Nicotto Town


「時のかけら」


創作小説「ジオラの記憶」(3/3)最終話

 

ジオラの記憶 ~復活遊戯~


第3話 最終話

あれからもう20年近く経った。

真実を告げないまま時は過ぎ、エンユも、そしてクルトも両親譲りの才能で実力ある法術士に育った。

クルトの行方を探し出した時からクウマとは連絡を取り続けている。

現在、国の法術師として術士達を束ねる立場となり、クルトそしてエンユの心強い理解者になってくれると信じている。

「……ジオラ様、話とは?」

待っていた長身の青年が現れて、ジオラは口元に笑みを浮かべた。

灰色の髪をした青年は落ち着き知性溢れた面持ちをしている。
 前北院長・法術師だった者の孫で、これから先の北院を導く者として皆が期待し認めている人物…沙羅。

「エンユに聖剣を渡すのは、まだ早いだろうか?」

「…………」

唐突な言葉に沙羅は黙り込んだ。言葉の真意を図り思案しているようだ。

「それは、エンユを次の長にしたいということですか?」

「いや、聖剣を抜くに値する者かどうかを」

ジオラは沙羅の言葉を待つ。

目前の青年は好意を持ってエンユを貶してくれる数少ない理解者であり、親友だ。

「…この北院の中にあって、剣術・法術共にエンユに敵う相手はいないでしょう。長としての資質はまだ不明ですが」

「それは君達が側にいてくれるだろう」

「ジオラ様?」

――ガタンッ

突然の物音に祭壇の方に目を向けると、奉納した台から聖剣が落ちていた。

「剣がー?!

驚きの声をあげる沙羅を制し、ジオラは何もなかったように聖剣を元の位置に納める。

「エンユが今、戦っているようだ」

「それは…?」

「剣はすでに選んでいる。数年前に…君とエンユが崖から落ちた時に」

 法術士の授業としての実習で山中に入ったエンユと沙羅は、邪法士に出会い、追いかけられ崖から足を滑らせた。

 落ちた沙羅を助けるべく、飛び降りたエンユは法術を使って何とか二人が地に叩き付けられるのを回避したのだが、身体への負担が大きく、3日程寝込んだという事件があった。

その時も剣は遠く離れたエンユの力に反応し、祭壇から床へと滑り落ちたのだ。そのお陰で彼らの異変に早く気付けたのだが、前北院長はもっと前から剣がエンユを選んだのを悟っていた。

『繋ぎとして北院の長を頼めるかの?』

すべてはエンユ、そしていつか必ず再会するはずのクルトのために。

「このことはまだ誰も知らん。もし何かあれば君に任せる」

「何かとは!?

沙羅の問いには答えぬまま口元に微笑を浮かべた。

予感が、確信に変わりつつあるのを感じていた。


 

「この裏切り者が!」

怒号と共に深く入り込んだ刃がジオラの命を削った。

毒を塗布された剣を持つのは邪法士の里長、その人だ。

「ジオラ様!」

 彼が起こす突風と共に駆け込んできたエンユ。

 剣のぶつかり合う音が響く。

 思い出すのは親友のこと。

 お互いの命を預けあって戦った日々。

 彼に代わり、子供たちの成長を願い見守った。

 立派に育った二人に満足するも、これから見守れない悔しさ。

 たぶん、こんな思いをして親友も逝ったのだろう。

 遠退いていく意識の中で、エンユの叫ぶ声が聞こえる。

 最後まで見届けることは出来なかったが、酒を飲みながら親友に自慢気に話してやることは出来るだろう

【END




はーい 最終話のお届けです~ww
小説というより、あらすじ説明みたいな短編1本でしたが、「雷獣」の過去でした。
んで、本編が「呪解」「雷獣」「復活」の3部作。
ご期待通り、まだ書けておりません>< おいっ
「呪解」ではエンユとクルトの再会、火龍のシエロとの出会い。
抜け出した邪法士の組織と戦い、晏華が想像妊娠の末に生み出し、邪法によって命を持った肉塊と戦い、生贄とする呪縛を解き放すという内容になっています。
んで、「雷獣」。
そして、タイトルにもなっている「復活」
実は生きている晏華が、森の中から探し出し掘り出したレントの頭蓋骨から、彼を復活させようと国王を操り邪法を行う。
それを阻止しようとする二人だか、レントは復活を果たして・・・・
みたいなストーリーになっていきます。
書きあげるのがいつになるのか判らないのであらすじ紹介ww

アバター
2010/12/06 23:07
コメントありがとうですww

私にしてはちょっとハードな内容?とか思いつつ、載っけてみた小説でしたww
ま、基にしている原作有りの映画のあらすじを基本として過去を作っているのでww

でも他の小説もイジメているキャラはいるんですけどねー><
まだ表に出てないだけでww
アバター
2010/12/03 18:56
いつのまにか終わっちゃってたんですね(´・ω・`)
ジオラ様,どうか安らかに...。
次回作も楽しみにしております♫
アバター
2010/12/03 13:40
よんだよ
がばるのだぞ
(^^)
アバター
2010/12/03 05:19
本編のほうで、ジオラさまが亡くなっていたので、なんでやったんやろうと思っていました。
それに、エンユ、クルトにそんな過去があったとはw
あきさん、けっこう、いじめますねえ~www
いやいや、それは冗談として、すごいストーリーだなあ、と!
暗いとおっしゃいますが、明るい部分だけだと物語は成り立ちませんもんねえ。
全然大丈夫っすよ!

がんばれ、子どもたち―!
沙羅さんもね❤




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