秋はホラーにミステリー的ホラー
- カテゴリ:小説/詩
- 2011/11/05 23:38:33
先日読むと宣言したサラ・ウォーターズの『エアーズ家の没落』(上下巻創元推理文庫)
そして買いそびれていた小野不由美の『ゴーストハント』(5・6巻メディアファクトリー)
を立て続けに読んだ感想文です。
まず『エアーズ家の没落』ですが。
エアーズ一族が代々住むハンドレッズ領主館。
二つの大戦のためかつての繁栄は見られず、
冒頭から既に滅びの雰囲気が漂います。
幼少時、館を垣間見ていた中年町医者のファラデーは
メイドを往診したことから知古を得、エアーズ家に出入りするようになり、
そのうちゆっくりとしかし確実に崩壊へ向かう一家に関わっていくが……
ゴシックホラーが一番近い気がしますが、ホラーというほどでもない?
とジャンルすらはっきりと言えない。
なんというか、すべてが曖昧なのです。
ただ濃いw
執拗なまでに描写される館の記述、領主と平民の間にある階級意識、
おちぶれていく領主たちの内情などが、それはもう詳しい。
言ってみれば田舎の領主にすぎないわけですが、
往時はそれでもその地方に君臨していたのに
時代は否応なく彼らの生きる場所を奪っていきます。
そう。この物語の主役は間違いなく領主館。
物語そのものは「どうしてそうなった」とか「直接的な原因や犯人」を
決め付けないまま収束します。
ですから読後感はかなりもやもやするものの、
そこからあれこれ考え出してしまうという、ある意味特異な物語。
思わず自分の推論をノートに数ページ書きなぐってしまったほどw
館とか古い英国とかが好きならば、読んでみてもいいと思います。
小野不由美のかつての『悪霊シリーズ』をリライトして刊行されている
『ゴーストハント』。漫画やアニメにもなりましたが、原本のリライト。
それもこの5・6巻はシリーズ中白眉の怖い話です。
軽い読み口と賑やかな主要キャラたちにほかほかしていても、
じわっじわっどどどどどっと怖くなるのが小野ホラー。
まず5巻『鮮血の迷宮』。
増築に増築を繰り返された洋館での連続行方不明事件を追います。
旧版に比べると館の描写が増え、館好きにはたまらん♪
ただどういうわけか「怖さ」は旧版の方が上です。
いわゆる薀蓄が増えて理屈が先にきたせいかもしれませんが。
……でも十分に怖いので夜間読書はすすめませんw
ましてや長風呂の友にはしてはいけません。
読後の入浴は後悔するでしょう。
6巻の『海からくるもの』。
暗がりで見る表紙が一番怖いwついでに中扉のイラストも怖いw
旧作より断然民俗学的薀蓄が増え、家系図に頭を悩ませることに。
でもそれが今回はまってて面白かったんですが。
つか旧版読んだ時と比べると自分、その手の知識つきすぎw
ただこの巻も恐怖という点では薄れてしまっている印象。
で、旧版読んだ人に聞きたい。
「七人ミサキ」が関わっていたような気がするのは私の記憶違い?
旧版、奥にありすぎて確認できないので。
いっそコミック揃えた方がいいのかもしれない。
次回はいよいよ最終、謎解き回ですね。
今月中旬発売だから楽しみ。
ところでこの悪霊シリーズですが。
評判悪いようだけれど一番怖いのは『悪夢の棲む家』だと思います。
しばらく入浴が怖かったんだぜ……。
『ゴーストハント』、流れは変わってません。
ただ時代に合わなくなった部分とかの修正やら薀蓄の追加やら。
麻衣の口調が少し落ち着いたかも。
ストレートさや勢いは旧作の方がある気はしますが、旧の挿絵を見なくてすむのが嬉しい。
『黒祠の島』は最初が横溝ぽいかとわくわくしてたら肩透かしくらった感じ。
『東亰異聞』はラストにキャラ萌えがきたので満足しました(←ショタ属性あり)w
ドリームステプですb*
これからも、よろしくお願いします<(_ _)>
*<(●´з`)ノ*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。. .。.:*・゚゚・*ヽ(´ε`●)>*
忙しくて読了できずに途中で返しました(^_^;)
リライト版、結構中見変わってるんでしょうか?
黒祠の島(←字変かも?)東亰異聞と途中までは面白いんですが、最後がね~(^_^;)
小野不由美が書くのはホラー云々より、人間が一番怖いと思います。
ネタバレ気にせずだとこれくらいしか語れないのが不満。
読まれるなら『茨の城』が一番面白いと思います。
『屍鬼』は刊行前から吸血鬼ものと知ってましたし、人も殺せるハードカバー上下巻で所持。
パロディというか、オマージュというのですな。
むしろ本家の『吸血鬼ドラキュラ』読んで爆笑しましたw
だって伯爵、おかしいんだものwww
あれは笑えるけど実に大作でうならされました。
『屍鬼』は怖さよりもその立場におかれた人々の意識の変化が面白いかと。
あれって舞台京都なんですよね。
車ですぐじゃん!とか、あのへんなら納得とかでも楽しみました。
『ゴーストハント』私は怖いですけど、合わなかったら諦めてくださいね。
でも誰かがあいづち等をしてくれないと、少し物足りなさを感じるかしら?
取寄せして読みたいけど何日もあとにこの話題を蒸し返しても遅いかな~。
うんにゃ、英国とかの基礎知識がない私の感想なんて求められてないか!? w
でも1度くらいはサラ・ウォーターズの文体に触れてみるチャンスとして読むつもりです。
小野不由美は「屍鬼」で懲りたからなぁ。 最初は面白かったのだけど
あーヴァンパイアオチか…とわかった時点で興醒めして。
ヴァンパイア系は好きだけど、日本の田舎が舞台ではパロディにしか思えない。w
でも、本好きなあずみさんを怖がらせるくらいだから「ゴーストハント」には期待しようかな。
「ゴーストハント」はアニメで見てましたが、あずみさんの紹介されたところまでは当然
話しが進んでないし。 怖い表紙はカバーで隠せますが、中扉のイラストはどーしよう? w