パンズ・ラビリンス
- カテゴリ:映画
- 2009/03/22 23:09:14
自宅鑑賞メモ。
ダーク・ファンタジーが大好きなので、観たかった映画なのだけど…。
アカデミー賞に輝いている美術・メークアップの芸術性が、私には合わなくって辛かったです。
映像の好き嫌いはさておき、この映画は好きではありませんでした。
”世界が賞賛した感涙のダーク・ファンタジー”というキャッチフレーズでしたが、
ダーク・ファンタジーというのは、なんだかしっくりこない、
無力な子供が犠牲になる残酷な戦争映画、反戦・反ファシストの映画でした。
舞台はスペイン内戦下。
主人公の少女の名前はオフェリア。
シェイクスピアの四大悲劇の一つ「ハムレット」では、オフェリアは悲しみのあまり狂い亡くなります。
冒頭のシーンと、悲劇を予想させる名前の通り、物語は切ない結末をむかえます。
オフェリアは、地底の王国の王女であり、3つの試練を乗り越えればその王国へ帰ることが出来るという。
多感な少女が入り込んだ幻想の世界は、過酷な戦渦の現実から逃げ込んだ幸福な場所ではなく、
牧神パンのラビリンス。そこは唯一、彼女自身が自分で戦うことのできる場所。
オフェリアの幻想の世界(あるいはもう一つの現実)の出来事は、現実の世界の出来事と呼応しています。
オフェリアと対をなしているのは、ゲリラ軍の内通者であるメルセデス。
メルセデスは、現実の世界で戦う大人の女性です。
「妖精を見た事がある?」と尋ねるオフェリアに子供の頃は見えたと答えるメルセデスが印象的でした。
メルセデスがオフェリアにねだられてハミングする子守唄の旋律は美しく、この映画の救いのようです。
オフェリアは生まれたばかりの弟を救うという決断を下し、
彼女の流した血によってラビリンスの向こうにある地の底の王国の扉が開かれます。
オフェリアよって生かされた弟は、現実の世界でゲリラ達によって救い出されメルセデスの腕に抱かれ、
オフェリアは地底の王国の王女としてむかえられ、映画は終わります。
死は救いなのか、そうではないのか?
死は終わりなのか、そうではないのか?
ファシスト独裁が終りスペインに民主主義が戻るのはもっとずっと後のこと。
反政府ゲリラ達の中で、メルセデスの慈悲の子守唄を聞きながら育つオフェリアの弟は、
スペイン解放のために最後まで戦い続けるのでしょう。
メルセデスは、スペイン語で「神の恵み、慈悲」を意味するそうです。
正直、わけがわからないところや、途中ひっかかる部分も多くて、
もう1度観ると違った感想もあるかも?とは思いながら、2度は観たくない映画です。
とても気がめいる映画でした…。
同監督の『ミミック』はけっこう好きなんだけど。
【El laberinto del fauno】【Pan's Labyrinth】2006メキシコ・スペイン・アメリカ
>アリシアさま あの映画を一言で表すなら「暗い」につきますね。
>楓サマ スペインの方たちにとっては、もっと違う映画なのかもしれないです。
ダーク・ファンタジーとはちょっと違うんじゃないのかな?って思いました。
キャラ達はいい味出していたのですがね・・・
なんだかもったいない気がします。
この作品、評判がよかったので見てみようかと思ってたけど、重いんですか。
いまはちょっと明るい作品が見たいしなぁ〜。