☆「ひかりごけ」武田泰淳
- カテゴリ:小説/詩
- 2011/07/03 00:43:44
なにやらどろどろとした暗い世界を舞台にした小説というのは後を引くことがあります。特に事件を題材にしたものはその解釈をめぐって作者と読者がともにその世界に引き込まれ、葛藤する感じがあります。
これは下記の事件を基にして「人肉を食ったものにはオーラのような光が現れる」という設定で、作者の解釈で人肉食を戦争犯罪に置き換えた小説です。文学的には評価されたということですが、私としては本当の事件の真実を見つめていただきたいと思います。
太平洋戦争中、日本陸軍の徴用船が真冬の知床岬で難波。乗組員のうち生き残った船長と部下の二人は、浜辺の猟師小屋で極寒と飢えの地獄のような状態に陥る。やがて、栄養不足から失明した部下は餓死。食糧の全くない極限状態のなか、船長はついに部下の肉を食べてしまう。遭難から二か月後、体力の回復した船長は凍傷にかかりながらもひとり歩いて人里までたどり着く。生還した船長はわが身を救い、また非常食に食そうとした人肉を動物の肉と偽り里の人に見せたという。奇跡の生還を遂げたと歓迎された船長であるが、春になり事件が発覚すると、一転して罪人として裁きを受けることになる。しかし、その判決は意外にも死体損壊の罪で徴役一年の実刑であった。
詳細は「裂けた岬「ひかりごけ」事件の真相」合田一道著をご覧ください。
映画「ひかりごけ」の中では、三國連太郎扮する船長は生き延びるために殺人を犯します。また、裁く側の笠智衆扮する裁判長をはじめとする面々にも人肉を食した証拠である光が見られるなど作者の言いたいことはなんとなく伝わってくるのですが、どうも的外れな感じがします。
現代においては、戦争犯罪よりも「臓器移植はカニバリズム(共食い)である」というテーマで解釈した小説や映画があればおもしろいと思いますが、いかがなものでしょう?
じいちゃんの話でしたが、南方は、地獄だったようです。
じいちゃんの口癖は、旨いと思って何でも食えでした。
仲間の肉が料理として出された、将兵達は何を思ったんでしょうね。
『臓器移植+犯罪』は最近のニュースでありましたな。人間の身体を切り売りしてる輩は許せませんな><
私もああいう現場にいたら、食べるのかなあってずっと考えてました。