Nicotto Town



哀しい女達

私は彼女を押しとどめようと腕を掴んで押し戻そうとしても、其の腕は細いのに強かった。
私はじりじりと屋上のヘリに追い詰められて行った。

屋上のヘリは私の腰まであったら何とかなったのかも知れないが、太ももの所位しかなかった。

私は「自分が死ぬか、よけて彼女が死ぬのを見てるか」のどっちかの選択を迫まれた。
もう後が無い、私はよける結論をだした。其の途端に涙が出た。そうしながら、最後の抵抗で踏ん張っていた。

彼女の顔は石の面の様に目が引きつり硬直していた。

其のとき先生(男)とあの同じクラスの彼女が来た。
先生に肩を掴まれるとロボットの様に私から手を離した。
先生はワイシャツを脱いで彼女に着せた。生徒の方はスカートを拾うと二人は促すようにその子を連れて行った。その間3人は無言であった。
3人とも私を見なかった。そして3人は屋上の出入り口のドアの中に消えていった。

しばらく一人取り残された私は夕日が近くなってよろよろと立ち上がって、途中から別の校舎に渡り廊下で移り階段を下りていった。

ちょうど掃除当番が始まった頃だった。
踊り場に見慣れた女子生徒が座っていた。例の中1の時に3年のしょぼいツッパリのパシリの二人のうちの一人だった子だ。
私は彼女の横に座って「肩を貸して」と言った。
少し驚いたようだったが「いいよ」と言った。
「泣いていい?」と聞いた。また「いいよ」と言った。
私は泣いた。嗚咽した。涙が止め処も無く流れてきた。
しばらくして、「何があったのか、聞いていい?」と言って来た。
私は事情はいえないので首を振って「いえない」と言った。
「だけど、殺されるか、死ぬのを見るかのどっちを選ばなきゃならなかった」と言って、号泣した。
彼女は私をだまって抱きしめた。

其の辺りから、ちらほらと1年生が掃除をするために其の辺りにうろつき始めたが、二人を見て去っていった。

しばらくして、「ところで何であんたは此処に一人で居たんだ?」とふと思った質問をした。
落ち着いて見ると此処は1年しか来ない階段。しかも特別教室がある隅の階段だったのでめったに人が来ない階段。
態々其処を選んで降りてきたのに可笑しな事だと言う事に気がついた。

しばらく壁側を向いて顔を見せなかった彼女が今度は私に「私も泣いていい?」と聞いてきた。
「いいよ」と答えた。彼女は私のひざに頭をつけて手で顔を覆って泣き出した。

一年の生徒がちらっと覗いては戻っていった。

私は事情を話した。そして其の細い腕が意外と力があった事を言った。普段鍛えてなければあの力は出ないと言った。鍛えている私がそう思った。

彼女はこう言う事だと思うと私を踊り場に寝かせると上に乗って手首を掴んで押さえつけた。「それで抵抗してみてごらん」と言った。
最初は動かなかったが、すぐにピンと来た。
此れは昔妹と喧嘩した体制だ。上になったものがつばをペペペッッと掛ける奴だ。
それなら、こうするといってまず足をしっかりと腰に巻きつけてしっかりと体を固定して、片手をじわじわと自分の耳に何とか持っていく向こうは元に戻そうとする力を利用して少し戻すと反対にまた耳に近づけるそれを繰り返して一気に手を自分の顔ぎりぎりに反対の方向に持っていく両手が同じ方向になったところで、ごろごろと転がって体制を逆にする。
つまり自分が上になる。
手首を捕まれていようが居まいが、上になったほうがつばを掛ける。

此れは妹といつもやっていた取っ組み合いの一つ。
難無く、それをやって見せて、妹の喧嘩のつばをぺぺぺっとの話で二人は笑い転げた。

やがて二人はおきあがって彼女は言った。「その子は毎回毎回抵抗して居たんだと思う」
「どうしてそうおもった(それが解った)?」の質問に少し間をおいて意を決したように、あの事件の一番最初は私なんだと言った。

私にも男から誘いの電話が来た事件だった。

アバター
2011/06/16 00:24
其の時はまた別の事件が学校に起きていて、学校は私は「まだ大丈夫、ただし要注意」位の位置に置かれていたんだと思う。

アバター
2011/06/15 21:54
結局、先生は来たんだ。

でも、おいてきぼりですか。
その後のフォローもなし?

なんだか、釈然としないですね。



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