短編 「闇の家」その8
- カテゴリ:自作小説
- 2011/08/29 14:19:34
目覚めるといつもの闇があって、安心した。おとうさんとおかあさんがベッドの横で私の様子を伺っているのに気付いた。
「怖い夢・・・」
自分の声がかすれていた。長い間、しゃべってなかったみたいに。
「そうよ、ずっと眠っていたから。しゃべってなかったのよ、さ、水分とって」
おかあさんが水を飲ませてくれた。
外でうるさかった雨音が次第に静かになっていくのが聞こえた。雨だからおとうさんは家にいたんだ、まだ半分ぼーっとした頭で納得する。
「怖い夢見たの」
もう一度声に出す。おとうさんがうなずく気配がわかった。
「すまないことをした。おとうさんが呼んで、お前の夢に入ってもらったんだ」
「え・・・」
驚きのあまり声が出ない。怒りが再び湧き上がってくる。雨が再び激しくなった。おとうさんが、言葉を続ける。
「おまえが、夢の中に逃げ込んで出てこようとしなかったものだから、手荒な方法を取らざるを得なかった。すまなかった」
「だって、もう起きたくなかったんだもの」
力なく抗議しながら涙がぽろぽろこぼれてきた。
「あの人、嫌いだ!」
言葉と怒りが吐き出る。
雨がさらに激しくなった。私には理解できなかったが、父が困惑しているのを感じる。私、何も悪いことしていないよ、おとうさん?
おかあさんが私を優しく抱きかかえて、おとうさんに言った。
「これ以上、混乱させられないわ」
「わかった。ただ、安心しろ。あいつは村を出たから」
村を出て行った?
「ほんとに?」
おかあさんが、肯定するように私をぎゅっと抱きしめてくれた。安堵感が少しづつ広がる。
おとうさんがつぶやいた。
「雨雲が動き出した・・・」
私はまだその言葉のほんとの意味を理解していなかった。
「おとうさん、今日は影の練習休んでいい?」
ゆっくり休みなさい、おとうさんは優しくそう言うと、影の仕事に出かけて行った。
(つづく)
さすがに短編といえなくなってきちゃいましたwww
裏話;風呂敷、広げ過ぎました。不自然でなく風呂敷たたむのが課題です(^^;;;
中編のよう
気合いを感じます
わかりやすいし・・・サイコーでっす★
西村京太郎とか赤川次郎とか数ページみたら200ページ先までわかる様な単調な作品より、何倍も楽しいですよん^^