✪奇妙な日 完
- カテゴリ:30代以上
- 2011/04/06 19:55:05
「いい風」、
異界から戻った左近は霊木の前でしばらくの間たたずんでいた。
海が太陽の光を浴びて乱反射している、
さわやかな現世の風を受けながら左近はしばし思を馳せる。
こんな穏やかな日はすぐに思い出してしまう、
・・・・・わたしが心から愛した彼の事を。
わたしが彼と結ばれてから、もう随分と長い年月が経った。
それでも何一つ色褪せる事なく鮮やかに去来する、
彼との思い出。
交わってはいけない人とあやかし、楽しかった短い日々。
あの頃から街の姿も随分と変わり、そこ住む人も変わってしまった。
「そろそろ行かないと、待ちくたびれてあくびが出てる頃ね」、
彼のいない異界は何の魅力もない・・・でも彼との思い出はある。
そう、わたしの家族と呼べる人がいる、そして知り合いも。
年をとらないわたしはたまにこの子に会いに来る、
「・・・・・ここは、変わらないね」わたしの言葉にルンは笑顔で微笑んだ。
「左近姉さんがいつ来てもいいように、ここはわたしが守ってます」、
彼と初めて出会った森も緑でいっぱいになってる。
「そうだ、左近姉さんの知ってるあの人に赤ちゃんが出来たんだって」、
「本当、それじゃ今度会いにいかないとね・・・」。
ルンはわたしが異界に行ってる間に起った現世での出来事を、
楽しそうに話してくれた。
わたしの「家族」たちに起った、様々なことを。
そぅ・・・今のわたしには、たくさんの家族がいる。
あの異界から幾星霜・・・・わたしは多くの人と知り合い、友人になった。
永い時間の中で、みんなはわたしの「家族」になっていった。
それはまた多くの死別をわたしに経験させられたけど、
それでも生命は紡がれていく。
彼らの子供も、また家族として笑顔をわたしに向けてくれる。
たくさんの守りたいもの、あたたかいものがそこにはあった。
そして・・・お茶のお代わりをもらおうと、わたしは昔の話を始めた。
ルンに会うとどうしても昔話をしてしまう、
わたしが一番幸せだったあの頃のことを。
毎日みんなで笑い、泣き、怒り、喧嘩もした。
それでもいつだって、わたしと一緒にいてくれた。
わたしの一番大切な家族だった、
ここでみんなと一緒に飲んだお茶の味をわたしはいつまでも覚えてる。
「それじゃ・・・ごちそうさま・・ルン」、
「え…? まだいいじゃない」。
名残惜しいけど、わたしにはまだ行くところがあった。
またの再会を約束して、わたしはこの場所を後にした。
「ただいまー」、
わたしは思い出のいっぱい詰まったここで、そう呟いた。
・・・・・・・お帰り、左近、
そんなあなたの声が、聞こえたような気がした。
わたしたちが住んでいたこの家、ここもほとんど変わっていない。
絶対に忘れられない、あなたの笑顔を思い出す。
ここの住む家族たちは、今はもういないけれど・・・。
ここに来るたびに、わたしは思い返してしまう。
彼との幸せだった日々を、それと共に彼の死を看取ったあの時の事も。
優しい彼が死んでしまった時、わたしは泣かなかった。
彼は笑顔でわたしの手を握りながら、この世を去って行った。
だからわたしは・・・・哀しまなくて済んだのかもしれない、
わたしが哀しみの心で満たされては彼は安心して行けない。
その時わたしのお腹の中には、新しい命が芽生えてた。
守りたい家族が他にもいて、わたしは耐えなくてはいけなかったから。
月日が過ぎても、彼を失った哀しみは完全には消えない。
でも・・・わたしは哀しみに押しつぶされたりはしない、
新しい、守るべきものたちがいる。
・・・・・ふっと背後で無邪気な声がした、
