Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


『ノルウェイの森』を見てきました。


『ノルウェイの森』を見てきました。

映画、特に脚本は原作に頼りすぎ。

原作を読んでいないと、
なぜこの場面、
この人物、
このエピソードが必要なのか
わからない展開が多いと思うし、
原作を読んでいると、
その場面や人物をもっと掘り下げて欲しいと思う。

トラン・アン・ユン監督は
映像が美しいけど、
人物の描き方がもの足りない。
淡泊で、ドラマ全体に力がない。

菊地凛子が緑で、
水原希子が直子の方が、
キャラクターとしては合っているように思う。

映画初出演の水原希子に
直子の役は無理だろうけど、
力のない、やさしい笑顔のままに、
統合失調を来たしていく役柄は
彼女の方が向いている。

それに彼女の細さ、美しさは、
人間のものではない。
そんな気がするから。

私がこの映画で見たかったもの。
でも、十分には描かれなかったもの。

例えば、
少しずつ壊れていく直子、
あの不思議な療養所の世界、
夜、幻想的なまでに美しい直子の裸体と奇妙な行動、
直子とレイコさんとの間にある奇妙な友情、
丁寧に、周囲にやさしく配慮しながら、淡々と自殺の準備をする直子、
そして最後、レイコさんとワタナベくんによるお弔いのシーン…

見終わって、
それらが見たかったんだと
私は気がつく。

収穫だったのは、
劇中で多用されている音楽が
CANだったこと。

きっと、トラン・アン・ユン監督は、
私と同じようにヴィム・ヴェンダース監督の、
『都会のアリス』(Alice in den Staedten)が好きなのだろう。
私がCANを知ったのは、この映画を見たから。

おそらく、類は友を呼ぶ。

『都会のアリス』の、
アムステルダムからヴッパタールを経て、
ライン川沿いをミュンヘンへ向かうルートは、
一度辿ってみたいと思っている。

もうすぐ出発する私の今回の旅は、
コペンハーゲンからハンブルグを経てベルリンへ、
そしてドレスデンとプラハでしばらく過ごすことになる。

よく考えたら、
小説『ノルウェイの森』は、雨のハンブルグから始まる。
映画では、そのシーンはないけど。

そして、今回の旅行ルートは、
カート・ヴォガネットJr.『スローターハウス5』のドレスデン、
ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』のプラハと
小説絡み、映画絡みだったりする。

ドイツに行った折、
CANのCDを買うか、
日本で『ノルウェイの森』のサントラを買うか、
ちょっと迷っている。

あの、もの哀しい曲調は手に入れたい。
『ノルウェイの森』で使われているCANの曲を、
Youtubeからピックアップしてみる。

  「Don't turn the Light on, leave me alone」
      http://www.youtube.com/watch?v=jueETxvq7qo&feature=related
  「Bring Me Coffee or Tea」  
       http://www.youtube.com/watch?v=Ilk-2tXzlvE
  「She bring the rain」 
      http://www.youtube.com/watch?v=m6ufsWO476A&feature=related
  「Deadlock」
      http://www.youtube.com/watch?v=olIrNodUtyk&feature=related

そして、わかったこと。
私が気に入った、
ギターによるアルペジオの曲は、
CANではなく、ジョニー・グリーンウッドのオリジナルらしい。
タイトルは、「時の洗礼を受けていないものを読むな」。
Amazonなどの視聴ページで聞くことができる。

聞いて…

ギターで私は
こんなアルペジオを
好んで弾いている。


もう一つの収穫は、
兵庫県砥峰高原の風景。

トラン・アン・ユン監督は、
植物や森、水や雨の、
霊的で性的な描き方が上手。

私もまた、
こういう自然の小宇宙(ミクロコスモス)の中で
長く過ごしてきたように思う。

私にとっての聖域。
なるべく早く私はそこに帰ろうと思う。

そう、
直子と私…、
緑と私…、

類は友を呼ぶのだ…、きっと。




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