「どぉ～も～、金のボーヤです」
「こんにちは、銀のボーヤです」

「静まれ～、静まれ～ぃ。 この桜吹雪が目に入らぬか～！」
「うん。見事な、満開の桜だよね！ さすがは、ニコッとタウン！」

「だろ？ 今がちょうど見ごろ！」
「うん。 でも、いつ来ても見ごろな気がするけど？」

「こんな感じで、仲良くやってます、金銀ブラザーズですよ～」
「そーですよ～。でも、今日は、金銀ブラザーズ＆ファミリーズですよ～」

「そーですよ～。みんなで、お花見に来ているんですよ～」
「え？こんな時に不謹慎？ そんなことはないよ。菅総理も、自粛を自粛しましょう って、言ってたしー」

「うん。 ニコッとお花見を楽しみましょう！ あ、ジーヤ、太巻き食べる？ 温かいお茶も、あるからね」
「ボビーボーヤの好きな、卵焼きもあるよー。 ジミーボーヤは、おだんごにする？」

「オイラ、この日のために、ちゃんと下見をしておいたんだから！」
「おぉ！ 金ボーヤにしては、用意周到だね」

「そして、これをゲットしたの！」
「え！ どうしたの？もらったの？ 知らない人から、物をもらっちゃいけないって、言われてるよね？」

「それが、知らない仲でもないの！」
「え？ どういうこと？」

「下見をするんで、ニコッとタウンまで歩いて来たのね」
「今の時期、散歩も気持ちいいよね！」

「そしたら、コインが落ちてたの！ 銀ボーヤだったら、どうする？」
「この状況で、もらっちゃう！ とは、言えないよね？」

「だろ？ だから、交番に届けようと思ったわけ」
「金ボーヤにしては、いい心がけだね」

「だろ？ でも、もしかして、コインに見えても、チョコレートって可能性もあるわけじゃない？」
「そう？ コインに見えたら、たいていコインなんじゃん？」

「でも、念のため、かじってみようと思ったわけ」
「え？ 落ちてるものを、拾って食べるってどうなの？」

「オイラも、一瞬そう思ったの。 そしたら、手から落ちてコロコロ～って、転がって行っちゃったわけ！」
「おぉ！ 不幸中の幸い～」

「でもねぇ、そのまま転がって、池に落ちちゃったの！」
「うわ！ なんか嫌な予感…」

「そう思うだろ？」
「うん、そう思う！」


ぶくぶくぶくぶく～

（あ、池の精が現れた！）

「おい、そこの小僧！ お前が落としたのは、この金の５円玉か？ それとも、この銀の１円玉か？」
「え？ お、オイラが落としたのは、銅の１０円玉ですけど…」

「正直者のボーズには、このかにパンをやろう！」
「え、あ、ありがとう！　やったー！今日のは、袋に入っていて、ふやけていない～！」

「では、遠慮なく食べるがいい…」

ぶくぶくぶくぶく～


「あのね、池の精は、釣堀の精のサブアバなんだって！」
「え？ ナニソレ？」

「と、言うわけで、これがゲットした、かにパンでーす！」
「おぉ！ラッキーだったねぇ！　って、それ、賞味期限が切れてるよ？」

「え？ そこまでは、見てなかった…。 残念、食べられないじゃん」
「じゃあ、取り替えてもらおう！」

「え？ そんなこと、できると思う？」
「オイラに、任せろ！　えい！」


ぶくぶくぶくぶく～

（あ、池の精が現れた！）

「おい、小僧！ 何度も何度も、池に物を落とすんじゃなーいッ！」
「え？ お、オイラ、池に物を落とすのは初めてですけど…」

「なんだ、銀色の方か！ それでは聞くが、お前が落としたのは、この金のかに缶か？ それとも、
　この銀のかにカマか？」
「え？ オイラが落としたのは、賞味期限が半年も過ぎている、かにパンですけどー」

「正直者のボーズには、この銅の５００円玉をやろう！」
「え、あ、ありがとう！　やったー！」

「では、遠慮なく使うがいい…」

ぶくぶくぶくぶく～


「って、銅の５００円玉って、ニセ金じゃん！」
「え？ そう？ レモン汁で磨けば、ピカピカになるよ？」

「そうなの？ じゃあ、帰ったらやってみよう」
「さっきねぇ。ここに戻ってくる途中に、急に目がかゆくなっちゃったの」

「え？ もしかして、花粉症なんじゃない？」
「そうかなぁ？ たまたまかもしれないよ？」

「銀ボーヤは、血液型がＡ型だから、デリケートすぎるんじゃん？」
「そうなのかなぁ？ まぁ、とにかく、かゆかったから、目をこすっちゃったの！ そしたら、ランプの精が
　現れたの！」

「え？ ランプの精 って、どういうこと？ 目をこすったんだよね？」
「うん。 それでね、一つ願いをかなえてやろう って、言ったの！」

「え！ そうなの！ 何をお願いしたの？ 地位？ 名誉？ それとも、世界平和？」
「ううん。 違うよ」

「じゃ、何をお願いしたの？」
「目がかゆいから、目薬をくださーい！ って、お願いしたの！」



「あ、あれ？ どうする？ ボビーボーヤしか、笑ってないけど？」
「いいんじゃん。一人でも、笑ってくれる人がいれば、オイラ幸せよ？」

「ねぇ？ ランプの精に、おもしろいオチをくださーい！ って、お願いした方が、よかったんじゃん？」
「かもね！」