わたしをひいばあちゃんと呼ぶ愛おしい声。
振り返るとそこには黒髪の青年の姿が見えた、
どこか少しあの人の面影を持った青年が外から手を振っている。
彼との間から生まれた子から、さらに受け継がれた生命。
彼が最後に残した言葉の正体、
生命は・・・・紡げるょ。
それが、私の孫だった。
人妖としての遺伝子は受け継がれず、ただの人として子供は生まれた。
わたしたちの子供の誕生を祝ってくれた、あの家族はもういない。
でも、彼の子供や孫、他の家族たちの子供も今、
あの家でまた暮らしている。
わたしのため、わたしがいつでも大勢の家族と一緒にいられるために、
大きな家は改築されたのだ。
「わたし・・・・本当に幸せだったょ」心の中で彼に叫んだ、
生命は紡がれていく・・・・哀しみはあるけれど。
その分ちゃんと幸せもめぐり会えるから、
喜びも、哀しみも、全てがわたしの中で生きる力に変わっていく。
それはわたしに笑って生きてほしいと願ってくれた、
家族みんなのあたたかい思いがあったから。
そんな思いを胸に、これからもわたしは生きていく。
永遠を・・・・大切な、家族と共に。
わたしは心から笑顔を浮かべて、家族の待つ家へと歩き出した。
ただいま…みんな。
なんたって最終回でしから。
ブログの一番最後に一があるょ。
なんだか切なく愛おしい命の流れを感じる物語ね・・・
帰る場所があるっていいね。
同じだね、私とにゃはは~ん。
そういえば私もブログ書きながら泣いたりしてる。
思い出したり、感きわまったり・・。
今回の最後は飛ばし過ぎました。
ニャハハ~ん猫ミミじゃないでし。
私は小話を書いてる時色々な事を思い出します、これもそうです自分で書いていて涙が出ました。
変な奴でし。
よかったわ♥
左近ちゃんたち幸せに愛し合ったんだね。
お子さんは、猫みみなの?
もうすぐ、子供たちが大きな声で「ただいま~」と帰ってきます。
それが、とても愛おしいのです。
家においで!! 。
家族って、いいなー。
あんまり考えすぎないの、サラッと読んでチョ。
また新しいお話考えますょ。
タイム!! ジャンプ!! 。
還る場所が欲しいよ;;
命を紡ぐ鎖のひとつに。
皆そうやっておおきなうねりの中でいきてるんだね。
考えすぎるとだめだね。
半年前は もっと素直な気持ちで読んでいたのになー
昼間また読んでみるよ、深夜はダメだね・・余計な事館がちゃってさ。ブツブツ
もう〈完〉にしてしまうの?
だめよ。
その子供らたちは、未来に
向ってるんだもの。
一緒に、小さき子らの
これからを、みて、いこうよっ!!
半年戻るのか・・ わかりましたw
感覚で読んで見て、インスピレーション。
ただいまーっていい響きですょね、心がホンワカするもん。
あたりまえになると、幸せって気づかなくなるもの。
毎日、お寿司食べてたらお寿司食べれる幸せがなくなっちゃうもんね。
未来の子供たちのために、乾杯。
面影は受け継がれていきます。
抱っこしたかったなぁ~。笑。
一を書いたのが半年も前ですから、ほとんどの人は忘れているでしょう。
ちなみにブログの一番最後が一でし。
忘れたころにやって来ました。
最初からファンタジー全開のストーリー展開。
紡がれる命。
今までにない感じですね!
「命は・・・紡げるよ。」すてきな言葉だね。
あなたと呼べば…はぁーぃと答える。
左近さん・・・・・懐かしいなぁ。
んーー1回じゃ いつも理解できない物語だ。^^;;;;;;
そう答える家族がいるシアワセ^^
ただいまーと言える家族が入る幸せ。
ついにこの物語も終わりになりました・・・って終わってたかと思った。
うまれてきた奇跡と色んな思い出が、今いきてる証ですね^^