Nicotto Town


✪マークは作り話でし


✪遊園地 7

何千・何万もの鏡の中に映っていた物は、
懐かしいものたち・いとしくて・せつなくて・たまらない気持ち。

その鏡は大・小・四角・三角・細長いものだったり色々な形をしていた、
私が案内されたその場所の鏡に映っているもの、
それは、
こわれかかった椅子や机・服や自転車そのほかさまざまな日用品だった。
そして、それにまじって人間も映っている。
ひとつの鏡にひとつずつ、身動きもせず静かにうずくまっている。
眼を閉じて眠っているのだろうか?、それとも・・・。
私は顔をしかめた・・・、どうもその鏡に映っている人間に見覚えがあるのだ。
人間だけではない机や椅子も服も自転車も、
その他すべてのものに見覚えがあるような気がする。
とてもかすかな、触れれば消え去ってしまいそうなかすかな記憶。
昔のことなのだろうか?、どうしても思い出せない。
「やぁ、元気かね」
ふいに背中で声がしたので、私は驚いて振り返った。
「こっちだょ」
鏡の中のかっぷくのいい初老の男が私に微笑みかけていた、
手には山高帽にステッキ黒いコートを着てる。
「ああ驚いた・・・・、口が聞けるんですね」
「当然じゃ君と同じ人間じゃからな、同じと言ってもまるで同じというわけではない」
「と・・言うと」
「わしらは失われた鏡の世界に住む人間なんじゃ」
「失われた・・・」
「人間の記憶の中の底に沈んでしまって、すっかり忘れられたものたちってことじゃよ」
私はこの初老の男とどこかであったことがあるような無いような、
「わしの事を思い出してもムダじゃよ・・・」
「名前を・・・名前を聞けば思い出すかも知れない」
「ムダじゃ、思い出されることがないから失われた鏡の世界の人間なんじゃ」
「教えてください思い出しますから、何処で何時頃あったのか?」
「君はわしを思い出すことは出来ない、何故なら君が生まれる前だからじゃよ」
「私が生まれる前・・・・?」
私はまたまた?マークのオンパレードが始まってしまった。
「そもそも君は、なぜ自分が自分なのだろうと考えたことはないか、
人間は誰でも、その人を忘れてしまったもので出来ているんだ。
鏡の世界の人は、いわば、人間の存在の材料なんじゃょ」
「存在の材料・・・?」
「そうじゃ、人間が自分という事に執着するのは。
記憶の海の底に沈んだすっかり忘れてしまったものを、
私たちが抱いているからなんじゃ」
「それじゃ、あなたたちは私達の材料なんですか」
「そぅじゃょ、私達がいなければ君は存在しない。
ある日の黄昏時、わけもなく寂しくなったり憂鬱になることがあったら。
それはほんのひと時、私達が眼を覚ましたから。
初めて会った人に、
妙な懐かしさを憶えたり自分の分身のように感じる事があれば、
それはお互いの記憶がここで出会っているからなんじゃ」
サラは黙って私たちのやり取りを隣で聞いていた、
「君もいずれ、どこかの海の底で誰かのための失われた記憶になるんじゃ」
「私が・・誰かの・・ですか」
「誰かが君を探していて、ここの遊園地に呼んだようじゃな」
「それは誰です?」
私は不意に電報・・招待状の事を思い出した、
それは私をここに呼んだ謎の人物がいるのか、
ますます謎が謎を呼んでいて頭はパニック状態寸前だった。
初老の男は最後に「青い鳥を探せ」とだけ言った、
「良かった・・、少しはヒントを得られたようね」
サラが会わせたい人って、それは私の遠い遠い記憶だったのか。
私とサラはその初老の男にお礼を言ってミラーハウスを出た、
次の目的地はどこなんだ?。
遊びに来たはずなのに、まるで自分探しの旅のようになっている。
私は自分と言うものを知っていたつもりなのに、
ここに来て初めてわかったような気がする。
私はサラに聞いた「ねぇ青い鳥って、本物の鳥のことかな?」
「うん・・・だと思う、ここに連れてきてくれたピエロに聞いたことがある。
その鳥は透明な紅い卵を産むという人の言葉がよくわかる伝説の鳥だって」
えー!! そんな鳥いるのかょ・・まーここでは何でもありか・・・、
二人でお喋りをしながら歩いていると水銀灯の並んだ踏切にたどり着いた。
その先にはブルームーン鉄道と書かれたひとつの駅舎がある、
「この鉄道・・何処に行くのだろう?」
「招待された人によって駅名が変わるから、わからないわ」
「えー!! そうなんだ」私は鉄道駅の中に入り行先を見てみた、
すると三つ先の駅の名前がブルーバードになっていた。
「サラ見て見て・・駅の名前が青い鳥だょ」
「うん、これはもぅ・・・乗るしかないね」
駅舎の構内には黄色いレモン色のランプに光がともった珍しい形の列車が止まっている、
私達はその列車に乗りブルーバードへ向かった。



