Nicotto Town


てらもっちの あれもっち、これもっち


新たな風景


ウェルカムボードをかかえクワトロさんとともに横浜駅西口に出る。
「喫茶店でも行こうか。」と僕は言った。
「そうですね。どこでもいいですよ。」
駅の前は遅い時間にも関わらず人通りが多くたむろしているグループばかりだった。群衆の間を進み、僕は記憶にあったある路地に足を向けた。数日前にその路地を通りかかった時にモアーズというSHIPSやダイニングキッチンの入ったビルを見つけて、そこには喫茶店もあるだろう。
しかしすぐにそれは間違いだと分かった。記憶にあるお洒落なビルは既に閉店だったし、周りは居酒屋やカラオケばかりで喫茶店がある雰囲気ではなかったんだ。酔っぱらいばかりの路地をしばらく歩き、目の前に高速道路の高架が見えてきたとき僕は自分の失望感が強くなったのを感じた。
「いったん駅のほうに戻ろうか。」
自分の恥ずかしさを感じ取られないように少し力を込めて言った。
「ええ。そうしましょう。」
彼が何を感じたのかは分からなかったが冷静で優しい声は変わらなかった。僕は優しさというものは感情から生まれると思っている。彼のもつ優しさと冷静さの共存はどこから生まれるのか不思議だった。

結局、まささんと初めて出会った「中央北改札」のわきの喫茶店まで戻り、僕たちはコーヒーを注文した。喫茶店は混んでいたけれどウェルカムボードを机の下にしっかりと格納し僕たちはその日、最後の「おしゃべり」を始めた。
 その「おしゃべり」には、まささんや本庄さんも登場したけれども大半の時間は今夜出会った美しい女性達の話題についやされた。男同士でないとできない話だけれども、その夜の楽しい出会いには相応しい話題であり僕たちはその「おしゃべり」を楽しんだ。
女性同士でも同じような「おしゃべり」の存在があるのか僕たち男に確認することはできない。
 そして話題は経験、苦難であるとか人生に移っていき、クワトロさんと僕は客観の重要性について深い部分で合意に至った。それはお互いの理解という意味でも他者の介入を許せない深さでの合意であり、感情的にも満足というシンプルな言葉では言い表せない複雑な状態だった。
何も言わずお互いの目の底を見つめる一瞬があり、そして僕たちは「おしゃべり」を再開した。
出会いの確率について議論がされて合意はできなかったけれども、その確率は0.0001%〜0.0004%と見積もられ、この結果に二人とも満足だった。

僕たちみんなの出会いは宝くじのあたる確率よりも奇跡的だった。
 
喫茶店を出て終電の地下鉄に向かった。僕はJRだったけれどもクワトロさんと一緒に歩きながら話す時間は必要だと思っていた。
「ウェルカムボードを喫茶店に忘れちゃった。」
「いいじゃないですか。ちょうどいいですよ。」
僕はあの喫茶店の深夜営業を知っていたし、あのボードがさらされていることが気になたけれど、歩いている途中で地下鉄でも家の近くまでいけることに気付いて、ボードのことは忘れることにした。
 クワトロさんと僕はホームは同じだが反対方向の電車だった。先に僕の乗る電車が来た。彼に別れを告げ電車に乗った。
 彼に大きく手を振って彼も手を振ってくれる事を期待していたのだけれど、振り返ると彼はすでにホームの群衆の中に消えていた。電車は走り始め僕は彼の客観性を思い出し、それでもなお、その事象は彼の「好青年」という印象を強くした。

出会いは人生に新たな風景を与えてくれる。新たな風景は興味の対象というだけでなく自分自身を興味深い対象に変えていく。

僕はいつもより一つ前の駅で降りた。階段を上ると都会のほのかに明るい闇が僕をつつむ。
いつもとは違う新たな風景のなかで、僕はちとせさんとメル友になる方法を考えながら歩き始めた。

(終わり)

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2011/12/04 09:10
クワトロさん
 では、こうしましょう。
 次のターゲットは僕です。
クワトロさんとちとせさんで相談して、センスの良く、そして僕とまささんを驚かせるレベルのものを完成させてください。ハードル高いですよ。群衆に防御幕はる人がどこまでできるかな?
ふっふっふ。
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2011/12/03 13:20
あ~手を振ってくれていたのですか…すいませんでした。
私、人ごみの中に一人でいると、群衆に対して防御膜を張るような癖があるみたいでして…。

一人になった瞬間からすっと意識が切り変わっちゃうんですよね(;・∀・)

おれは、メッセージボード次のターゲットはちとせんがいいな…(・∀・)


>ちとせさん
ああいうものは誰かに片づけてもらうのがいいという意味のちょうどいいです。
自分で一人で片づけているとちょっと寂寥感来るじゃないですか(^^ゞ
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2011/12/03 01:09
紅蓮さん
 一部、演出も入っていますのでご注意ください。リアルではなくリアル感で正解です。
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2011/12/03 01:08
ちとせさん。
 そうです。そうです。クワトロさんに言ってやってください!
 
 ウェルカムボードの作成に加わるという事はターゲットからは外れたということですよね。
 おめでとうございます!
 とくにデザイン面でのご指導をよろしくお願い致します。
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2011/12/03 01:06
本庄さん
 それが片思いか両想いかは分かりません。二人はもう北海道と関東と遠く離れてしまったし、それを確認するにはニコたは不確実なメディアだから。

偶然にも僕もクワトロさんも飲まなくても盛り上がれる人でした。
本庄さんが飲み倒れなくてよかったです。 (^_^)
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2011/12/03 00:16
なんか、リアル感が伝わってきてとても素敵でした^^
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2011/12/02 23:25
えええ!あのウェルカムボード、忘れてきちゃったんですか!?なんて恐ろしいことを…!
クワトロさん、「ちょうどいいですよ」って何ですか!
でもアレを片付ける喫茶店の店員さんの気持ちを考えると、ちょっと面白いかな、なんて…思います。

あのメール、歩きながら打ってたんですね。おつかれさまです。

そして次回のウエルカムボード制作には是非参加させてください♪
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2011/12/02 22:15
てらもっちさん.

それって片想い?(笑)
せっかくなので,クワトロさんに訊かないとっ!

それにしても,呑んだ後に喫茶店という選択肢はあるんですね.
残念ながら私の辞書に『三次会は喫茶店』はありません.
呑み続けるか,寝るか,倒れるか・・・
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2011/12/02 22:11
いや〜ん!僕の妄想だけかも。 でもそこには愛が。。。。

安心してください。
サッカーは別に書きます。
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2011/12/02 22:00
えっ!? 終わりですか???
翌日のサッカーまでお願いします.<(_ _)>

いや~ん・・・
見つめ合っちゃったんですか???(笑)



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