Nicotto Town


きいてニコタリーナ


思い出しても不思議

翼が生えたかのような勢いで、階段を一段飛ばしに駆け上がった。

がらんとしたホームを端から端まで見渡す。いない。

両隣のホームも見渡してみるが、運の悪いことにどちらにも電車が停車していて、よく分からなかった。

再び階段を駆け降りると、1番ホームの方から走ってきた友人達と鉢合わせた。

一人が私を鋭く見やる。私は首を横に振った。束の間、3人の顔に落胆の表情が浮かんで、消える。

私達は目と目を見合わせ、手分けして残りのホームの捜索にかかった。



ここにもいない。何度目かの落胆を味わいながら、階段を駆け降りた私の目が、見覚えのある一人の若い男性を捉えた。小学生の時同じクラスだったことのあるD君だった。

瞬間、背中に電流が走ったように、私は悟った。

こいつだ。

私は何事か喚きながら、彼に飛びかかった。しかし、全力で体当たりしても彼は倒れるどころかよろめきもせず、低く笑いながら地面から10センチほど浮き上がった。

このままでは勝てない、と思ったその時、友人達が駆けつけてきた。女ばかりとは言え4人にのしかかられて、彼は地面に押し倒された。

私たちは、無我夢中で彼を滅多打ちに殴りつけた。少しでも気を緩めたらやられる。そう思った。

気がつくと彼は抵抗をやめ、ぐったりとしていた。私達が彼の上から降りると、彼は砂のようにさらさらと崩れて霧散した。

私達は喜びに抱き合い、互いを称えあった。



……という夢を見た。

なんだったんだろう、夢の中で感じたD君への強い憎悪は??

別に小学校時代彼にひどくいじめられたりした訳でもない、というかまともに話したことさえほとんどないのに。

取り敢えずD君ごめんなさい。貴方を殴るの気持ち良かったです。




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