アバター
2011/06/09 20:24
パンさんコメントありがとう。

そりゃあ~読めてるでしょ。
アバター
2011/06/09 19:37
読めてるかな・・・?
アバター
2011/06/08 10:10
パンさんコメントありがとう。

書けてるかな・・・? 。
アバター
2011/06/08 09:06
おもしろいな^^
我思うゆえに我あり^^ 
続きが気になるなる^^
アバター
2011/06/07 21:51
紅蓮さんコメントありがとう。

後半に続きます・・・。
アバター
2011/06/07 21:50
二人静さんコメントありがとう。

新たなる展開にご期待を。
アバター
2011/06/07 21:41
続くの???続きがあってもおかしくない展開だよね!!
アバター
2011/06/07 21:12
遺伝子に組み込まれた 記憶 かな・・・・・。

さぁーーっ!。
メーテルリンクの世界? へ・・・・・・参りましょう。
アバター
2011/06/07 17:32
こねずみさんコメントありがとう。

ばーちゃんの家にも三面鏡ありました、子供心に楽しくて何度も見て動かしてました。
アバター
2011/06/07 17:30
ジョニコさんコメントありがとう。

さて・・結末はいかに・・タコに・・。
アバター
2011/06/07 17:29
めるさんコメントありがとう。

これを仕事中に考えてたら・・・仕事になりませんから~~~。
アバター
2011/06/07 17:28
美砂さんコメントありがとう。

見つけたら幸せが来るんでし・・・そぅ・・考えてます。
アバター
2011/06/07 14:17
こどものころ、三面鏡を合わせ鏡にするのが好きでしたね~。

青い鳥、駅・・・大昔の豊川悦司のドラマを思い出した。
アバター
2011/06/07 13:00
現在の自分の行いを振り返れば、それが自分です。そして未来は、今考えて行動しようとしている自分をみつめれば分かります。ジョニコは、この世に生かされている意味があると思っています。自然の一部である人として生まれたのだから、相手を思いやりながら日々を大切に生きていかなきゃな、なーんて思ってます。
なんだか、まじめモードに入っちゃいました^^;ちゃら~ん! 
素敵な結末を期待して、、出発進行~☆
アバター
2011/06/07 11:47
ミラーハウス私も入りたい。
記憶に会ってみたいなぁ~。

これ仕事中に考えているんかい?^^
アバター
2011/06/07 10:45
ブルーバード見つけたら何が起こるのかしら♥
アバター
2011/06/07 07:08
あびにゃんこさんコメントありがとう。

上手くはないって、たまたまこれがそう見えるだけだから。

アバター
2011/06/07 07:07
うらんしゃんコメントありがとう。

書いていて何言ってんの~~~って思ってます、それくらい曖昧なんですょ言葉なんて。
アバター
2011/06/07 04:52
お正月にみたDVDを思い出したよ。
あれもなにか訴えたいものがあったんだろうなぁ・・・・
ブラボーさんのが上手いわw
アバター
2011/06/07 03:26
やっぱり 流石ブラボーしゃん。

しみじみと ブラボーしゃんのブログを読み始めた頃の感激を思い出したよ。
 (あっ生意気?失礼^^;;;あはは)

