Nicotto Town


おうむたんの毒舌日記とぼうぼうのぼやき


4月お題/桜「朝もやの中で」

あれは、故郷を離れていつだったろう?
故郷を離れてから、桜の名所といわれる故郷にその時期、帰宅したことがない。いつも葉桜ーたまの帰宅は、普通の木にしか見えぬ時期ばかり。それでも愛おしく感じるのは、自分の感傷にすぎない、と彼女は思うー思っていた。

ある年、真夜中のドライブで渋滞を避けて故郷にたどりついた時、久しぶりに桜を観ようと思いたった。
観光客や花見客でごったがえす桜は見飽きていたけれど、今の時間なら…、ふとそんな気になって彼女は、実家を通り過ぎ、まだ誰もいない朝もやの満開の桜の中に降り立った。
ちょうどピークを過ぎた直後の桜は風のザァッーという一吹きごとに、その花びらが朝もやの中で渦巻き、ダンスを繰り返した。渦巻く桜の花びらは、故郷が大嫌いでここから脱出するんだと思い続けていた過去の自分を走馬灯になって映し出した。

荘厳で圧倒的な美しさのその光景。初めて顧みるその故郷の圧倒的な桜の乱舞と幻影の中で、彼女は声も出ずに立ちすくんだ。桜の乱舞はいつまでも人生に迷う自分自身と重なった。
「でも、私は、こんなに美しく乱舞できない」
思わず出た言葉さえ桜の花びらの舞いの中に消えていった。
ここはどんなに否定しようと彼女の生まれた土地であり故郷であることを彼女は初めて気づき愕然となる。
どれほどの時間、桜の舞いの中にたたずんでいたのだろうか?

車に乗り込むと彼女は、ゆっくり花びらの乱舞のアーチをかいくぐり、実家へと向かった。
(おわり)

アバター
2011/04/05 23:33
桜と自分を比べてしまう主人公の気持ち・・・とても痛々しく感じた反面、一瞬で散る桜の鮮やかなはかなさは人にはマネられないものですよと伝えてあげたい気持ちが湧いてきました。
アバター
2011/03/30 19:58
桜を見ると、心がザワザワします。

今年の桜は去年の桜と変わらず、美しくきれいに咲いています。私はそんな桜を見るたびに去年の自分と現在の自分はどう変わってしまったのかを考えずには居られません。

アバター
2011/03/29 14:41
いろんな想いが桜の花びらとともに渦巻いている情景が浮かびます。
自分の嫌なところ、否定したいところ、赦せないところも全て自分の内側にあって
それを含めて自分だということに気づいていく過程のような、そんな桜乱舞アーチの
映像が浮かびました^^
アバター
2011/03/28 20:13
こんばんは^^ サークルからきました。
散り初めた満開の桜、きれいですね^^
毎年みてきた桜には、いくら抵抗しても抵抗しきれないほどの過去の想いが詰まっていて
それらが彼女を納得させたんでしょうね。
アバター
2011/03/21 14:13
休む時は多いですが・・
宜しくお願いしますね(●^o^●)
桜、きれいだねぇ~c物の人は楽だけど、、
p物の人は忙しいですねぇ~
頑張って!ね!
アバター
2011/03/19 20:51
>ゆう媛さん
過去を許すとか乗り越えるって、私には難しくて、
今、少しづつ、乗り越える段階かなあと思って
ます。
でも、あの朝もやの桜の景色は、自分の故郷はここだと
強烈に気付かせてくれたです^^。
アバター
2011/03/19 10:08
大っきらいな過去を全て許さなければ、
本当の幸せなんて感じられないのかもしれない・・・
そんな風に、
私を認知しなくなった母親を見ながら思うようになった^^

あぁ、
子どもの事が落ち着いたら病院連れて行かなくちゃ(^-^)

桜、大好きです。
生きてるうちに母親にも 「ありがとう」 言わなきゃなって思いました。
ぼうぼうさんには何度でも言えるのにね。
「ありがとう!!!」
アバター
2011/03/18 23:19
>トシraudさん
はい^^。田舎ですがいいところなんですよね。でも、やっぱり田舎特有のいやらしさも
あるのは、仕方ないと思うです。
のどかな所ですよ^^
アバター
2011/03/18 23:09
ぼうぼうさんのお話にしばしば出る故郷への反発、なんだか親近感と若さへの懐かしさとか、甘酸っぱいです^^
新緑はきっともっと美しいところなんでしょうね。



月別アーカイブ

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.