✪夜夢 last
- カテゴリ:30代以上
- 2010/12/30 01:00:04
うららはおじいさんのリードに任せた、小さな体が滑らかに動き出した。
踊れる自分が不思議でたまらなかった、
・・これは真夏の夜の夢だわ、目が覚めたらいつもの病室で寝ているんだわ・・
二人は音楽に合わせてワルツを踊りルンバをふみ、
ロックンロールでむかいあって肩をふるわせた。
音がやんだ。
「一休みしましよう、こちらへ」、
おじいさんは右の腕を折り曲げて、うららはおじいさんの腕をとった。
部屋の隅にどっしりとしたマホガニーのテーブルがあり、
まばゆいばかりのシャンデリアの下でガラス器具が輝いていた。
バーテンダーが一人立っている、
「私にはいつものを、お嬢さんには・・・」おじいさんはうららのほうを向き、
「スロージンのフィーズがお似合いだ」とつぶやいた。
「しょうちいたしました」、
バーテンが長いグラスコップにスロージン・フィーズを作って差し出した。
赤いお酒の中から小さい小さい泡がのぼっていた、
うららは一口飲んだ、くっきりとした甘さがのどをうるおした。
何もかも一人前のレディに扱われている、
「毎日顔を見るのが楽しくてね、ご招待したんですょ」。
ものぐさなおじいさんだとばかり考えていたのとは大違いで、
おじいさんは楽しそうに話した。
おばあさんの手作りだろうか、
こけもものジャムがたっぷり入ったロシアン・ティが出てきた。
うららはいつも気になっていた事を聞く事にした。
・・音楽会の時おじいさんと一緒に踊っていた綺麗な女のひと誰ですか?・・、
「おばあさんの若い時、若い時のおばあさんです」。
・・牛や豚がこの部屋に入ってきたのを見たのですがどうなったんですか?・・、
「ステーキやハムになりました」。
・・おじいさんは水にもぐっているようでしたが・・、
「その通り」。
・・水は? ・・、
「海に帰りました」。
変な答えばかりだったけど、うららは一生懸命にたずねた。
・・おじいさんは寝てばかりですが、どこかわるいのですか? ・・、
「寝転がっているのが大好きなだけ、十日でも一カ月でも平気です。
いる物はみんな向こうからやって来てくれます、音楽も、仲間も、デパートも、
海も、おばあさんも、若い娘になったおばあさんも」。
うららはわからなくなって、おばあさんに助けを求めたが、
おばあさんは微笑み返しただけです。
・・そろそろ、おいとましなくちゃ・・、
「よく来てくれましたね、うららちゃん」。
・・最後にどうして私の名前を知っているのか教えてください・・、
「そりゃ・・・」と言っておじいさんはニッコリした。
・・そぅか、そうだったのか、おじいさんは私の事・・、
うららは隣の部屋でパジャマに着替え、
おばあさんにもお礼を言って病室に戻った。
おばあさんが外までおくってくれたが、その時になって、
おばあさんがひとことも言わなかった事に気がついた。
病室に戻るとお母さんは眠ったままだった、
うららはそっと書置きをやぶってベッドに入った。
・・魔法使いか超能力者か? とにかく怪しいわ、
ひょっとしたら私はおじいさんの夢の中に入り込んだのかも。
それとも、私の夢の中に入っているのかしら? ・・。
あくる日、うららは退院した。
先生や看護婦さんに「さようなら」をしたあと、もう一度確かめたかった。
部屋は昨日と同じようにあった、
ドアをたたくと「いつも、あいてるょ」おじいさんの無愛想な声が返ってきた。
昨日の弾んだ声とは大違い、部屋に入ると木のテーブルはなく。
広間の端、窓際のベッドにおじいさんが寝ていて起きてこようともしない。
・・今日、退院する事になりました。
今から家に帰りますのでさようならを言いに来ました・・、
「あんたなんか、知らないょ」おじいさんはひとこと言った。
・・おばあさんによろしく・・、
「おばあさんて? 」。
・・昨日ごちそうしてくださった・・・・、
「そんな人いないょ、つれあいはとうの昔に死んでしまったから」。
・・ ・・・・・・・ ・・、
だまってしまったうららに、おじいさんはつっけんどんに言った。
「こんなところへ、二度と来てはいけないょ」、
・・はぃ・・。
うららはこっくりしてから、ドアを閉めると階段をかけおり、
明るい外に向かって走りでた。
道は夏のなごりの光でいっぱいだった。
映画のタイムゲートは近未来に現実化するのかな~~。
タイムトラベル。
時間・・・。
