クーニャの大冒険 その3 ~探し人 後編~
- カテゴリ:自作小説
- 2012/01/04 15:39:36
注)前編と中編があります。
あらすじ・・・クーニャ達はシャラとカミーラという二人の女性と出会った。二人は互いに会いたいと思い探し求めていたが、なぜか会うことは出来なかった。そして、クーニャ達はその謎を解くために再びシャラに会いに行った。
コノハ「分かったか?クーニャ」
クーニャ「にゃ?」
二人は昨日いた神殿と同じ場所に来ていた。いや来ていたはずだったが。
クーニャ「ここはガーデンハウスにゃ。シャラの家にゃ」
コノハ「そうだ」
コノハとクーニャはガーデンハウスの中に入った。
シャラ「お!また来てくれたのか。ま。ゆっくりしてきなよ」
シャラは前と同じようにガーデンハウスの中に居て、クーニャ達を歓迎してくれた。
クーニャ「どういうことにゃ?一晩で神殿がガーデンハウスに変わったにゃ・・・」
コノハ「そうだな。変わったのは家主の心の変化なのだろうな。ここはそういう場所のようだ」
クーニャ「でも、家主って・・・」
コノハ「そうだ。ここの家主はシャラだ。そして・・・、カミーラでもある」
クーニャ「それって・・・」
コノハ「ああ。二人は同一人物だ。昨日も一昨日も私達は同じ場所で同じ人物に会ってたんだ。二重人格ってやつだな。私も初めて見るが」
クーニャ「じゃあカミーラが昔遊んでいたって言ったのは?」
コノハ「おそらく、その頃はまだ二つの人格に交流があったのだろう。二人以外の時しか現れないって言ってたしな。大人になるにつれて二つの人格はそれぞれ自我を持っていき、お互いの交流を閉ざしてしまったのだろう」
クーニャ「そんにゃあ・・・。じゃあ二人はもう会えないのかにゃ」
シャラ「何を二人でぼそぼそ話してるんだ?ここは私んちだぞ。私を除け者にすんなよ」
シャラはクーニャとコノハが二人だけヒソヒソ話をしているのを遠目に見ていたが、長くていい加減に不機嫌になってしまったので、二人に近づいた。
クーニャ「悪いにゃあ。でも、ちょっと重大な事にゃ・・・」
クーニャ(にゃあ?コノハ。この事はシャラに言うべきなのかにゃ?)
コノハ(さあな。まあシャラなら大丈夫かもしれないが、ショックは大きいかもな。何せ自分自身なのだ。それに交流も閉ざしてしまっている。会うことは不可能だ)
クーニャ(でも、黙ってたらずっと分からないままにゃ)
コノハ(だったらお前で判断しろ。クーニャ)
クーニャ(にゃあ・・・)
シャラ「で。今日は何の用だい?まあ用が無くても全然構わないけど。私も暇だしね」
クーニャ「シャラ。カミーラの事は何かわかったかにゃ?」
シャラ「あはは。そんなにすぐ分かんないよ。ていうかそれ、私のセリフだよ。なんで子猫ちゃんがカミーラのこと
聞きたがるんだい?」
クーニャ「うっ・・・。シャラ。よく聞くにゃ」
クーニャは珍しく真剣な顔つき(?)になって、シャラの顔を見た。
クーニャ「シャラ。カミーラは実はシャラ自身だったのにゃ!シャラの心の中に居るのにゃ!だからシャラはカミーラとは会えないのにゃあ・・・ごめんなさいにゃあ」
シャラは黙ってクーニャの言葉を聞いていたが、驚いたという風でもなく、信じていないような風でもなく、ただ真剣にクーニャの話を聞いていた。
クーニャ「シャラ。驚かないのかにゃあ?」
シャラ「・・・いや。なんとなくそんな気がしてたんだ。というか、それが事実かもしれないし、違うかもしれないし。ごめん。よくわかんないよね。ただね。これだけは言わせて。私はカミーラを絶対に見つけるつもりだよ」
クーニャ「何でにゃ!だからカミーラはシャラの中に居るのにゃ!」
コノハ「そうか。シャラ。お前は実際に会ったのだな。カミーラに」
二人の話を聞いていたコノハは割って入った。
シャラ「・・・うん。でもね。それは夢かもしれないし、ただの妄想かもしれない。だけどね、探していれば絶対にまた会えるっていう自信があるんだ」
クーニャ「む~・・・」
コノハ「クーニャ。お前も夢くらい見るだろう?だがな、それは本当に夢か?前にも言ったがここは現実なのか夢なのか実際によくわからない。極論を言ってしまえば、この世界はお前もシャラもカミーラも実際には存在しなく、すべて私の夢の中の妄想なのかもしれない」
クーニャ「そんなことないにゃ!クーニャは実際に存在しているにゃ!」
コノハ「たとえばの話だ。そうすると、シャラは現実では会えないはずのカミーラとこの世界では会えるかもしれない、とそう考えているのだと思う」
