Nicotto Town


おうむたんの毒舌日記とぼうぼうのぼやき


お話 「闇の家」その9

その村は、水害に襲われてから気候が突如変わってしまった。
雲の動き、風の流れ、空気のよどみー自然の変化で予測できていた天候が全く意味をなさなくなった。突然の豪雨が頻繁に何の予兆もなく村を襲う。

闇の家でおとうさんは激しい豪雨の音をききながら、事態をどう打開するべきか考えこんでいた。影は、光と物体に依存すべきものなのだ。その影が「闇を作る」力を持つことはあってはならぬのに。
影としてさえ未熟な彼女が「闇」を動かす力を持ってしまったのだ。その結果がこれだ。少女の心に呼応して雲が闇を作り、雨が降る。
「どうしたらいいんだ」
おかあさんが、おとうさんの後ろから、その肩に手をかけた。
「寂しくなりますけど、方法は一つしかありませんわね」
「・・・」
「このままいけば、あの子自身が「闇」になってしまうでしょう。あの子はいい子ですが「力」を自在にできる存在になったとき、あの子はあの子のままでいられると思いますか?」
「わからない・・・」
「私が影をやめて闇の中へ引き籠った理由、まだお話していませんでしたね。影をやめれば徐々に闇に飲み込まれていくことを受け入れた本当の理由・・・」
「人間の男に恋をした気持ちを断ち切るためではなかったのか?」
「もう随分昔のこと、ほんと遠い昔のことだわ」
「あの男の影しかできなくなったほど、君の恋する気持ちは激しかったね」
「影という宿命の自分にあんな激しい感情があったなんて、思いもしなかった・・・愛するというのは激しい感情なんですね、恐怖と同じように・・・」
はっとおとうさんが顔を上げた。

私は外を眺めて少しおかしいと思った。私の気持ちが天候と同調しているように感じるのだ。あの怖かったときのことを思い出すと恐怖で今もからだが震えた。そして雨が激しく地面を叩きつけるのだ。するとおかあさんが、すぐに私の横に来て背中を優しくさすってくれて、恐怖と共に雨音が遠のいていく。すごく「おかしな」現象が自分のまわりで起こってるーそう思った途端、また雨が強くなった。
怖い、怖い、怖い!!!どしゃぶりの雨に雷がとどろいた。

(つづく)


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2011/08/30 18:07
 風呂敷がまたひとつ!ますます立体的な物語になった、楽しい^^ おかあさん、どうからんでくるのかなぁ!
 怖い!っていう気持ちが、音の速さ、時間の早さ、光の速さを越えて広がっていきようですw 先週まで8月のウチの天気もこうだったw
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2011/08/30 16:35
>あんずさん
早いです~(^^;;
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2011/08/30 16:28
どうなるんだ!
ハラハラドキドキ!



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