路地裏
- カテゴリ:30代以上
- 2011/02/05 15:00:30
いろんな意味で勇気のいる店がある、
私は前から気にはなっていたが中々この店の扉を開けないでいた。
その立地といい特異な風貌といい、
けれど今日は思い切ってその扉を押してよかったと思う。
その日、私は特別な場所と時間を手に入れてしまったのだから、
中に入ったとたん広がる空間に圧倒されてしばらく立ちすくむ。
それまでの都会の煌びやかなネオンや雑踏は一瞬にして忘れた、
目を凝らすと店内は思いのほか広く何処に座ろうか迷うほどだった。
赤いビロードの椅子はみな行儀よく、正面の巨大スピーカーを向いて並んでいる。
独特の造形と装飾は舞台装置を思わせる、
時代がかかった二階喫茶室入口のサインが目に鮮やかだ。
映画か何かのセットのように古めかしい階段を上がると、
コーヒー色の壁には煙草のヤニで判別を疑うショパンやバッハの肖像画が並ぶ。
いったいいつからそこにあるのか、
もう誰にもわからないくらい長い間そこにあるのだけは想像がついた。
何よりも不思議なのはどうしてこんな空間にこんなにも見事に
変化の激しいこの場所でましてここに残っているのかと言う事だ。
扉の奥にあった音の愉悦、
アンティーク・オルゴールの中に迷う込む。
不意に店内にアナウンスが入り、
しばらくしてプップッと言うレコード特有の懐かしいノイズが雨だれのように降ってきた。
ピアノの曲が流れ始めた、
柔らかに音に包まれる感じは昔家にあった大きなステレオを思い出す。
壁も柱もじっと聴き耳をたて、音楽だけがその異空間を満たしていた。
クラッシックの名曲を静かに楽しむ名曲喫茶は、大正時代のミルクホールから発展した。
歌声喫茶やゴーゴー喫茶など喫茶店が百花繚乱の世相を見せた戦後、
都内の繁華街に数多く誕生しコーヒー1杯で高価なレコードを好きなだけ聞けると流行った。
あふれるイメージの奇才の大国、
この独自の建築デザインやインテリアはいったいどこから来たのか。
それは一人の無名な芸術家の物らしい、
当時絵描きになりたかった寺山は独学でこの建物をデザインしたという。
ヨーロッパの写真集や色々な本を見たという話もあるが、
ほとんどは自らの想像力とアイデアのままに作ったらしい。
紋章風のライオンのロゴマークをはじめ、
それをかたどった木製のレリーフな置物や看板も全て自作と言うから驚く。
店内にも彼のデザインがいたるところに目を出している、
美的感覚が鋭い、作りもこっている事は一目でわかる。
そして当時としては珍しい最先端の音響システムを導入し、
どの席からでもいい音が聞こえるように作られている。
しかしオーディオ機器が身近になる一方で若者たちの考え方も変わってくる、
もはや席に座りコーヒーを飲みながら音楽を聴く時代は終わったのかも知れない。
夢見るシャンデリアもゴージャスな柱も、
扉の外の事は何も知らずに今日もあたりまえのようにレコードは回り続けている。
あらゆる地上の音は消えて世界中が耳を澄ませる時、
ずっと忘れていたあの音をこの空間で思い出した。
いろえろと・・。
その通り道には誘惑がいっぱい。
もったいないような・・寂しいような気分でした・・・店が無くなって。
間違いました、山寺でした・・私とした事が・・。
時代の流れとともに消えていく運命なんでしようかネ~。
ここの空間は独特の雰囲気を持っています、お近くにお越しの際はぜひ見学だけでも。
どんなお店も客しだいって事ですね、客が来ればつぶれませんから。
コラ、コラ、そこのメルシャンワイン・・飲んじゃうぞ。
大人になったからこそ価値がわかりそう。
レコードの針の音、なつかしい。
寺山って、寺山修二さんのことですか?
サイトで調べてみた。閉店してた。2005年1月31日だって。
しかも1930年開店! 父の生まれた頃だわ。
「中野の裏道文化を支えて来た店が、またひとつ、静かに幕を下ろした。」
と記してあったわ。
〈ライオン〉は残ってていてほしいね。
父は学生の頃、いつも立ち寄っていたそう。
私も高校生くらいから、わざわざ行った。親子2代だ。
薄暗い室内と、好きだった2階席に差し込む北窓からの光。
なんとなく埃の匂いが似合う名曲喫茶。聴き入ってた。
コーヒーのミルクピッチャーがプラスチックの容器のフタなんだよね。
もう、ないんだろうな・・。
きっと・・・・
ブラボーしゃんの好みの音楽が
たくさん見つかった 異空間だったことえしょうね。
まに浮かびます〜〜〜^^;;
かつてそうだったという店には行ったことがあるのですが、壁の棚いっぱいにレコードが収納されていて
それを見るだけでもノスタルジックな気持ちにさせてもらえました。
そういえば、結婚前によく行っていたお店が、
月に1度「蓄音機で音楽を聴く夕べ」というのをやっていましたよ。
波打つように回るレコードを今でも思い出します。
その店は昔のミルクホウル同様にコーヒーに落花生がついてきました。
けっこう時代ものの看板って好きなの~(盗むんかい!)
いいねー、こんな時って時間を忘れるんですょネ~。
素敵な初老のおじさまが神経質な顔でコーヒーいれてくれったけwww
私はブルースが大好きだった・・・・・・・
そうなんですょ、だから私もネーーーームーミン。
今話題に出てましたょ、頭に入れる事たくさんあり過ぎてね。
しかし、なかなか足を踏み入れるには、勇気がいりそう・・
ブラボーさん良かったですね~。
コーヒー1杯でも、沢山の情報を収集しなさい、という学生時代の教授が
教えてくれました。いいもの、いろいろ見れましたね。
名前をみかんに変えました、今でも来てますょ。
行った事はありません。
ところで ポーさんは どうしたのかしら。
寝転がりながら読んで・・私も上にのっていい~~~~。
ブラさんのブログは寝転がりながら読みたいなぁ
ダンシング・シスターでしたっけ、何度か聞いた事はあります。
美人姉妹でしたもんね。
オ~!! また私のアホブログの餌食になってます。
今では音楽は持ち運ぶ時代になってますもんね。
ご存じの様ですね。
私も何枚かはレコード持っています、父のステレオでよく聞いていました。
渋谷道玄坂にある名曲喫茶ライオンて言うお店でし。
歳がばれる~
僕、ブラボーさんのブログを読ませてもらえるよになってからまだ浅いんですが、
ブログを読む事にワクワクするんです。
今回のブログも、風景や伝えたい空気みたいな感覚が一気に自分を包み込んできました。
僕は、こんなに素敵なお話を聞けて凄く幸せです!
そこで過ごす時間、とても貴重だね。数少ない場所ですから。
2階正面のソファがオススメですよ。
完璧じゃない感じが好きです♪♫♬
そこは穏やかな時間が流れていそうですね^^
ステキ❤
時代の波はその時で変わるんでし。
ノスタルジックで・・・レコードの音って
温かみがあっていいねぇ。
これは実在のお店です。
わたしの頭の中で 広がりました
それだけで 楽しい^^