■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳(17)
- カテゴリ:その他
- 2011/06/01 23:56:58
■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳 (三)(7)
イブセンが諾威を去るに至つたのは種々の事情もあつたからであらうが、其の一理由として當時自家の四圍に不快を感じたといふ事は事實であらう。ボーイセン氏が此の間の消息を叙述してゐるのは、之れをゴッス氏の記する所に比するに、稍惡い方面のみに傾き過ぎてゐるかとも察せられるが、面白い節がある。曰はく、
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クリスチアニアはたゞ一の大なる村落の廣がり過ぎたるもののみ。讒誣中傷の巣窟にして、精神的生活の状態は極めて劣等なり。予みづから千八百六十四年より六十九年まで彼の地にありしかば其の頃の社交的風調べをばよく記憶す。十萬の村落民は以て一の都市を作るに至らず。諸事について判斷の標準は卑く小さく偏狭なり。
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*註1:事情
「情」の正字体。「月」は「円」。
*註2:消息
「消」の旧字体。旁の「ナオガシラ」は「小」。
*註3:叙述
「述」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註4:記する所・所謂
「所」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tokoro.jpg
*註5:過ぎて・過ぎたる
「過」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註6:面白い節
「節」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/setsu_hushi.jpg
*註7:巣窟
「巣」の旧字体。「巛(マガリガワ)」+「果」。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/sou_su.jpg
*註8:精神
「精」の正字体。旁の「青」の「月」は「円」。
「神」の旧字体。扁の「ネ」が「示」。
*註9:状態
「状」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/jyou.jpg
*註10:社交
「社」の旧字体。扁の「ネ」は「示」。
「交」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/kou_majiwaru.jpg
*註11:風調
「調」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/cyou_shiraberu.jpg
*註12:記憶す
「記」の俗字(か?)。旁が「己」ではなく「巳」。
なお、「ゴッス氏の記する所」の「記」は旁が「己」となっている。
*註13:都市
「都」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/to_miyako.jpg
*註14:諸事
「諸」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/syo_moro.jpg
*註15:判斷
「判」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/han_wakaru.jpg
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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
げるさんの方も揺れたの平気かな
面白い説良くわかんないね^^