私の友人が、結婚する前の話。
若かれし彼は、ある女性と同棲していました。
彼の賃貸アパートに、その女性が転がり込んだパターン。
その後、二人の間に、いろいろあって、別れることに。
そのとき、彼女のとった行動は、
彼のノートパソコンを持って、出ていったのです。
あわてた彼は、彼女の携帯に電話し、
「別れたからって、そのパソコンを持っていくのは、
おかしいだろう！」と、云う。
で、彼女は、
「一緒に使っていたんだから、別にいいじゃん。」
と、しばらく平行線の会話。
お互い水掛け論を云い合った末、最後に彼女。
「そういう器の小さいところが嫌いなのよ！」と、捨て台詞。

あー、出た出た。私がもっとも嫌う器の大きい小さい問題。

彼は、その言葉を聞いて以来、器って何？が、脳の中をいまだに駆け回ってるとのこと。
私：「んーーー。それは、まずいね。何がまずいって、
　　　俺もお前も、器は小さいじゃん。」
彼：「うん？」
私：「だから、その器の小さいことに気付かれるとかの問題じゃなくて、
　　　そういう領域に会話がいかないようにしておくってことが大事なんだよ。」
彼：「云ってること、ぜんぜん、わかんない。」
私：「だから、同棲するでしょ。大切にしてるものいっぱいあるよね？」
彼：「あ、あるね。」
私：「みんな押入れの奥深くに、しまっておくの。」
彼：「はぁ？」
私：「隠す場所がなけりゃ、実家に預けるの。」
彼：「えっ！」
私：「例えばさ、大切な大切なWedgwood のカップが、家にあるとするじゃん。」
彼：「うん。」
私：「ある日、ただいまって、家に帰ったら、彼女が、
　　　今日、紅茶飲んでたら、割っちゃった。てへぇ。なんて云われてみろ。どうなる。」
彼：「それは、いらーってする。」
私：「そう、俺ら器小さいから、いらーってするだろ。それで、会話していくと。
　　　器が大きい小さいって話になるんだよ。だから、みんな実家に預ける。」
彼：「う、ううん？」
私：「家に、大事なものおかない。極端な話。家が川に流されたって、
　　　あっそっか、流れたんだ。くらいにしておく。
　　　それが、その領域にいかないってことなのよ。」
彼：「うん、な、なるほどね。でも、パソコン、実家じゃ、意味ないじゃん。」
私：「ばかだなー。天秤にかけろ。エロネットサーフィンと器が小さいと云われるの。
　　　どっちが大事？」
彼：「エ、エロ、い、いや、器が小さいと云われるの。」
私：「そうだろ、だからな、、、、」

と、器の小さい者同士のこの不毛の会話は、延々と続くのでありました。

おわり。