自作小説 奇跡の降る夜6
- カテゴリ:自作小説
- 2012/01/16 17:01:21
「すみません、そこの商品を取りたいのですが」
「え?あ、すみません・・・えぇっ???」
翔は反射的にからだをよけて、他の客が棚から商品をとるのを眺めて一秒後、棚にずらりと並んだ商品がここが「ペットショップ」だと主張していた。
いつものペットショップだ。
牛丼屋がすでに異次元だったのか・・・どうも私は知らぬ間に異次元に侵入してしまう体質らしい。
翔を見つけた、なじみの店員が声をかけた。
「ご注文の品届いてますよ。今回はお手数かけました」
そう言いながら、きなことチビの餌を袋づめを始めた店員に思わず、翔は
「このお店、移転する予定あるんですか」
怪訝そうな顔をして店員が、袋詰めの手をとめ振り返ると
「いえ、そういうお話は今の所ありませんね。どうかされたのですか?」
「いえ、変なことをきいてすみません。おいくらですか?」
餌の入った袋をぶら下げ、外に出ると
「りょうちゃん、いんこなひび」
声に出してみる。羽太郎は思わせぶりに私を異次元で翻弄するんだね、届かぬ苦情を心の中でつぶやきながら、現実ー私がいるべき世界と時間ーに翔は戻っていった。
(つづく)
インコがいる世界と
この世を理解してゆきますね
確かに、作者の意図を感じるお話の運びって感じですw