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新たに発売される線量計の注意点(エステー)

一般人が手に入れられる線量計で、信頼性を保ったまま、最も低価格を実現したのが、エステー「家庭用放射線測定器エアカウンター」15750円。

エステー報道発表
http://www.st-c.co.jp/topics/2011/000387.html
監修:首都大学東京 福士政広教授
http://www.tmu.ac.jp/stafflist/data/ha/732.html

この機械の最大の特徴は、福島原発事故の被災地を対象に設計してあること。

技術的には二点。

被災地の空間線量を把握するには、
最低でも0.1マイクロシーベルトの単位を計らなければならない。
そのために、0.05μSv/hから表示できる。

福島原発事故による汚染は、主にセシウム137によるもの。
測定値を、セシウム137専用に合わせて設計してあるので、現在の日本の汚染では、比較的精度良く測定できる。

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一般に、輸入の汎用線量計は、放射線医療や、工場などの放射線区域を対象に設計されている。

最初からそこに放射線があるとわかっていること。
作業環境の安全確認、作業中の被曝量の確認。
事故の早期発見と被害の把握。

そうした条件で設計している。

そのために、低価格の機械は、最初から低線量の測定は対象外となっており、現在の被災地の線量では、正確な測定はできない。


これに対して、エステーは被災地専用の設計なので、低価格でも、他の線量計に劣らない測定ができるのが、最大の利点。

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逆に、最大の弱点は、低価格を目標にした設計なので、測定時間が10分近くかかる事。


放射線を検知するセンサーに、汎用部品のシリコンフォトダイオードを使っている。

これは、普段は可視光を検出するもので、明るさの変化を検知する部品。

エステーがどんな部品かはわからないのだが、一般的には、受光部の直系が数ミリから1センチくらいしかない、小さな部品だ。

そのため、放射線がなかなか当たらない。


放射線は、まばらに、ちらちらと飛んでいる。
映画などでガイガーカウンターを見た人もいるかもしれない。そのとき、音が「ぷつ…ぷつぷつ…ぷつ…」と、ムラをもって出ているのを聞いたはずだ。
あの、「ぷつ」一回が、放射線一本がセンサーに当たった音なのだ。

例えば、線香花火に紙をかざしてみて、小さな紙切れを近づけても、なかなか火の粉がかからずに、こげ後はまばらにしか付かない。

しかし、大きな紙なら、たくさんの火の粉が当たる。

同じ放射線量でも、センサーの大きさで測定精度が変わるのが想像できると思う。

エステーの線量計はセンサーが小さいために、長時間測定しなければならない。

そのために、細かい測定は難しい。

同じ理由で、物の表面の汚染を計るのも困難だ。
物体の上に、うっすら埃が被るように汚染されている場合、それを測定しようと思って測定器を近づけても、センサーが小さいために、正確な値はわからない。

偶然、こすれて汚染が落ちている部分に、小さなセンサーがあてられても、低線量しか出ないし、逆に、隅に埃がたまるように汚染が濃い部分を計ってしまうと、必要以上に大きな値を測定してしまう。

なので、例えば野菜の汚染を確認しようと思っても、それが本当に正しいかどうか、誰にも判断できない。

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使い方としては、どこか設置場所を決めて、定点観測するのが良いと思う。

温度計のように考えてもらえば早い。
玄関や、窓辺に設置するのが良いだろうか。

現在の汚染は、水素爆発で放出されたセシウムが主体のため、放射線量は安定している。

エステーの線量計で定点観測すると、何度計っても、ほぼ同じ値が出るはずだ。

なので、逆に、突然数値が変わるような事があれば、原発でなにか起きた事がわかる。

家などで、何ヶ所か場所を決めて、定期的に計るのが、最も効果的だろう。

   —————余談

エステーは家庭用品を製造販売するだけあって、ネーミングがうまいと思う。

「エアカウンター」

この名前だけで、使用目的を明確にしていて、逆に、「物は計れません」と暗示している。

このあたりを承知した上で使うのなら、お買い得だと思う。

小冊子が付いてくる予定なので、それを良く読んで使えば実力が発揮できるはず。

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