それは、私が22歳のとき。
好きで好きで、どーしようもなかった一つ年上のゆう子さんとのお話。
鼻にもかけられなかった私は、拝みに拝んで、
なんとかデートの約束に漕ぎ付ける。
一生のお願いとかなんとか、
一回きりでいいからとかなんとか、
そんな幼稚な事を云ったような云わないような、、、

デート当日、腕をくんでもらおうと、
腕に三角形を設けて、「どーぞ。」と、私が云う。
すると、ゆう子さんは、お姉さんらしく、でも、けして上からでなく
「けんちゃんは、手をつなぐってかんじ。」
と、私の腕の三角形をほぐして、そっと手をつないでくれる。
子供扱いされたと腹が立つ前に、その手の感触に撃沈。そして、顔は真っ赤。

手をつなぐことが、こんなに素敵なことだなんて、、、

どこをどー歩いたか、どこでどーあそんだか、記憶は曖昧。
ただ一つ覚えてることは、
新宿の高層ビルのレストラン。
そこには、ソムリエ（当時は、そんな人は、ヨーロッパか
銀座あたりにしかいないと思っていた）が、いたのだ。
当然、（歳下であっても）男である私にワインを注ぐ。
私「※○×、、、※○×、、、。」
緊張のあまり、声はひっくりかえり。滑舌は悪い。
川島なお美をもっと見ておくべきだった。（今でこそワイン通だが、当時は？）
何を云ったかまるで覚えてないが、どうあれ、結果は同じ。
その注がれたワインが、注文決定ということは、変わらない。

そのぎこちない態度が、ますます、ゆう子さんに子供っぽく
思われたのではと、私は、ひどく落ち込んだ。
その店のソムリエを本気で恨んだ。
ヨーロッパに帰れって、思った。

が、ゆう子さんは、自分にも注がれたそのワインを飲んで、
「（ボクが一応選んだワインを）ほんと、おいしい＾＾」
と、私に、にっこりほほ笑んでくれたのだ。
ソムリエさん、チケット渡すから日本に戻って来て。
ソムリエさん、永住権発行させるからさ。
ソムリエさん、ぜひぜひ日本に帰化してください。
（念のために、その時のソムリエは日本人です。まー狼狽してるってこと。）

ゆう子さんのしょうがないなで、してくれた私とのデート。それは、
♪お手（てて）つないで、ソムリエと言～え～ば♪　
で、ある。（←なんで、歌になってんねん！）