『平家物語』に見る陰陽道 10
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- 2009/05/01 23:46:34
○四神相応の地 (巻第五 一 都遷の事)p233
「この地の體(てい)を見候ふに、左青龍、右白虎、前朱雀、後玄武、四神(しじん)相應の地なり。最も帝都に定むるに足れり」
《訳》
「この地の様子を見るに、左に青龍、右に白虎、前に朱雀、後に玄武という四神相応の地である。まことに帝都を定めるのにかなっている」
《解説》
治承四年(一一八〇)六月、清盛により平安京から福原(兵庫県)へ遷都となった条で、平安京の地相は四神相応を有するとしたもの。
四神相応は陰陽五行説や風水思想の地相占術による。青龍、白虎、朱雀、玄武は四方(東西南北)を司る四神、四霊獣である。安倍晴明撰述と仮託される占術書『ホキ内伝金烏玉兎集』には、「東ニ流水有ルヲ青龍ト曰ヒ、南ニ沢畔有ルヲ朱雀ト曰ヒ、西ニ大道有ルヲ白虎ト曰ヒ、北ニ高山有ルヲ玄武ト曰フ。右此四物具足スルトキ四神相応ノ地ト謂フ。尤モ大吉也」とする。 テキストの下段訳注では、東の流水を賀茂川、南の池澤を鳥羽の田、北の丘陵を比叡山とし、西の大道だけは山陰山陽道と明言していない。現在は南を巨椋池、北を船岡山とするのが通説。
なお、四神が前後左右に配されるのは天子南面の思想による。天子は臣下に対する時、易経の思想に基づき、南に面して座った。そのため内裏も南向きに作られたのである。これにより前が南の朱雀となる。
いや、学生時代は知りませんでしたけどね。
「南の池澤を鳥羽の田、北の丘陵を比叡山」というのは、今初めて知りました。