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■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳(8)

■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳 (一)(8)

ブランデス氏曰はく、イブセンは好んで強く逞しく才能充實せる一男性を中間に立て、之れに一は猛烈にして男らしき性質の婦人、一は柔和可憐にして女らしき性質の婦人の二人を配す。カチリーンを怖ろしきフリアと優しきアウレリアとの間に置けるが如き是れなり。また『ゾルハウグの饗宴』に於いてラグンヒルドとレギッセとの間にグートムントとを置ける、『海豪』に於いてヒョールデヰス[#「ヰ」は小文字]とタグニーとの間にジグールドを立てたる、『ブランド』に於いてゲルドとアグネスとの間にブランドを立てたるが如き皆同じき例なり。云々。



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*註1:ブランデズ
ゲーオア・モリス・コーエン・ブランデス(Georg Morris Cohen Brandes/1842年~1927年)のこと。デンマークの文芸批評家。『一九世紀文学主潮』『ロシア印象記』等。

*註2:強く
「強」の俗字。旁が「口」+「虫」。

*註3:婦人
「婦」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hu_tsuma.jpg

*註4:配す
「配」の俗字か(?)。「酉」+「巳」。

*註5:饗宴
「饗」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/kyou_ae.jpg

*註6:ラグンヒルドとレギッセとの間にグートムント
手元の資料では『ソールハウグの宴』の登場人物に3名の名前はない。抱月が参考にしたのはブランデスの英訳本と思われるので、その過程でノルウェー語名が英語読みになる可能性もあるが、あまりにもかけ離れている。ブランデスの書きまちがいか、英訳者のまちがいか、抱月のまちがいかは不明。
ちなみに手元の資料での登場人物名は、ソールハウグの当主名は「ベンクト・ガウテソン」、その妻が「マルギット」、妻の妹が「シグネ」だ。

*註7:『海豪』
日本に紹介された初期には『ヘルゲランドの海賊』と訳されていたらしいが、現代では『ヘルゲランの勇士たち』と訳されている。
また文中の登場人物名「ヒョールデヰス[#「ヰ」は小文字](=アイスランドの部族長・エルヌルフの養女)」「タグニー(=エルヌルフの娘)」「ジグールド(=怪力のバイキング)」はそれぞれ現代では「ヨルディス」「ダグニィ」「シグール」と一般的には訳されている。

*註8:『ブランド』
現代では『ブラン』と訳されている。原題は『Brand』。登場人物名はブラン以外は現代でも抱月の表記と同じ。

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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1

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2011/05/15 18:04
読んだ、今日暑いね寝てたよ昼ね



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