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■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳(29)

■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳 (四)(4)

彼れの傳記は同國人イェーガー(Jaeger)氏のを以て最も典據的且つ詳密のものとする。英譯もあるが、予の此の傳を作る時には手元に無かつた爲め、他書から間接に之に勘校したに過ぎぬ。評論では、イブセンを最も早く最も大膽明快に歐羅巴に推薦したものは、ブランデズ(Brandes)氏である。英譯では『イブセン及ブョルンソン』と題する書に氏の有名な第一印象第二印象第三印象の評論文が收めてある。又最も早く英國にイブセンを紹介した評論家はゴッス(Gosse)氏で、其の文は論集『北方研究』の中に這入つてゐる。されば參考の爲め下に此の二氏の評論文の一節を抄する。其の他にはウヰックスチード(Wicksteed)氏の『イブセンに關する四回講義』ショー(B.Shaw)『イブセン主義の精華』等、また獨乙にはパッサルゲ(Passarge)氏、佛蘭西にはラメイトル(Lemaitre)氏等が第一に讀まるべきイブセン評傳家である。



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*註1:イェーガー
ヘンリック・イェーガー(Henrik Jaeger[#「ae」は合字/1854年〜1895年) のこと。ノルウェーの文学史家、文芸評論家、劇作家。
抱月は「『人形の家』解説」という稿ではイェーガーを「イェーゲル」と表記してもいる。

*註2:勘校
「校」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/kou.jpg

*註3:過ぎぬ
「過」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。

*註4:評論・評論文・評論家・其の文・評傳
「評」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hyou.jpg
「文」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/bun_aya.jpg

*註5:又最も早く
「又」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/mata.jpg

*註6:研究
「研」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ken_togu.jpg

*註7:這入つて
「這」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。

*註8:一節
「節」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/setsu_hushi.jpg

*註9:ウヰックスチード
フィリップ・ヘンリー・ウィックスティード(Philip Henry Wicksteed/1844年〜1927年)のこと。イギリスの経済学者が、ダンテ、アリストテレス、イプセン等ジャンルを超えた研究・評論家としても知られる。

*註10:ショー
ジョージ・バーナード・ショー(George Bernard Shaw/1856年〜1950年)のこと。文中に挙げられている『イブセン主義の精華』は1891年・刊の『イプセン主義の真髄』(『The Quintessence of Ibsenism』)のこと。

*註11:パッサルゲ
ルートヴィヒ・パッサルゲ(Ludwig Passarge/1825年〜1912年)のこと。ドイツの旅行作家、翻訳家。

*註11:ラメイトル
ジュール・ルメートル(Jules Lemaitre/1853年~1914年)のこと。フランスの批評家。『現代作家論』『演劇印象集』等。



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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1

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2011/06/20 00:38
眠いけど読まないと寝れない^^

暑いから減れないね



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