Nicotto Town


日記ダイアリー徒然草


小説

ユリ01「旅」

(11)

どうやら私が倒れたのは熱が原因らしい。
そのことを、熱ぼったい頭が語っていた。
熱があがってくるような気がする。
あいつは三十分ごとに休んでは、体温計を取り出して渡した。
熱は確実に上がってきていた。
「40度、今日は休むか」
奴が言った。
私は気持ちだけはかなり元気だった。
「別に大丈夫だよ私は。って言うかあんたが大丈夫?」
「俺は大丈夫だ」
動作がぎこちない。こいつ、絶対疲れてんな。
あーあ私お荷物だ。
大体なんで、こいつは私を連れて行ってくれるんだろうか。
「ねぇ、何で私をおんぶするの?」
「は?」
あいつはわけが分からなかったみたいだ。
「何で私を連れて行ってくれるわけ」
そう聞くとあいつは、うーんと唸った。
「なんでだろうな、俺にはよく分からん」
それからこう言った。
「けど、お前と俺は似ている」
「は?どこが?」
私はあからさまに嫌な顔をした。
あいつはこう言った。
「俺同い年の人間て、あったこと無いから」
「どう言う事?」
「たぶんそう言う事」
よく分からなかったけれど、まぁいいかと思った。
「もう行けるか?予定を変更したい。早めに行って休もう」
「分かった」
それからあいつはぼそっと呟いた。
「桜とタダもいるしな」
桜?タダ?
「え、今なんて……」
「おい、着いたぞ」
そこは本当に不思議な場所だった。

アバター
2011/11/02 20:35
続きが気になりすぎる



Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.