Nicotto Town


雪うさぎが呟く


たぬきがくれた鯛

春になると、桜鯛というのかな、きれいなピンクの鯛が目につく。今は養殖で、年中ちょっとどす黒いのも出回るけれど。

むか~し、私が幼かった頃、風邪でも引いていたのかたった一人で家にいた事があった。客が来てしかたなく玄関まで出ると、大きな鯛をぬっと差し出したおじさんが、「たぬきです」と一言、ぽかんとしている私に鯛を持たせて帰って行った。

狸が鯛をくれた・・・もしかしてしばらくしたら枯れ葉や泥だんごなるのではと、昔話を思い出した私は悩んだ。

夕方仕事から帰ってきた父親に「狸が来てね、鯛を置いてった」といったら、当然だが父も「?」だった。少し考えて「ああ・・・」と。

たぬきは、父親が働いている建物の近くにある料理屋さん。何かの時に接待でか行ったことがあったらしい。

それはよいのだが、ちょうど母親は留守。鯛の処置に困った父は、その立派な鯛をぶつ切りにして、煮物にした。煮汁をどうするか企業戦士の父はわからず、たっぷり水を入れてしまったため、味をつけるために大量の砂糖と醤油を投入。

オマケに栄養をなまじ考えたのだろう、ニンジンのぶつ切りを放り込んで。できあがった鯛とニンジンのプール煮・・・当然だけれど、まずかった。

ピンクの鯛を見ると思い出す、春の記憶。

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2011/03/08 11:04
もったいないーーーーーー



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