やっぱ ブラボーワールド サイコーだねw 
アバター
2011/06/06 21:59
さけ美さんコメントありがとう。

もーもーそんなに持ち上げても何にも出ませんからね、

ここに来て読んでくだされば・・・それで充分でし。
アバター
2011/06/06 21:38
ここのミラー。映し出されてるもののくだりで、何故かわぁっと泣いてしまったよ。
懐かしすぎて、哀しすぎて・・、さ。肩 ふるえてたワ。

そのミラー住人との会話。すっごく分る。だってそうだもの! そうなんだよねっ!
そしてね。私は娘が前世の話をしてた幼い頃、「優しいカラスに助けてもらった」と
聞き、〈鳥〉は助けてくれる存在なんだって、信じてるんだ。

それにしてもブラしゃんの文章表現、深いなぁ〜。
縦組明朝体、しかも、活版印刷、の本形体で、このお話を読みたいです。
アバター
2011/06/06 21:28
みかんさんコメントありがとう。

懐かしい街角や物って、誰の思い出の中でも生き続けていますよね。
アバター
2011/06/06 21:27
モモさんコメントありがとう。

また私の蜘蛛の巣に一人かかってしまいましたね。
アバター
2011/06/06 21:25
エマニ―さんコメントありがとう。

あんまり深く考えないでください、ほとんど勢いで書いてますから。
アバター
2011/06/06 21:19
見覚えのある物・・・いくつか覚えているものがあります。

乗っていた三輪車、赤いはなおの下駄、七五三のかんざし、七夕の短冊、風鈴の絵、昔の洗濯機・・・

そんな懐かしいもの達を今さっきまで忘れていました。
アバター
2011/06/06 21:18
早く 続きが よめるといいなぁ〜

この世界に 引きこまれそうです^^
アバター
2011/06/06 20:37
深いなぁ~
ファンタジーのお話なのに、自分の人生を振り返ってしまったわw
アバター
2011/06/06 20:00
雪子さんコメントありがとう。

思いでは美しいままで・・ね。
アバター
2011/06/06 19:59
まやさんコメントありがとう。

ふふふふ・・・・。
アバター
2011/06/06 19:42
ブルーバード、ブログに書いたけど、好きだった人の車
思いだしたじゃないか。
アバター
2011/06/06 19:36
鵜飼の鵜みたいやなあ~><
アバター
2011/06/06 19:32
まやさんコメントありがとう。

赤い糸の伝説は探し探されですから、糸で結ばれたまやさんは旦那さんが探していたはず。
アバター
2011/06/06 19:29
くーやさんコメントありがとう。

私もこんなこと書いてるくせに、ホントはナ~ンにもわかってないんでし。
アバター
2011/06/06 19:27
ゆかりさんコメントありがとう。

物語はとりとめのないままに続きます。
アバター
2011/06/06 19:11
私も誰かに探されるってことがあるのかな?
これからどうなるのかな~楽しみにしてるよ^^
アバター
2011/06/06 18:52
夕飯作りの合間に、読みに来ました^^

自分探し、か~~昔は必死でやってたけど、いつの間にか、やめちゃったな。。。

探しても「自分」ってものは結局わからない、と思ったからかな・・・

興味深いですね・・・ワタシも「?」だらけですw
アバター
2011/06/06 18:40
太郎を探してるのは誰なんだろう
サラだったりは・・・しないか。
もう会ってるもんね^^;

でもいいなぁ、過去の何かとか誰かに探されてみたいです^^
アバター
2011/06/06 17:51
おおちゃんコメントありがとう。

想像が膨らみ過ぎて収集がつきましぇん。
アバター
2011/06/06 17:50
鄙千代さんコメントありがとう。

案外簡単に帰れちゃうんでし・・魔法ですから。
アバター
2011/06/06 17:40
 いろいろ頭のなかで、想像しながら読んでるよ^^
 自分の事って、案外 他人の方が知ってるかもね^^
 続き楽しみにしとくねぇ♪
アバター
2011/06/06 17:38
すご・・
ちょっと行ってみたいけど
帰って来れなくなりそうなブラボーワールドだね^^
冊子にして送ってw



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