シャラ「まあ私はそんな深い考えはないよ。ただ、私は諦めたくないだけ。夢だろうが妄想だろうが、あの子を見つけるっていう思いがあるだけ。そう。大袈裟に言えば、それが私自身の存在意義のようなものなの」
シャラは遠い目でガーデンハウスの外の庭の方を見ていた。
コメント2に続く
クーニャ「にゃはは。かかったな。小生の罠に。そうにゃ。ニャー語を広めるのが小生の使命なのにゃー」
うん。こいつが広めなくても十分世間には浸透してる・・・。
ぷーさん、コメントありがとねー。そして、僕の妄想に付き合ってくれて有難う・・・。
にゃーにゃー語が移りそうにゃ…
ハッ…ww
コメント有難うございます。
会話を削る。本当にそうですよね。会話を削るべきですね。
特にクーニャが関係ないことばっかり言うから。まあ僕がですがww
会話は、どうしても長くなりますね。
わたしは短くしようとするときに、会話の方を削っていきます。
それぞれのやり方だとは思いますけど。
って、長すぎ。会話だけで短くなるように努めたはずなのに。逆に長くなった・・・。
その3完結しました。割と重たい内容になったかもしれませんね。
まあ書きたいように書いてるだけですからね。書くだけで満足です。僕はね。
まだまだアイデアが尽きませんよ~(無駄な)。
個人的にはギャグも入れつつマンガ感覚で読めるような書き物を目指しています。
誰も期待してなくても次作に乞うご期待。
シャラ「何でかな・・・。結局は私もあの子も寂しいんだと思う。私はね。お互いのことを本当に分かり合える人達ってとても少ないと思う。特に私達は孤独だったの。ずっと一人だったの。だからね。私のことを本当に理解してくれるのはあの子しかいないと思ってるの。思っているというか、それ以外にはもう受け止められないというべきかもしれない」
外を見つめるシャラの眼は迷いがないほど真っ直ぐであり、決して意思を曲げないという力強さがあった。、
クーニャ「そうかにゃ・・・」
コノハ「そうだな。クーニャ。もう何を言っても無駄なようだ。シャラの信念を曲げることはもう誰にも出来ないのだろう。そう神様にだってな」
シャラは外に向けていた視線を突然、クーニャ達の方に向けた。
シャラ「何か辛気臭くなっちゃったな。止めようこんな話。そうだ、外行こう外!
子供は風の子。子猫も風の子。寒い日は外で遊ぶに限る!」
シャラはそう言うと、クーニャを抱えガーデンハウスの外に飛び出した。
クーニャ「にゃ?にゃあー!話の途中にゃー!それに猫が風の子なんて初耳にゃー!」
そうこう言いながらシャラとクーニャは外で駆け回り始めた。
コノハ「シャラ・・・。お前の信念は誰にも曲げられない。だがそれはカミーラを探し求めるという心の成れの果ての亡者に過ぎない。心を決めてしまったからにはもうカミーラを見つけ出すまではそこから抜け出せないだろう。お前は探し求めるという名の迷宮を永遠にさまよい続けるかもしれないのだ」
コノハは部屋の中で独り言を言った。
コノハ「まあ。私には関係ないことだがな」
コノハも二人の様子を見にガーデンハウスから外に出た。
コノハ「さ、寒すぎる・・・。今何月だと思ってるんだ、あの二人は・・・。ほんと子供と獣は元気がいい」
シャラとクーニャは相変わらず走り回っていた。
シャラ「そうだー。二人にあったかい紅茶をご馳走するぜー」
コノハ「それは願ってもないご馳走だ。早速お願いする。というか、まずとっとと中に入ろう!」
コメント1に続く
そして、日も落ちかかった頃・・・。
クーニャ「にゃあ。シャラ」
シャラ「なんだ?」
クーニャ「まだまだ全然短い間しか経ってないけど、小生たちだってシャラの事は少しは分かった気でいるにゃ」
シャラ「うん」
クーニャ「だから、誰も自分を理解してくれる人が居ないなんて思わないでほしいのにゃ・・・」
シャラ「・・・そう、だね」
シャラは歯切れの悪い返事をしたが、その瞳は、先ほどのような張り詰めた眼差しでは無く幾分か和らいだものとなっていた。
そして、クーニャとコノハはガーデンハウスを後にした。
コノハ「そう言えば良かったのか?カミーラの伝言伝えてないだろう?」
クーニャ「良いのにゃ!猫づてに伝えるなんてカミーラはおおちゃくにゃ!自分で伝えさせるにゃ。すぐそばに居るのだからにゃ」
コノハ「そうだな」
コノハ「それにしても・・・」
コノハはクーニャを見ていた。
クーニャ「何にゃ?」
コノハ「ただの子猫と思いきや、なかなか面白い猫だな。クーニャ」
クーニャ「どういう意味にゃあ?」
コノハ「何でも無いよ。明日からもきりきり探すぞ」
クーニャ「当然にゃ!」
クーニャとコノハは、シャラの思いを受けとめ、再びクーニャの飼い主を探す旅に戻った。
クーニャの大冒険 その3 終わり