『精霊の世界、星の記憶』 第11話「光と闇の」①
- カテゴリ:自作小説
- 2011/08/25 19:59:52
第二章 アプリコットの野
「光と闇のワルツ」①
花の精霊たちは、ローズ・フローラを囲んでいつのまにか輪になっていた。
風に揺れるようなリズムで体を左右に動かし、和気あいあいととても仲が良さそうである。
「マリ=ローズ・フローラ、一緒に歌いましょう」
とある花の精霊が言った。
「はい、ティア=アネモーネ」
とローズ・フローラは答えると輪の中に入って行った。
そしてみんなと一緒に『花のワルツ』を踊りながら歌った。
まわれ まわれ
花のまわりを
風といっしょに
まわれ まわれ
たのしいワルツ
花のワルツ
さぁ いっしょに
おどりましょう……
「やっぱりマリ=ローズ・フローラいると違うわね!」
と先ほどローズ・フローラを誘った花の精霊アネモーネがしみじみと言う。
「セリア=シルビアと一緒にいる子は、人間かしら?」
と別の花の精霊が聞いた。
「ティア=ポピー、そうです。セイジと言うの」
とローズ・フローラが答える。
「へぇ、不思議ね。また何で人間が……」
とポピーはちょっと右眉をつり上げて言った。
「セフィロス様がお呼びされたそうです」
「ええっ? ウィル・セフィロス(始祖老樹(聖樹)セフィロス様)が!!!」
と静かに聞いていたアネモーネとポピーの声が大きく重なった。
「わたしにもよくわからないけど、セリア=シルビアが一緒なので、だぶん本当のことだと思います」
とローズ・フローラは笑いをこらえながら言う。
「確かに……そうよねぇ」
とアネモーネがうなづきながら言うと、
「うん、そうだね」
とポピーもうなづいた。
「ティア=ローズ・フローラ、あの子わたしと同じくらいかしら?」
と側でずっと聞いていた少し幼い感じの精霊が聞いた。
「うーん、見た目は同じくらいかもね、マリ=フリージア」
とローズ・フローラはお姉さんらしくやさしく答えた。
フリージアは黙ってうなづいて、星史の方をじっと見つめた。
ローズ・フローラは「マリ=フリージアは、セイジのことが気になるみたいね」と思って、ちょっと微笑ましい気分になった。
「セイジ」
と思わずローズ・フローラは声を上げて、星史を呼んだ。
呼ばれた星史は右手を軽く上げて、にこっと笑った。
ローズ・フローラは「あの子、やっぱりカトゥルに似ているわ。とてもやさしく静かな笑い方……」と心が温かくなっていくのを感じながら、星史を手招きする。
手招きされたので、星史はシルビアと一緒に花の精霊たちの輪の中に入って行った。
「『花のワルツ』、とてもいい歌だね」
と星史は花の精霊たちに言う。
「そういえば、セイジのお母さんはシャンソン歌手なのよね」
とローズ・フローラは華やかに微笑みながら、星史を皆に紹介するつもりで言った。
「うん、そうだよ」
と星史は穏やかに言う。
「わたし、シャンソン好きよ!!」
とアネモーネが目を輝かせて言った。
隣で静かに聞いていたシルビアは、
「セイジ、あの歌……えーと『枯葉』?、あれ歌ってあげたら?」
と思わず言ってしまった。
すると星史は少し苦笑いして、
「うーん、あの歌はやめておく」
とシルビアの方に向きながら答えた。
シルビアはちょっと軽率だったかしらと思い、
「あの、ごめんなさい」
と顔色を曇らせながら誤った。
「ううん、別にシルビアがあやまることないよ。あの歌はやめておくけど、別の歌ならいいよ。それでいいかな?」
「うん、ありがとう!」
とシルビアはぱっと顔色を明るくさせて、嬉しそうに笑った。
そのやり取りを見ていたローズ・フローラは「本当に仲が良いわね。でも、本当にあの子はカトゥルに似ているわ」としみじみと思っていた。
花の精霊たちは、人間の子が歌ってくれるということで、何だか楽しそうにしている。
星史はシルビア、ローズ・フローラ、花の精霊たちを見回しながら、大きく息を吸った。
とても嬉しいコメント、どうもありがとうございます♪(=⌒▽⌒=)
星史くんはとてもすてきな歌を披露してくれます☆
続きUPしました。
よろしければご覧ください!! ^^
気になります