契約の龍(39)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/05/26 00:35:47
見ると、クリスの「金瞳」が活性化している。クリスが俯いて両手で胸を押さえているがその隙間から淡い金色の光が洩れている。
「私が抑えきれなかったら、悪いが、ここ、遮蔽してくれないか?」
金色の光が、命あるもののようにのたうつ。案内役の二人が後退りするのが目に入る。
「この建物全体に、「封の呪」がかかっているんだろう?」
エルクと称する魔法使いが激しくうなずく。
「外へ出たら、即座に発動して。…早く!」
二人が外へ出たところで、ドアを閉めて、部屋全体を遮蔽する。「金瞳」の触手が、こちらにのびてくる。
クリスがこちらを見て、驚いたような顔をする。
「アレク!?どうして残った!?」
触手がまとわりつくのが鬱陶しい。室内を見回して、何か姿勢を固定する物を探す。
「向こうから来てくれたんだ。これを辿っていけばいいんだろう?当初の思惑とは、ちょっと違うけど、「龍」のところまで行って、戻って来ればいい」
「……簡単そうに言う」
「できる、って言い張ったのは、クリスだ。違う?」
「違わないけど…」
「それに、俺はクリスの引き揚げ役として、ここに呼ばれたんじゃなかったか?」
部屋の隅の方にチェストがあるのを見つけたので、ベッド横に引きずってくる。
「どうぞ、お座りください。立ったままの潜行は、危険ですから」
クリスの横に並んで座り、クリスの頭をこちらに凭せ掛ける。
「途中までご一緒しましょう、姫」
これからさらに緊迫した冒険に!
そしてアレクの幼少の頃も気になります^^
続きもまた楽しみにしています