クーニャの大冒険 その4 ~やりたい事 前編~
- カテゴリ:自作小説
- 2012/01/08 15:43:31
~あらすじ~
子猫のクーニャと未来を予知する少女コノハ。二人はクーニャの本当のご主人様を探して今日も旅を続ける。
広場の片隅のベンチで少年が座っていた。
虚ろな目でただ地面を見ていた。いや、彼の眼には何も映ってはいなかっただろう。
彼は虚空を見ていたのだ。それは彼自身の心の中でもあった。
クーニャ「・・・にゃ?」
子猫がベンチで座っている少年に近づいていった。
クーニャ「にゃ~。やっぱり嫌にゃあ。何か怖いにゃあ。武器とか持っているし」
コノハ「大丈夫だ。この街の武器は大抵安全だ。殺傷能力はない」
子猫と巫女姿の少女が少年の前に立った。
クーニャ「あの~。良かったら小生たちと友達にならないかにゃ?」
少年「・・・」
少年は俯いたまま何も答えなかった。
クーニャ「やっぱりダメにゃ~!これ以上声かけたらキレるにゃ。最近の子供は怖いにゃ~!」
少年「俺はキレたりしない」
少年は初めて口を聞いた。
クーニャ「にゃ?ようやく話したにゃ。小生はクーニャ。こっちはコノハにゃ。お主はなんという名前にゃ?」
ラギ「ラギ」
少年は素っ気なく答えた。
クーニャ達はこの広場で情報収集をしに来たのだ。しかし、時間が悪いせいか人があまりおらず、この少年が広場の外れのベンチに座っていたのだ。
クーニャ「ラギは子供にゃん?なんでこんな時間にこんなところにいるのにゃ?声掛けといてなんだけどにゃ。
学校は無いのかにゃ?」
ラギ「俺は子供じゃない。学校には行ってない」
クーニャ「じゃあ働いているのかにゃ?」
ラギ「・・・」
コノハ「ふむ。つまり、お前は引きこもりのニートというわけか」
ラギ「違う!」
ラギは初めて声を荒げ感情を剥き出しにした。
コノハ「では何をしている?」
ラギ「俺は・・・魔龍騎士だった」
クーニャ「にゃ?」
コノハ「は?」
クーニャ「魔龍・・・。ちょっとコノハ、良いかにゃ?これはあれかにゃ。厨二病というやつかにゃ?まあ実際に中学生ぐらいかもしれないにゃが」
コノハ「うむ。私も初めて見るが、噂に聞くとおり痛いものだな。目も当てられん」
ラギ「おい!俺は真面目に言っているんだ。魔龍騎士で、龍を討伐したこともあるんだ。
そしてこれは秘密なんだけど、実は俺自身も龍だったりするんだぞ!」
ラギは息を切らせながら、そこまで言い切った。
クーニャ「にゃあ・・・」
クーニャとコノハは唖然としたが、哀れみに満ちた眼差しをラギに向けた。
コノハ「分かった。そういう設定なのはよく分かった。それで魔龍ニート騎士様がなんで
昼間っからベンチで暇を弄んでいるのだ?はたから見ると無職のニートにしか見えないぞ」
ラギ「誰がニートだ!ていうかニート騎士なんて変な呼び方するな!・・・俺には使命があったんだよ。魔龍を倒す。だが、もう俺の役割は終わったんだ。だから俺にはもうやる事がないんだ。だから手持ち無沙汰で・・・」
コノハ「お前はリストラされた中年サラリーマンか!・・・はぁ。それで次の職は探してないのか?それとも、ニートみたいに働いたら負けと思っているのか?」
ラギ「そういうわけじゃないが、何も無いんだよ。やりたい事がさ」
クーニャ「やりたくなくてもやるのが仕事にゃ。クーニャの今の主人もイヤイヤ言いながらもしっかり働いてるにゃよ。自分自身やクーニャ達を養うために働いているにゃ。そういうものじゃないのかにゃ?」
ラギ「じゃあさ。もし、宝くじとかで一億円手に入ったら働かなくていいのか?」
コノハ「ったく。これだからガキは。今そんな話をしてるんじゃない。そもそも、お前のような奴が大金を手にしたところで待っているのは破滅のみだ。自分の力で得ていない金は自分の身にならない。そういうものだ。予知などしなくともそれくらいは分かる」
ラギ「・・・分かったよ。でも、ただ自分や家族の生活を支えるためだけに働くのか?それって、なんかなぁ」
コノハ「お前自身何か望みは無いのか?美人の彼女をほしいとか。世界中を旅したいとか」
ラギ「別に・・・」
コノハ「お前なぁ・・・。まずは厨二うんぬんよりもそこを治した方が良さそうだな。幸いお前はまだモラトリアムが許されているようだ。特別に私たちがお前の愉悦を探してやろう」
ラギ「愉悦って・・・。いいよ。俺は俺で探すよ」
クーニャ「良いから良いからにゃ。友だちになった証にゃ。遠慮せずに。それにどうせお主は無職の中年のおっさんみたく公園のベンチでぼ~っとしている他することが無いのだろにゃ?」
ラギ「う・・・」
コノハ「分かったらとっとと行くぞ。お前の愉悦探しにな」
後編に続く
広場の人にご迷惑をお掛けながらのロケハンでした。
昼間は人が少ないと思ったんだけど、お休みだったから意外といたなあ。
この二人は基本暇人です。ニートとか言ってますけどね。
後半はちょっと辛辣な展開になるかも。
これって、自分探しの旅につきあうってことですよねぇ……
暇だなぁ……この二人は^o^
のんびりしていて、この雰囲気好きです^^
写ってしまった方、すみません。
辰年にちなんでって事ではないですが、魔龍ニート騎士ラギ君(笑)の登場です。
今まで変装していたのは、この日の撮影のためです。隠すまでも無かったけど。
う~ん。コノハも十分に厨二的な感じがするが、そこはお気になさらず~。