『精霊の世界、星の記憶』第9話「薔薇の花の雨」②
- カテゴリ:自作小説
- 2011/06/11 18:14:59
星史とシルビアは、黙ったままローズ・フローラの次の言葉を待っていた。
「森を削ったら、そこに生きていた木々を殺すのよ。木々だけでなく、草や虫、鳥たちも……。木々は空気をきれいにしたり、酸素を作ってくれているのにね。魚の住めない湖、川で家をなくした魚たち、川の流れは速かったりゆっくりだったりするからいいのに……。真っ直ぐにしたら、魚は住める場所がなくなっちゃうの。そうやってだんだん首を絞めていくのよ、自分たちで……。でもね、わたしたち精霊も生きているの。だから、一生懸命に自然を復元していこうとがんばっているの。それなのに、わたしたちの力以上に、人間が破壊していく方が大きくて速いの。人間たちが滅びて行く前に、わたしたち精霊が先に滅んで行く……」
とローズ・フローラ言い、お茶を一口飲んだ。そして、
「人間なんか滅んでしまえばいいのにね、そう言ったらカトゥル・フイュは『人間がいるからいいこともあるんだよ』と言っていたわ。この精霊の世界の自然は、人間の世界の自然とリンクしているの。この薔薇の花園もね……、この花園はわたしの命でもあるの。この花園守るため、カトゥル・フイュは人間の世界に行ったの。そして、殺されたのよ」
と語るように言い、ローズ・フローラは泣き崩れていった。
星史は社会科の勉強で、環境のこととか公害のことを勉強したことを思い出した。
骨が曲がってしまった魚の写真、絶滅してしまった狼や朱鷺という鳥、花……、次々と脳裏に浮かんできた。
星史は立ち上がり、ローズ・フローラの肩にそっと手を置いた。
「ぼくにはどうしたらいいかわからないし、どうにかできる力もない。だから、ごめんなさい、これだけしか今は言えないけど……。でも、ぼくが頑張って勉強すれば、何か方法があるかもしれない。小さい力でも、少しはよくなるかもしれない」
と星史は大人びた顔をして、ローズ・フローラに静かに言った。
ローズ・フローラは驚いて、顔を上げ星史を見つめた。
星史は黙ったまま、やさしく微笑みながらローズ・フローラを見ていた。
カトゥル・フイュの面影がふと星史の姿に重なり、ローズ・フローラは思わず、
「カトゥル・フイュ」
とつぶやいた。
強い風が一瞬青い空に吹き上げ、薔薇の花びらが宙を舞って星史たちの上に降り注いできた。
それはまるで薔薇の雨が降るようで、カトゥル・フイュの心が感じられるような穏やかでやさしく温かかった。
カトゥル・フイュは四つ葉の精霊、どんなに摘み取られても幸福を運び、やさしい心を届ける使者、心を閉ざしてしまっていたローズ・フローラの心にやっとそれが届いた。
とっても嬉しいコメント、どうもありがとうございます☆(=⌒▽⌒=)
人間の受信機、アンテナへ・・・・・・・発信し続けます♪
破壊は一瞬ですが、創造には時間が多くの時がかかると思います。
人の手が加わることによって破壊されていく森もあれば、人の手によって甦る森もあります。
日本は緑多い豊かな国、緑は山・森・林・・・・・・、森はたくさんの栄養を持っており、そこに降った雨が川となり
海へ流れ込みます。
いろいろな栄養分の持った水で、その栄養分によって海の生物たちは生きています。
そして森は、木々は酸素を作るだけでなく、蒸散をします。
その蒸散の水分によってクールダウンされています。
森のなかが涼しいのは、その蒸散作用なのです。
森は失ってはいけないものであり、美しいお花畑も失ってはならないものだと思います!^^
とっても嬉しいコメント、どうもありがとうございます☆(=⌒▽⌒=)
毎年夏山をどこかしら歩いています。
地球温暖化により、高山植物たちがさらに高山化しているのを感じます。
高山には遺存種も多く、これ以上高山化できない生物もいます。
さらなる高山へ逃げられない以上、進化をして対応するか、絶滅するかであります。
「共存」という言葉よりも、「共生」という言葉の方が好きです。
共に存していればどのような形でもいいとは思えず、やはり共に生きていく方がいいと思いますので!^^
人間はちゃんと「受信機」を持っていて、それをほかへ伝える「何らかの手段」だって持ち合わせているのに
ちゃんと、何かを造り出す事もできるのに。
以前友達の誰かが言った「創造と破壊は紙一重だよ」は、一方的な破壊を許すための良い訳だった…とは
思いたくないです(私の友達に、悪い意味でこんなことを言う人はいませんよ~。)
そうしないためにも、「小さなできること」を、と思います。
しかし不思議なのは、誰が言ったのかが、どうしても明確には思い出せないこと。
議論してたわけじゃないのに…それとも夢で聞いたのかな??
今回の話しはなんて悲しく、奥深いものなのでしょうか。
人はなぜ破壊せずにいられないのでしょうか。
私も話を書きますが、よく精霊と人が共存しているものを書きたくなります。
遠い昔にはきっとすべての生きとし生けるものが調和しあって暮らしていた時代もあったに違いないと信じているからです。
それなのに、いつの間にか人間は孤立してしまった気がして仕方ないのです。
人間ってこれからどう進んでいくのでしょうか。
このお話しでその答えが私自身で見つかればいいなと思っております。