✪小さな小さなグランドピアノ Ⅱ
- カテゴリ:30代以上
- 2011/03/06 08:00:02
それから、しばらくたった朝の事です。
サチコを起こしに来たお母さんが首をかしげて言いました、
「なんだか、このピアノ大きくなったんじゃない ? 」。
サチコは、とび起きました。
「まさか ! お母さんたら。ピアノが大きくなるはずないじゃない」、
そうは言ったものの、実はサチコも昨日から同じ事を考えていたのです。
ずっと、気になっていた事を、とうとう言われてしまったというわけです。
「そうかなぁ ? 」
お母さんは首をかしげながら、ピアノをのぞきこむように見ています。
「そうょ」
それでも、サチコは自分に言い聞かせるように、きっぱりと言い切ると、
くるりとピアノに背を向けました。
だって、もう、どう見ても、ケーキ皿にのらない大きさになっているのですから。
「ただね、お母さん。このピアノ、キッチンの出窓に置いたほうがいいと思うの」、
「そうねぇ」。
確かに、サチコの机の上に置くにはチョット大き過ぎるようです。
とりあえずピアノは、キッチンの出窓に置く事になりました。
それから、また、しばらくたった朝の事。
トーストをかじりながら、サチコはチラチラとキッチンの出窓を見ていました。
すると、ミルクティーをコンと置いて、お父さんが言いました。
「なんだか、このピアノ大きくなったんじゃないか ? 」、
サチコは、また、あわてました。
「まさか ! お父さんたら。ピアノが大きくなるはずないじゃない」、
そうは言ったものの、やっぱり、サチコも同じ事を考えていたのです。
「そぅかなぁ ? 」
お父さんは首をかしげながら、新聞をめくります。
「そうょ」
サチコは、また、きっぱりと言い切ると、くるりとピアノに背を向けました。
だって、ピアノはどう見ても、
キッチンの出窓にはつり合わない大きさになっているのですから。
「ただねぇ、お父さん。このピアノ、リビングに置いたほうがいいと思うの」、
「そうだね」
お父さんは新聞をたたんで、ちらりと出窓を見ました。
やれやれ、とでも言うように。
リビングにうつすと、ピアノはぐんぐんと大きくなりました。
お父さんも、お母さんも、もう何も言いません。
もともとそこは、サチコのピアノが置いてあった場所でしたから。
サチコはいつのまにか、ピアノのメロディばかり聞いてすごすようになっていました。
そして、ピアノの音を聞くたびに、また、とても変な気持になるのでした。
胸の中でむくむくと、何かが大きくなるような。
それは、ちょうどピアノが大きくなっていくのと、とてもとてもよく似ていました。
ある日、サチコはピアノを見て、突然懐かしいような不思議な気持ちになりました。
そうです、とうとうピアノは、サチコが弾けるくらいに大きくなったのです。
サチコは、おそるおそる、ピアノのふたを開けました。
ポロロ~ン ♪
指先で鍵盤をかるくたたくと、とてもきれいな音がリビングに響きました。
むくむくとまた、何かがまた、サチコの胸の中でふくらんでいきます。
ポロン ♪
ポロ~ン ♪
ポロロ~ン ♪
サチコは確かめるように、ひとつひとつ鍵盤をなぞっていきました。
ひとつ音を鳴らすたびに、また、むくむくと、胸の中に何かは大きくなるのでした。
サチコはしまっておいた楽譜集を、そっと、手に取りました。
すると、パラリと一枚の楽譜が落ちました。
発表会で弾くはずだった「スタート・ライン」という曲です、
もうすぐ発表会と言う時の事故だったのです。
サチコは静かに目を閉じ、それからゆっくりと目を開けました。
そして、思いっきりピアノを弾き始めました。
こわごわと鍵盤をたたく指が、少しずつ滑らかに動き始めます。
懐かしいメロディに、いろいろな記憶をよみがえらせながら。
初めてピアノを弾いた時の事、
友達とケンカしたり笑ったりしながら連弾した思い出。
うまく弾けずに、朝から晩まで練習した事。
そして、ピアノをやめた時の事ーーー。
久しぶりに弾くピアノは、思うようには弾けません。
指が動かず、つまずきながら、つかえながら、それでも最後まで弾いた時、
サチコの胸の中でむくむくと大きくなっている物が、ついにあふれだしました。
「ピアノが弾きたい」
サチコは、小さくつぶやきます。
「ピアノが弾きたい、ピアノが弾きたい」
サチコの指は、もう一度「スタート・ライン」を弾き始めています。
どうして今までピアノを弾かずにいられたのか、
うまく弾けなくても、思うように指が動かなくても、
サチコには、もう、止める事が出来なくなっていました。
サチコの胸の中でふくらんでいたもの、それは、
ピアノが弾きたいという思う気持ちだったのです。
時間を忘れて、サチコはピアノを弾き続けました。
どれくらい弾いていたのでしょう、ピアノを弾く手をふっと休めた時、
サチコはピアノがカチリと音をたてるのを聞きました。
まるで、ハットしたみたいに。
ピアノはどうやら、やっと思い出したようでした、自分がピアノだって事を。
あははは・・・・、だって作ったらみんなにあげちゃうから・・・。
倒産しちゃうでしょ。
真夜中のドアをたたいてください。
あんまり現実離れしてしますと、話しが面白くないのでlastはリアにいきます。
在るのなら 読んでみたいです。
ピアノの方が大きくなるなんて。
もしかしてピアノがメル友なの?
面白過ぎる発想に一本取られました・・・・、残念ながらどれもハズレでし。
真夜中にlastを公開予定でし、ま~~~~読んでミソ !! 。
そのピアノは、水に入れとくと20倍くらいに大きくなるやつじゃないですか?
(冗談は置いといて
最初のピアノがデカくなる設定で、「最後はピアノに食べられてしまう。」ってホラーなオチを想像してしまった・・・。
最後まで読んでみて、3話目のオチは・・・・
「ピアノの中にメル友が入ってて、「ここでずっと応援してたんだよ!」って、ハッピーエンド」。
ウ~が会いに来ます。
分厚いんですか・・・読み応え満点でしね。
私も書いてるくせに・・・、その通りでし。
同じ境遇なんだょネ、ウ~もまた。
勇気・元気・笑顔 !! でし。
さぁーlastはウ~の登場でし。
ピアノが大きくなったのかぁ〜@@
そうだ、思い出した。
HPつくろうと、分厚い本を買ったのに
途中で付箋たてておきっぱなし。。。。(@_@;)
そういえば、日常生活野中で、使ってあげていないもの、沢山あります。
編み棒も、奥のほうのお鍋、食器戸棚の中の飾りになってしまっている食器・・・
たまには使ってあげなくちゃいけませんね。
もう一度ピアノが弾きたい気持ちに素直に気づけてよかったね^^それを察していた、友達がすごい。
サチコがホントに求めていたものを見つけたようですね。
スタートライン、常にその気持ちを持っていたいな~^^