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つぶやきrnao


避難を遅らす「正常性バイアス」その2


こうした心理はどうして働くのでしょうか
危機を認識すると、それに対処しなければなりません
ただちに非常体制に自分を移行させ、それこそ決死の脱出を図ったり、
避難を急がなければならなくなります
それには心理的垣根が高い

そのため まずは危機情報そのものを疑うのです
危機でなければ非常行動をとる必要がないからです
心理的にはそう考えた方がずっと楽で、
人間はついつい楽な思考を選択してしまいます
 
実はこれは人間の心理的防衛機能の一つで、
危機をやり過ごす生活の知恵ともいえる側面すらあります
危機を危機と認識しないでやり過ごしてしまうのです
しかし危機が避難を必要とする場合は、生活の知恵どころか、
これは最も危険な心理的な枷となる
そのため防災心理学では、正常性バイアスというロックの解除を重視するのです
 
またこのため防災心理学では、
人はそう簡単にはパニックにならないことを指摘しています
むしろ恐れるべきは、パニックを恐れる側が、危険情報を隠してしまうことの方にあると指摘されています
これは「パニック過大評価バイアス」といいます
行政の多くが陥りがちな偏見ですが、行政が市民を常に見下しているがゆえに陥りがちな傾向と言えるでしょう
 
ロックに陥った人はそれを解除しようとすると抵抗します
それを認めるのが心理的に苦しいがゆえに
正常性バイアスにはまってしまっているからです

だから説得しようとするとしばしば感情的になってしまう
これに説得者が同じように感情的に対応すると、
ロックはますます強まってしまいます
およそこれが正常性バイアスの特徴
 

正常性バイアスの典型に上げられる事例
中でも象徴的だったのは3月19日発売の雑誌『アエラ』の表紙問題でした
『アエラ』は「放射能がくる」というキャッチを載せた
そして防護マスクした人物の顔写真
http://hikosaka4.blog.so-net.ne.jp/2011-03-19-2
 
ところがこの『アエラ』に、危機をあおるのはひどいというバッシングが強烈に集中 そしてとうとう『アエラ』は編集長のお詫びを出すにいたります
今になって振り返ると、
この表紙は読者に注意を喚起する極めて妥当な内容だっと言えます
誤りがあるとするならば、むしろ「放射能がくる」ではなく
「放射能がきた」にすべきだったと言えます 
3月19日発売だから

この雑誌は販売部数も伸びた
これで3月15日以降の高濃度の放射能を避けられた人もいたかもしれない
僕は今でもいい表紙だった思います
思いだすのは、原発がメルトダウンに向かっていると確信し
避難情報を流し続けた私たちに対し「メルトダウンという脅しに乗るな」
とかいう情報がネットに洪水のように流れ続け
さらに脱原発を主張してきた人々の内部からすら
「今回の事故でメルトダウンは起きない」とか
「パニックを起してはいけない」という言葉が語られたことでした
それほどに正常性バイアスの力が強かったことが分かります
 
認識しておくべきことは 
この正常性バイアスは今なお強烈に働いているのだということ
なぜか
放射能が目に見えず、音もしないからです
韓国の地下鉄の中では 煙がただよってすらきているのに
逃げ遅れてしまった人々がいた
いわんや放射能をやです
これが避難を大きく阻んでいる
正常性バイアスのロック解除こそが必要です
 

では正常性バイアスの解除のためには何が必要なのか
防災心理学が唱えているのは、防災訓練の実施
これは今回の津波被害でも実証されています
防災訓練が行き届いていた地域ほど、事前の避難が進み、
人々が被害を免れることができたからです
そのために日頃から、起こりうる被害を想定した訓練を行うことが、
いざというときの人々の危機回避を可能にするのです
 
では原発災害に対してはどうしたらいいのでしょうか
あるいは今、現在、私たちはどうしたらいいのでしょうか?



またもや、つづく

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2011/10/03 11:31
夕べのNHKの番組を見たよ。

名取市の復興計画が 高い堤防に頼っている面がうかがえたけれど それだけでは どうなんだろう。



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