「ア、ア、聞こえてますか？　ア、ア、」
「オンエアのランプがついてるから、大丈夫なんじゃない？」

「あ、そうなの？ じゃあ、始めてみる？」
「うん。 ドキドキするね」

「オイラ、一度でいいからラジオ放送を、やってみたかったの！」
「うん。 オイラも！」


「皆さん、こんばんは。 時刻は午前２時３０分をまわりました」
「あれぇ？ オイラには、８時っぽく見えるけど？」

「ぶら下がって見てるからでしょ？　そういう人は、腹時計を活用してください！」
「あー、さっき食べたばかりだから、お腹いっぱいでうまく働かないや…」

「もう！ 深夜なんだから、しっかり働いてくださーい」
「はーい。 もう丑三つ時だものねぇ」

「こんな感じで、仲良くやってます～、　あ、そうだ、自己紹介をしておいた方がいいかな？」
「そうだねぇ、その方が親切かもね」

「オイラは、魔法使い見習いのジミーボーヤさんの弟子、黒猫アニーです～！」
「オイラは、密書を配達する、伝書コウモリの モリコーネです～！」

「モリコーネって…。いつ聞いても、立派な名前だよね」
「うん！ よく、映画音楽の巨匠に間違えられるよ！」

「でも、本当は、業界読みなんだよねぇ。 コウモリの！」
「え？ コウモリをモリコーネって読む業界が、どこにあるのさ！ おしゃれすぎる！」

「おしゃれと言うより、シャレかもね？」
「たとえシャレでも、幸せだからいいの～」

「では、この辺で、一曲おかけしましょう」
「はい。 深夜にぴったりの曲です。 ヘンリー・マンシーニの 『ピンク・パンサーのテーマ』 です」

Pink Panther Theme (Henry Mancini)
http://www.youtube.com/watch?v=QeH1SuEG-Ao


「あ、あれ？ エンニオ・モリコーネの曲じゃないの？」
「うん。 だって、よく知らないから…」

「そうだねぇ。 荒野の用心棒や、アンタッチャブル、ニュー･シネマ・パラダイス、海の上のピアニスト
　ぐらいしか、知らないよね」
「けっこう、知ってるじゃん」


「はい。 そういうことで、ニコッとタウンは、３周年を迎えたわけですよ！」
「うん。 このまま５年、１０年と、一歩一歩歴史を積み重ねていって、ほしいよね！」

「と、言うわけで、今日は 『ニコッとタウンと私』 というテーマで、お便りを受け付けていまーす」
「でもー、こんな時間に聞いてくれてる人が、いるのかなぁ？」

「いるよ！ バンパイアとか、オオカミ男とか、魔法使いとか！」
「うわ、特殊な人ばかり…」

「うぉっと！ 早速、メールが届きましたよ！」
「え！ 誰からだろう？ ドキドキだね」

「ええと、３０代のトラックドライバーさんからです！ じゃ、読んでみるね。 なになに、ふんふん、ははは
　なるほどねぇ、ごもっともでございます」
「あ、あの？ ラジオなんだから、ちゃんと声に出して読み上げてもらわないと…、え？ まさか、漢字が
　読めないわけじゃないよね？」

「そんなわけ…、あ！ 誰か起きてきちゃった！大変！隠れろ！ いや、死んだふりしよう、死んだふり！」
「えー？ こんなところでオイラたちが死んでたら、よけい騒ぎになるよ？」

「・・・」
「・・・」

「・・・」
「あ、ジミーボーヤさんじゃん！」

「・・・」
「ねぇ、アニー？ ジミーボーヤさんだよ！　まさか、どさくさにまぎれて、寝ちゃったわけじゃないよね？」

「・・・ え？ あ、ジミーさん。 どうしたのこんな時間に？　寒くて起きちゃったの？」
「最近、朝方、寒くなってきたからね」

「じゃ、これが終わったら、オイラが一緒に寝てあげるよ！」
「うん、添い寝してあげてね。 アニーと寝ると、ぽかぽかになるって評判だよねぇ」

「うん。 いつも、取り合いだぜ！」
「では、この辺で、トラックドライバーさんからのリクエスト曲を、おかけしましょう！」

「あれ？ ”９月に聴きたい曲”なんてのをリクエストしてきたよ？ 他のラジオ番組と間違えてるのかなぁ
　送り返そうか？」
「え？ せっかくだから、かけようよ！」
 
「そう？ では、深夜のトラックドライバーさんからのリクエスト曲です」
「はい。 クレイジー・ケン・バンドの 『せぷてんばぁ』 です」

せぷてんばぁ（クレイジー・ケン・バンド）
http://www.youtube.com/watch?v=_XSNIpfy3rU


「あ、あれ？ イメージしてた曲と、違う…」
「もしかして、とってもハッピーな曲の方を、イメージしてたとか？」

「うん、そうかも。 でも、クレイジー・ケン・バンドの曲は、心にしみるよねぇ」
「うん。心が大変なときは、会社なんて休んじゃえ！」

「そうだ！ 代わりならいくらでもいるんだから！」
「えー、なぐさめになっていないしー」

「さてと、ジミーさん、寝ましょうか。 え？ 眠くなくなった？」
「じゃあ、オイラが、子守唄を歌ってあげるよ！ ♪ねーむれー、ねーむれー、かーわーいーーいー子」

「ちょ、ちょっと！ やめて！ みんな起きちゃうでしょ！」
「あ、ジミーさん、寝ちゃった…」

「コウモリの子守唄、恐るべし！」
「ジミーさん！ こんなところで寝たら、風邪ひきますよ～ぅ！」