Nicotto Town



レッドツリー


すごく久しぶりの洋書の絵本。

"The Red Tree" by Shaun Tan

ずっと欲しいと思っていた絵本を先月ついに購入したのですが、
飾ったまま、なかなか開く気になれず、ようやくページをめくりました。
オーストラリアの絵本作家ショーン・タンが独特な画風で描いた、
小児うつ病という難しいテーマを扱った絵本です。

赤い髪の少女が、絶望と孤独に塗りこめられた心象風景の中を移動していきます。
少女に名前はありません。
短いテキストが添えられたどの風景の中にも1枚の小さな赤い葉が描かれています。
そして・・・。

小さな赤い葉は、赤と言っても真っ赤ではなく、暗い赤っぽい色です。
何気なくページをめくってしまうと、見付けられないかもしれません。

芸術性の高い心が揺さぶられる素晴らしい絵本です。
孤独の殻に閉じこもる子供たちに。
持て余す心を抱えた子供たちに。
将来の不安や不条理な現実に疲れ果てた大人たちに。

どんよりとした町を歩く少女の上を血の涙を流す巨大な魚が漂う。
“Darkness overcomes you”
一番好きな絵がそれって、自分も病んでいるよなーと、ちょっと思うのでした。


日本版は、今人舎「レッドツリー-希望まで360秒」早見優訳。
現物は見ていませんが、書籍紹介はどうもしっくりきません。
大人の絵本という販売方向は間違いではないですが、子供の絵本です。
副題の「希望まで360秒」は、まるで意味不明です。


ショーン・タンのHP → http://www.shauntan.net/books.html


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