめで小心者の三成さんになってしまいますね。
エリートで近寄りがたい雰囲気に思っていましたが、
実はどこにでもいそうな普通の人に私の中で変わってきました。
ということは、書き手によって人物像はいかようにでも
変わる?!ということなのでしょうか…。
今までこういう人なんだと思っていた歴史上の人物は、
全然違うタイプの人ということもあり得ますね☆
歴史が楽しくなりました^^
ありがとうございます♪