あとがき 村上春樹の文章の考察
- カテゴリ:30代以上
- 2011/12/02 22:51:03
このオフ会の文章を書くにあたって「安っぽい村上春樹らしさ」をテーマに意識していた。残念ながら「安っぽさ」だけが目立ち「村上春樹らしさ」はあまりだせたとは言えない。特に後半は自分自身の文章になっていた事実は否めない。
僕の気付いた彼の文章表現上の特徴は以下の通り。
・ダブル、トリプル接続詞の多用
・会話表現と行動/風景表現を交互にバランスよく配置。
・縦書きを意識した構成
・過去形が85%。現在形15%。特に風景表現が現在形。
・本庄さん。僕にはやっぱり彼のスタイルは
レイモンドチャンドラーとかハメットとかのアメリカンハードボイルド
に見えるよ。
・最低限の句読点。
・正しい形容詞の配置の仕方。
・単語の漢字とひらがなのバランスの考慮。
そして彼の奥深い言葉については村上春樹BOTや名言まとめのHPからお借りした。
ただし安っぽさを出すために周囲の文章から浮くような「完全コピー」をしたり、逆に「わたし」を「僕」におき変えたりした。
さて、実を言えば僕はあまり村上春樹の文章が好きな人間ではない。
彼の文章は奥深さを感じる。誠実さも感じる。それは40年以上生きた深い思考の人間が気付くいろいろな真実に基づき、正直に書いているからだと思う。だが、それを一層、二層下において表面のストーリーを組み立てているため、なにかやるせない感じを受ける。文章を読んで考え、読んで考え、しなければならないのが本当にもどかしい。
世界の終わりとハードボイルドワンダーランドなんて6ヶ月かけて上巻を読み、2ヶ月かけて下巻を読み、まだ読み終わっていない。
でも、彼の文章を周りにおいて、ここまでのオフ会ブログを書いてみて感じたことがある。
彼と他の作家との決定的な違いは「書き方」を知っているのではなく「読む行為」の本質を知っていることだと思う。それは「読者」を意識する事とは全く違っている。自分自身の「読む」という行為がどのような行動なのかを研究解析し、思考を重ねた結果なのであろう。「見る」「文字の形を認識する。」「単語を認識する。」「文章の構成を読み取る。」「頭の中で意識する。」「感情に変わる。」といった一連の自分の脳や意識/記憶の動きを知っているからこそ、あそこまで読む人の心をとらえる文章を書けるのだと思う。
彼のこの言葉がそれを語っている。
非常に簡単な言葉で、
非常に複雑な物語を語りたい 。
彼のストーリーテリングに関する考察については、彼の安っぽいエセコピーストーリーを書けるようになってから語りたい。
そっか。感情に訴えるということを主眼において比喩や会話文を使いこなしている。そうであれば春樹さんは僕の持論の「読む行為」の理解だけではなくてその後の言葉が心に届き感情に変わるというところまで意識されているのかもしれませんね。自分の行為に対する思考の結果として。
だからこそ、感情に関して客観視することが大好きな僕には直接心に響いてこないのかもしれません。
こんにちは。コメントありがとうございます。^^
そうですね。感覚で読むのが一番楽しいと思います。でも彼の文章を読んでいると、この人何考えているんだろう。って思ってしまいます。その、この人っていう対象が主人公でなくて著者になってしまうんですよね。物語に入り込めていない。
他の方の本では、出来が悪いと感じたときしか物語に入りこめない現象はないので不思議です。もちろん彼の物語や表現の上質さはよくわかっています。
非常に複雑な物語を語りたい 。
というのは詩歌の世界でもよく言われていることでして
ありきたりでもないけど分かりやすい表現が詩として素晴らしいと私も思っています。
その点で春樹さんは詩的なんですよ。
比喩は論理を越えて感情に直接届くものだと思うのです。
しかも難しいものを使って例えるのではなく
みんなが良く知っているものを比喩にする。
この辺は春樹さんは意識して書いているなと思っていました。
会話文が多いのも感情に直接訴えるからなのかなと。
人が口から発した言葉のほうがより感情に訴えますよね。
難しい分析はわかりませんが、感覚で読めば楽しめると思います^^
「その海は借りてきた猫のように静かだった。」ハルキスト(村上春樹のコピーな人)の比喩表現を揶揄してましたよね^^
レイモンド・カーヴァーさんも大好きです。オススメです。
レイモンド・カーヴァー。読んでみようかな。
僕は村上春樹の文章に気障さはあまり感じません。
なんというか装飾をそぎ落として、言いたい事を言葉の語彙の範囲の中でどのように表すか
腐心している印象があります。
寝たりキスしたり忙しいですよね。春樹さんの本は。
僕も「蛍」とかはあまり考えずに読めたんですけどね。
「世界の終わり…」はよかったなぁ~。全体としてはあの本が一番好きかも。
「ねじ巻き鳥」も部分部分は好きだな。
彼の文章について深く考えたことはなかったけど、最初レイモンド・カーヴァーの翻訳を読んで、文章から伝わる静けさのようなものが気に入って、本人の作品も読むようになりました。
文学というよりはSFとして気楽に読んでるんですけどね。
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』なんて,
(あっ! ネタがバレますので,自粛しますwww)
ちなみに英語版だと,ピンクの孫娘との地中でのキスがありません.