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HIBRIA LIVE REPORT 2

 そしてジャーマンメタルのお株を取るような、秀逸のギターフ、“Screaming Ghost”である。私はこの曲が2ndの真骨頂だと思う。
 ワウペダルを駆使し、見た目にも派手なタッピングによる短かめのベースソロから、そのまま“A Kingdom To Share”のイントロに雪崩れ込むMarcoの見せ場。この曲ではMarcoの弾き出すボトムラインが何より強烈である。そのバキバキな音像は、IRON MAIDENのSteve Harrisもこれには過ぎじとぞ覚ゆ。ツインギターの麗しいハモリにも涙腺が緩む。琴線に触れるメロディが実に嬉しい。
 間髪入れずに続く“Change Your Life Line”では、コーラスをオーディエンスに要求。しかし声出ず。そのハイトーンを客に歌わせるのは無理があろう。Iuriのヴォーカルはパワフルで衰えを知らず、さらに伸びやかに響き渡る。スキンヘッドの側頭部に浮き出る血管がブチ切れんばかりに声を張り上げている。
 ここでブレイクがあった。1stアルバム再発に追加されるボーナストラックについての説明がIuriからあったが、逸る気持ちが先行してか、スピードスピーキングで良く聞こえない。「PANTERA」などの単語で、客席が盛り上がったりしている。「次の曲はバンドにとって特別な意義を持つ」として始まったのが、CRIMSON GLORYのカヴァー“Painted Skies”。スタンドに固定されたアコースティクギターも登場し、イントロ部ではEduardo(dr)が手でシンバルを叩くという、静かに始まるスローな曲である。緩急自在の楽曲をもつHIBRIAであっても、ここまでスローな曲はアルバムに無い。今後、このような曲調も作ったら、ライヴの流れにさらに幅を持たせ、深みのあるものが出来るのではないだろうか。期待したい。
 途中、Iuriのナレーションも入る、大作指向の“The Faceless In Charge”はヤマ場の一つと言えよう。ソロ前の変拍子が緊張感を産み出す。また、ナレーターの後のスローパートでのスネアのリバーブが絶妙!「ターン」という突き抜け具合をPAが心得ていて、良いねー。わかってるねー、HMの真髄を。 “The Anger Inside”  “Living Under Ice”はギターソロの溜めが良い。若さで突っ走らないので、実に叙情的だ。ツインギターのハモリになっても音痩せの感が無い。ベースラインがヘヴィに組み立てられている。楽曲のクオリティはハイエンドだ。
 「ラストソング!」とはじまったのが、2ndのタイトルトラック“The Skull Collector”。高速ツインのハモリが熾烈を窮める。今を限りの命とて、ノリにノる会場の動きが尋常ではない。この日、最高の一体感が味わえた。ヘッドバンギングに興じる周りの様子を見ているだけでも、体と心が感動で震える。バンドはこのファストチューンでオーディエンス総べてを撃墜。その機体を埋め尽くす程のスカルマークが刻まれたことは想像に堅く無い。日本No.1のメタルシティを誇る大阪の、その称号に恥じない盛り上がりに敬意を表したい。「ライヴ見るなら大阪」の伝説は未だ、命脈を保っている。

 バンドはステージを降りたが、ステージ下は息も絶え絶え。アンコールの要求は少々、弱かったように思う。それでもバンドはすぐにステージに戻って来てくれた。

 アンコール1曲目は“Steel Lord On Wheel”。(ここでは敢えて古代ギリシャなどで使われた戦車をイメージして)戦車を駆る鋼鉄の支配者を歌うこの曲は、MANOWARかJUDAS PRIESTへの宣戦布告か?!実に頼もしい限りである。本編でバテ気味の会場に喝が入る。ベース音もかわらずバキバキで、疾駆する。 楽曲、パフォーマンス、テクニックが渾然一体となったライヴのバランス感覚はもはやクレームのつけようが無い。難癖をつけるとすれば、オーディエンスとのコミュニケーションに改善の余地がある。この曲のサビだったら、大合唱が沸き起こる(歌うことが出来る音程)、という曲の判断を今回のツアーでバンド側は認識出来るのではないだろうか。シングアロングパートの多用でステージと客席の一体感をもっと楽しみたい所である。
 今夜のラストナンバーは“Defying The Rules”。性急なリフの応酬が心地良い。まさにこの突進力が、今のバンドの勢いなのである。会場を左右二手に分けて「Defying the ?」「Rules !」と掛け合いを試みたがオーディエンスに上手く伝わらず、思った効果が上がらなかったようだ。もう少し掛け合いの回数を増やして、会場を上手く先導してもらいたい。場数踏んで、何事も経験だ。




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