お話 「闇の家」その10
- カテゴリ:自作小説
- 2011/08/31 14:36:06
外の雨がいきなり静かになったと思うと、雷が落ちて再び土砂降りになる、あの子の気持ちの揺れがそのまま反映されるほど、力は急速に強くなっているー私が話します、おかあさんがおとうさんに言った。おとうさんは、少しほっとした表情で黙ってうなずいた。
雨と雷が怖くて泣いている私のところにおかあさんがやってきた。私を抱き寄せ、優しく大丈夫よと、私の頭をなでてくれた。
「薄々気付いていると思うけれど、今降ってる雨や雷はあなたの気持ちに反応して起きててしまっているのよね・・・」
「ち、違う・・・」
しかし、雨音が私の心もとない返事を否定するごとく強くなった。
「まるで、あなたの心が天候と同調しているように感じるのでしょう?」
おかあさんはあくまでも静かだった。
「でもね、それはちょっと違うの。あなたに呼応しているのは「闇」そしてその「闇」が天候を変調させちゃってるのよ」
「闇と同調・・・?」
「そう。そして、あなたは闇を操るようになってしまうわ」
「闇を操る?」
「村人があなたをさらった時、あなたはどうやって逃げてきたか覚えてる?」
「・・・闇が来てあたりが暗くなった。雲が出て、あいつの足から離れることができた・・・」
「そうね。あなたが闇を呼んで、闇が来たのよ」
「ただの偶然だよ」
泣きそうになりながら力なく否定するが、自分が心からそう思ってないことは、もうわかっていた。また少し、雨が強くなった。雨は嫌いじゃなかったのに、今は・・・苦しい。
「あなたが呼んだ闇は雨雲を作り、村は水害がでているの」
「うそ・・・」
驚きのあまり声が出ない。間髪を入れず、おかあさんが言う。
「動揺しちゃいけないのよ。また雨音が激しくなったわ。また水害が起きてしまう」
おかあさんは畳み掛けるように言った。
「私も闇を動かす力が発現しそうになったから、あなたの気持ちはよくわかるわ」
おかあさんはぎゅっと私を抱きしめてくれた。
「私が影をやめた理由なのよ。私は闇から出るのをやめた。闇が私の力を吸収してくれている。いつか遠い未来、私自身、闇に同化して消滅するの」
「そんなの嫌だよ!」
おかあさんが私を抱きしめる力がますます強くなった。おかあさんは私を安心させるように笑いながら言った。
「消滅するのは、ずーっと先のお話よ。あなたがいる間は、おかあさんはおとうさんとしっかりあなたを見守るわ」
見守る?私がいる間?おかあさん??
「あなたは人間になるの。この闇の家を出ていかなくちゃならない」
おかあさんの言葉が豪雨と雷と入り混じっていた
(つづく)
いよいよクライマックスなのかしらん???
家族と別れるということは
悲しくありますね
女の子は人間になれるのか・・。
次回をお楽しみに!