雨の妖精たち
- カテゴリ:日記
- 2011/12/25 21:36:26
雪の妖精がいるのなら、雨の妖精がいても良いんじゃないかしら…
そんなことを想いながら、ナオはふと、窓の外を見やりました。
とある冬の日。
冷たい雨が降り続いています。
お部屋の中は、ストーブのおかげでぬくぬくですが、外は、凍えるほどの寒さです。
(雪に変わるのかもしれないな…)
しばらく窓の外を見ていたナオでしたが、
「さあ、続きをやらなくちゃ…」
そう声に出し、朝から始めた作業を再開することにしました。
そんな時です。
「ねぇ、ここなら座れるよ」
「あ、本当だ」
「一休みしようよ。飛び回りっぱなしで疲れたよ~」
「でも、早くしないと、もうそろそろだよ」
小さな声が聞こえてきました。
声のする方に目をやると…
換気のために開けた窓の細い隙間に、手のひらほどの小さな女の子が二人、腰掛けていました。
二人とも、おそろいの、淡い水玉模様の服を着て、手にはやはりおそろいの雨傘を持っていました。
そして、背中には、透き通るような、羽が生えていたのです。
見間違いかと思い、目をごしごしとこするナオですが、やはり、彼女達は、確かにそこにいました。
「一休みしたら、行くよ。」
「え~、だって雨降ってるじゃない」
「当たり前でしょ。私たちは雨の妖精なんだから」
「でも濡れるのやだよ~」
「私だって嫌だけどさ~。そうも言ってられないでしょ。」
(雨の妖精…?)
さっきあんな事を考えていたので、幻でも見ているのでしょうか。
(雨の妖精なのに濡れるのが嫌いなんて、変なの)
でもまぁ、本人達が言っているのだからそうなのでしょう。
ナオは可笑しくって、妖精たちのお話に耳を傾けました。
「ねぇねぇ、いっそのこと、ここにするってのはどう?」
「うーん、確かに暖かそうだけど…人間がいるんじゃない?」
「こっそり住み着けばばれないよ」
「そうかな~」
そう言って、二人は、振り向きました。
「あっ」
「あっ」
「あっ」
ナオと妖精たちの目が、ばっちりと合いました。
「見つかった!」
「人間だ!」
二人は、慌てて窓の外に姿を消しました。
(えっ、今更?)
どうやら今まで、ナオがそこにいるのに気づかなかったようです。
(妖精って結構間抜けなのね…)
ナオは、吹き出してしまいそうになるのをなんとか堪えました。
なぜなら、妖精たちがまだそこにいるみたいだったからです。
「ど、どうしよう」
「どうするって、他を探すしかないよ」
「はあ、それしかないのか~。やだな~、雨降ってるのに」
どうやら二人は行ってしまうようです。
引き留めようかどうしようかナオが考えていると
「だから、それは私達が…って、あ~!」
「う、嘘~!」
「どどどどど、どうしよ~。もう間に合わない…」
「え~~~っ、やだよ~っ」
二人の慌てふためく声が聞こえてきました。
「こうなったら、もう開き直るしかないっ!」
「どうするの?」
「こうするのよ!」
続きます