自作小説 奇跡の降る夜5
- カテゴリ:自作小説
- 2012/01/15 00:49:36
「伝えたいことがあるんだ」
その声音は、以前涼子と翔が異空間で会話した「りょうちゃん」でもあり、「f-羽太郎」でもあった。
聞き手第で聞こえ方が違うのだと声の波動は二人に伝えてるようだった。
「い、異空間の出来事ですから…」
翔は自分に言い聞かせるようにつぶやいたが、涼子にガシっとしがみついた。
「伝えたいことって何?」
問いかけた「いんこ」な生命体に向かって、涼子は「りょうちゃん」に、翔は「羽太郎」に問いかけた。
「翔ちゃん、あのね、サイトを検索して欲しいんだ。「いんこな日々」で出てくるから」
「い・・・いんこな日々?」
答えたのは翔ではなく涼子だった。それ、私が開設した交流サイトじゃない。自分がいんこになって体験した日々を綴った文章を、涼子がネットに公開したものだ。当然、いんこを題材にした物語サイトとして、マニアックないんこ好きに支持されている。
「知ってるの?」
翔が涼子を振り返ったその顔は泣きはらした自分の顔の比ではないような気がした。
「だ、だってーそれ、私のサイトだもの」
しばしの混乱。時間が歪んでいる場所で言われてもー翔はイライラと声を荒らげた。
「この涼子さんと私は同じ時間を歩んでいるわけでなさそうよ?」
「よくわからない」
いんこも困ってしまったようだ。無理もないー涼子は、さっきまで高ぶっていた感情が収まり事態を理解に頭をフル回転させていた。逆に感情が乱れた翔は涼子と反比例するように冷静さを失っているように思えた。
「私が自分の世界に戻っても、たぶんまだ「いんこな日々」はないわっ!私は今!今、あなたを抱きしめたい!うたろうっ!なのに、またサイトなの?いつ読めるのかわからぬ未来のサイトなんて、あんまりだわっ」
涼子は驚いた。翔は飼っていたいんこと異空間を体験し、再会を望んでいるのだ。交流掲示板にそれと思われる書き込みはあっただろうか?思い出せない。なんというニックネームなのか訊いておこう、口を開きかけた時、涼子にいんこが声をかけた。
「涼ちゃんへのメッセージは、涼ちゃんの実空間にある」
「何それ?言ってる意味がわかんないよっ!?」
「涼ちゃんの幸せが来るよ」
「それだけ?」
「うん」
「私は占いされにこんな異空間にわざわざ連れられたわけ?」
「占いでないよ」
いんこはうまく伝えられずに困惑していたが、いんこを守るように空間がまたぐにゃりと変動した。いつもの日常へ空間が動き出したのを翔も涼子もはっきり理解していた
涼子はしらけた気分になってきた。思わせぶりなこの言葉がメッセージなら、私、占いしたわけでないよ?でも言葉にするのもアホらしかった。
困惑
休むといったですが、自分の中で整理するのに、かきました^^
スイーツマンさん、脱力ですよね、書いてるうちに涼子というか自分なら絶対
言わずにいられないと思いました
実際にグーグルで検索したら9番目に、いつものほっかいどいんこのwww、6章がありましたw 楽しいですねw
ちょっと脱力なオチがいいですね