今は明日にはもうない・・・。
普通の生活だし・・・ね。
ちがうょ・・・その痛みを忘れてしまうって事だょ。
今は健康でし。
人間てのど元過ぎれば熱さを忘れるって言葉・・ホントだと思う、私がそうだもん。
私も~~~~~~~~~、その気持ちすごーーーーくよくわかります。
これは経験した人じゃないとわからないでしょ、あの寂しい気持ち。
幼い頃に腎臓病になってしまい長い闘病生活がありました。
この物語はそんな自分の気持ちがかなり入っています。
パンも入院してたことがあるよ。 みんな先に退院するとき挨拶してくんだ。
ちょっとの期間だけなのに、ちゃんと顔覚えてて、出るときに挨拶してくの。
パンが出るとき、同じ時期に入って顔見知りになった女の子に挨拶したら
私も^^って。嬉しそうに挨拶し返したの思い出したょ。
そうかも知れない、・・・・ってこのお話のこと何か言ってょ。
遠い記憶の中に残るの・・。
水は 海にかえったんだぁ。。。
(*^_^*)
↓下の方に書かれた実話も なんとも 素敵ですね。
おじいさんも 何度も 何度も
ブラボーさんのこと
思い出していたんだろうなあ。。。
まるっきりの空想話ですからね。
こういうのを書けるブラボーさん、好きです♪ヽ(*^-^*)ノ
勉強になります!
想い出は、遠い記憶の中にいつまであります。
空想によって作りだされたものは、いつまでも心に残ります。
それを見ることが出来た
最後の現実が その空想したことををもっと楽しめました
つぃ。。 ふふ って 笑ってる自分が いました^^
夏休みを入院で使ってしまったのかな・・・でも、二度とない不思議な体験ができたよね。
悪い事が無い、それがいい事だと思いませんか?。
幸せに退院できてよかった☆
おじいさんの心と繋がった少女。
光の指す方へ進む若者が背負った一時の寂しさと、寂しい年寄りの夢が交錯する。
ロマンチックでセンチメンタルでした^^
それじゃ今夜はオシャレな所で飲んじゃいます、二人っきりで・・・ガォー~~~。
いっからキャンディになったんじゃい。
現実でもいっぱい不思議な事はありますょ。
夢の扉って、中々開かないものでし。
仕事は何でも出来ますけど、物になるかどうかは解りません。
今年も病気はありませんでした、健康一番でし。
夢の中のおじいさんと現実にお部屋にいたおじいさんのギャップが
おもしろいですね。
つまらない入院生活、子供なりに楽しみを見つけて。おじいさんびっくりですよーん。
でもどんな形でも、感謝の気持ちを行動であらわす事は、誰でも出来ることじゃないからね!
物語だけ見ると、おじいさんの態度が優しさに見えます。
お別れする時は、その方がいい。うらら、いつかわかってね!キャンディより。
何回読み直しても不思議?です
ブラボーワールド!
おじいさんは、うららちゃんの将来の人?
踊っていた美しい女性は、成長したうららちゃん。
だからおじいさんは、きちんと接してくれたのかな。
ブラボーさん、ゴーストライターをしてたんですか。
2年は結構長いですよね。しかも名前の出ない2年間って。
おじいさんが「こんなところへ二度ときてはいけないよ」
と言ったのが印象的です☆
当時私は二年間だけゴースト・ライターをしてました、
名前は世に出る事はありませんでした。
ずいぶん昔の話でし。
で いいのかな?
まだ 少し書かなくては いけない様な。・・・・・・
退屈な毎日窓から見える景色は一つの楽しみでした。
でも長い間同じ場所を見っ続けていたため、
そんなに変わりばえのしない日にすぐなりました。
それじゃこうなったら面白いこんな人がいたら来たらって、
なんて事をふくらますようになりそしていっも考えてました。
前に見えるおじいさんの部屋は想像を描きたてるのには絶好の場所でした。
自分で空想や妄想で退屈な時間をつぶして行きました、だから退院の日、
何の関係もないおじいさんに部屋に行き、お礼を言って私は退院して行きました。
当然、見知らぬ子供がいきなり来てお礼を言われても、おじいさんは困ったでしょう。
でも、ここには書きませんでしたけど、
「ぼうず、二度と入院なんかするなよ」って言ってくれました。
今でも、時々思い出します。
「メアリー・ポピンズ」に出てきそうなお話だって思いました。
とても好きです^^
私のでし。
夢の中え でし。
サンキュー!! 。
おばあさんは?
不思議な後味のお話ですね~
多くの言葉は不要です オヤスミ