Nicotto Town



女の子を連れての再婚は慎重にの続き

兎に角自殺は食い止めた。

誰も居ない屋上でしばらく座り込んで居た。
自分の体力の全部を使い切った感じがした。
僅かな残り火で其処に座っていた。
彼女は完全にあの私が引っ張るブラウスの襟首の僅かな部分で全身を支えていた。
何せ彼女の足が私の目の視界に入っていたから。

彼女が何を思ったのか、足を次第に下に下ろしたのは後で考えると一瞬気を失ったからで、下ろしたので屋上のヘリに太ももが乗ったので、私が最後に爪がつぶれるかもと思いながらグイッっとひっぱたから今度は斜め下になっていた体が横になってこっちにきた。

彼女の肩にブラウスが伸びているのが目に入った。屋上のヘリに彼女の腹が乗っかった所で限界。
其の時は彼女は気を戻して自分で少し戻って立ち上がって、よろけた。
其処に私が屋上のヘリと彼女の間に割って入ったのだ。


後で解ったのだが、自分が死のうとするのを邪魔をする私も敵に入ったのだそうだ。
それまで顔しか知らない人を命をたすけ様として敵になるなんて、殺されるところだった。

彼女は自分を生んだ母親に裏切られていた。母親は自分を乱暴している事を知っているのに男を選んだのだ。自分を男に出してまで。
世界の総てが彼女の敵になったのだ。

結果的に彼女は声を失った。声帯がブラウスの襟首で圧迫されて声が出なくなったのと、それは1時期で元に戻っていったが彼女の声は出なかった。
後は本人の問題だった。

寮は其のとき大変な状態になっていた。
生徒達は彼女を守るための「火をつけるぞ」と脅かされても残ると決めたが、事情を知った親達が子供を迎えに来ていた。学校に抗議をする親も居た。自分の子供を巻き込ませるつもりかとその子を寮に入れたことへの抗議だった。

其の親達を攻めるのは酷だろう。其の位自分の娘を大切に思うのが普通だと思う。他人の子がどうなっても究極自分の娘だろう。

勿論子供に説得されて自宅にかくまいたいという親も居た。場所が地方なら探せないだろうとの判断で、娘と離せるなら、自分達が其の危険をかぶってもと言う判断かも知れないが。それを理解できる。自分の子の安全のためなら身代わりになってもと言うのが親だろう。

だが、現実に娘の体を差し出して、男を選んだ母親が居たのだ。
其の娘が世界の総てが敵だとしたって攻められるか!?

でも、命を助けようとした私は死ぬことの邪魔をしたので敵になった殺される所だった。

私は座り込んで動けなかった。誰かがきっと動けない私を優しく起こしてくれると信じてまっていた。

だが、結局誰も来ないとなんとなく解った。

そうか、そういうもんなんだ・・・・と思った。
つまり私は彼女より、ずっとずっと幸せな人生を送っていると判断されたのだ。
誰も手を差し伸べてこないほど、幸せなのだ。
つまり世の中には、もっともっと不幸な人が居る。それでも生きている。

今は例えば東北の震災の人達、一人一人を考えて欲しい。それは理解できるだろう。

其の時は、私を決して男に差し出さない母親が居る。
男から電話が掛かってきたら、薄間の横、ドアの側、廊下の隅と複数の大人が隠れて聞き耳を立てている。その後に執拗に内容を聞く「厳しい取調べ」が始まる。
下手な口を利くもんなら暴力が出る。
それは幸せな事なのだ。それは物凄く幸せな事なのだ。泣けてくるほど幸せな事なのだ。

親に捨てられる子供に比べたら、ずっと幸せな事なのだ。
私は少し泣いた。ほんの少しだけど、意味がわかない涙が少し出た。

アバター
2011/06/16 00:19
先生は来た。まさかそんな状態(スカートが脱げてブラウスがはだけて)と言う状態だとは知らないから、男の先生を読んできたと言うか、兎に角彼女は一番最初に見つけた先生を呼んできた。

ず~っと後で彼女は引き取ったアメリカ人の先生に促されて私にお礼を言うために合いたいと其の同じクラスの友人(彼女を見張る係りの一人)が言ってきたけど、どうしても自分を殺そうとしたあの顔が出てきて会う気にはなれなかった。
それよりも自分は彼女を見殺しにする決断をした事が大きくて会えなかった。

彼女もず~っと後だったから、それまで其の決心が付かなかったのだと思う。
結局二人は会わなかった。
でも風の便りと言うか、同じクラスの子から事情はつどつど聞いた。

寮から出さざる得ないほど、親からの苦情は提言がされて会議会議で、だけど彼女を引き受けると言う先生は日本人には居なかった。結婚している先生は家族(家族に危険が及ぶ)がいたし。独身の先生は学校を休んで一日中心神喪失状態の彼女の面倒を見れない。
其の点アメリカ人の先生の決断は早くて最初からゆるぎなかったそうだ。「学校を休んで彼女を家に引き取ります」と宣言したそうだ。日本が解らない先生と英語が日常会話が出来るほど堪能でない生徒での閉じこもった生活が始まった。買い物は引き受けるという毎日先生の家に通うと言う英語堪能の生徒が複数申し出て、それ以外に寮で面倒を見ていた数人の生徒が時々顔を出して和ませると言う事になった。

声帯がつぶれていたんだけど自然と元に戻って、それでも声が出ないのは精神的ショックで、学校側は母親に精神的ショックで声が出なくなったという医師の診断書も見せて当面学校で面倒を見ると納得させた。

更に父母の中にかなりの権力(たぶん企業の取引先なのか?)を持った人にまで、話が行ったらしく、何故か義父が連日寮や学校にかけて来た電話が来なくなった。裁判に訴えられると学校は生徒を返さざる得なかった。新聞に父母の良い様にリークされたら学校の評判も落ちるだろうし、色々脅されていたみたい。

アメリカの先生のがんばりは折れそうな学校や生徒を叱咤激励してがんばったみたい。
アバター
2011/06/15 21:51
う〜ん、道連れにされる可能性がすごく高かったんですね。
ほんと、命がけですよね。

で、結局先生とか来なかったんですか。ちょっとひどいと思いますね。

普通だったら、表彰もんですよ。
新聞に載って、全国から激励の手紙が来たりするのが、本当ですよ。

すごいことだと思います。



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