Nicotto Town



『精霊の世界、星の記憶』 第6話「花たちの歌」①

「花たちの歌」


 星史は貫けるような真っ青な空を時々見上げなら、シルビアと永遠に続くと思われるようなお花畑を歩いていた。

太陽の光があちこちに自由に飛びまわっていて、花たちが時々すごくまぶしく見えた。

なめらかな風が花たちに時々吹き、花たちは嬉しそうにゆれている。

そして、優しく温かい、楽しそうな歌を歌っていた。

星史にはどんな内容の歌なのかはわからなかったが、何だか心がほっとするような歌で、陽だまりのようだった。

 お花畑では、鼻が慣れてきてしまっていたが、時々肌に優しく触れる風が、甘酸っぱい香りを湧き起こしてきた。

星史は何だかこの香りが、とても懐かしいように感じられた。

目を一瞬閉じてみると、ふと幼いころのキッチンが思い浮かんできた。

――そうだ……。この香りは……お母さんがよく入れていた紅茶の香りだ!

星史は思いっきり息を吸い込んだ。

――懐かしい。ティーカップに浮かんだ白い花びら……。砂糖が入っていないのに、どことなく甘い紅茶、あの甘酸っぱい香りが口の中に広がって……。「あら、星ちゃんにはまだ早いわ。一口だけよ」って言いながら、「熱いからふぅふぅするのよ」ってお母さんがよく飲ませてくれた。絵本の中の時間みたいな香りが、飲んだあともしばらく口の中に残ってて……。そしてお父さんには内緒で食べたリンゴのお菓子……、そうだ……あれはお母さんが焼いてくれたアップル・パイだ!

星史は思わずハミングをしだしていた。

――Raindrops on roses and whiskers on kittens(レインドラープス オン ロウジズ ァンド ゥイスカズ オン キトンズ)

Bright copper kettles and warm woolen mittens(ブライト カパ ケトルズ ァンド ゥオーム  ゥラン ミトンズ)

Brown paper packages tied up with strings(ブラウン ペイパ パキジズ タイド ァプ ゥイズ ストリングズ)

These are a few of my favorite things(ジーズ アー ァ ヒュー ォヴ マイ フェイヴリト シングズ)……

それは星史のお母さんがよくキッチンで歌っていた歌、「The Sound of Music(サウンド・オブ・ミュージック)」の中の歌だった。

シルビアは星史のハミングに聞き耳をたてて聞いていた。

何だかとても楽しそうに、シルビアも星史のハミングに合わせ始めていた。

星史は急にシルビアのハミングが重なってきたので、驚いて隣を歩くシルビアの方を見た。

するとシルビアはそれに気がついて、星史の方を向いてにこっとした。

星史は小さいころお母さんに合わせて歌っていたのを思い出し、

Raindrops on roses and whiskers on kittens

 Bright copper kettles and warm woolen mittens

 Brown paper packages tied up with strings

 These are a few of my favorite things

 ……」

と歌い始めた。

歌い終わると、シルビアがパチパチパチと拍手をしてくれた。

#日記広場:自作小説

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2011/04/28 21:45
>若草さんへ

こんばんは!(^-^)/
とても嬉しいコメント、どうもありがとうございます☆(=⌒▽⌒=)

紅茶はアプリコット、杏の香りです♪
杏の白い花びらがブレンドされ、杏の花の香り付けがされています^^

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2011/04/28 00:34
紅茶の香りはどんな花の香りなのでしょうか



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