【小説】紫翼のジーナ~10~
- カテゴリ:自作小説
- 2010/11/21 12:06:23
『紫翼のジーナ』5-②話
原案:はじめあき
作者:しゅーひ
クロストは薬草の籠をリンに渡して言った。
「もう少し、積んでおいてくれ。私は先に戻る」
リンはそれはもうあからさまに嫌な顔をして、えーと抗議したが、リンの左手に薬草の入った籠を残して、クロストはさっさと家路についてしまった。
結局、ぶつくさ言いながらも籠いっぱいに薬草積みに勤しむリンであった。
そろそろ帰ろうかと腰をあげたとき、遠くから砂埃が舞い上がっているのが見えた。その砂埃はみるみる大きくなりこちらに一直線に向かっている。
ぽかんと立ち尽くしているリンの手前にシュワンという音と共にエアー・スクーターが止まった。
移動手段は徒歩か馬車ぐらいしか知らないリンは、高速移動が可能な乗り物に羨望の眼差しを送っていた。
じっと乗り物であるエアー・スクーターにばかり気を取られていた少女は、運転者には全くきにかけていなかった。
「おいメス!いいところにいるじゃないか!お前も手伝え」
まだ耳に新しい傍若無人な物言いをする男にそこではじめてリンは気がついた。
ほんの数秒見つめあう二人であったが、恋だの愛だのといった甘いセリフにはならなかった。まず先に口を開いたのはリンであった。
「ああぁぁ!またアンタきたのぉー?それにメスじゃないって何度言えばわかるのよー」
「相変わらずうるさいメスだな。えーと、うるさい・・目覚まし・・鐘・・・あぁ、確かリンだったな?」
「思い出すのにどういう経路だったのかをじっくり聞きたい気分だけど、名前は覚えてくれてたのね」
「そうか、で とりあえずメ・・・リン!俺の手伝いができる名誉をやろう」
エアー・スクーターから降りたジーナはリンの腕をとり、ぐいぐい進もうとしたが、それをリンは阻んだ。
「ちょっと待ちなさいよ!何がとりあえずなのよ!大体、何を探してるの?いえそれ以前にアタシがなんで手伝わないといけないのよ」
ぶんぶんと腕をふり、ジーナの手を振り解いた。
「何を探している?核羽だ。核羽。これくらいの羽だ」
両手の人差し指をつきだし、小枝ほどの間隔にあけて、”これくらい”を説明するジーナ。
「お前は向こうを探せ、俺はこっちを探す。ほら走れ!」
突き出した人差し指で、”お前は”でリンを指差し、”向こうを”で湖の先の方に指を向け、そして”こっち”でジーナ自身の足元を指差した。
「なんでアタシが遠い場所でアンタが近場なのよ?その前に手伝わないっていってるでしょう!」
「おおそうだな、いくら下等種族に対してでも礼儀は必要だ。わかった、俺が向こうを探そう。お前はこっちでいい」
「だから、手伝わないって言ってるじゃないの」
「いいか?核羽だぞ?そこらへんの鳥の羽ではないからな?ちゃんと探せよ?」
「こんの、ぶわぁかー!人の話をききなさーい」
友達にはさっさと帰られ、お師匠にはやりたくもない仕事を押し付けられた上に会話が全く成り立たない傍若無人な男のせいでリンは少しばかりぶち切れた。
「何をいきなり大きな声をあげているだ?だからメスというは好きになれん」
心底あきれた風なジーナを見て、さらにリンの憤怒の念が上昇した。
「ア・ア・アンタに会話をしようとする意思が無いからでしょう!」
「アンタではない。ジーナだ。もう忘れたのか?この前教えただろう?その栗毛の頭の中は空っぽなのか?」
「この際アンタの名前なんてどうでもいいわよ。核羽とか言われてもなんだかわからないし、だいたい、羽なんて軽いものはすぐ風でとばされちゃうわ。アンタが前に来たのは4日も前よ?羽なんてあるわけ無いじゃない」
「そんなことはわかっている。しかし、見つかる可能性はここにしか無いんだ」
ジーナはすっとリンから視線をはずした。
頭に血が上った状態であったリンであったが、初めて会話らしい会話ができた事でちょっとだけ冷静になった。
「ちょっと、その核羽ってそんなに大事なものなの?羽なんてアンタの背中にたくさんあるんでしょ?」
「他の羽とは違う羽だ。ソレがなければ俺は力が出せないんだ」
とにかく、とジーナは続けた。
「これくらい長さの青色の羽だ。いいから探せ!見つけたら礼はする」
「なんなのよ~~」
薬草積みで腰をかがめていたので、腰に披露がたまっているリンのとって、羽を捜すためにまた屈むのは大変に辛かった。
ブツブツ言いながら、結局ジーナの手伝いをしているリンは大層お人よしの部類に属する少女と言えよう。
だからこそ、友達の彼氏のための買い物も付き合うし、師匠からの薬草積みもやってしまうのだ。
もちろん、ジーナはリンのそのような性格は全く知らないし、単なる作業員が増えた程度にしか思っていないのである。
時折、腕を組み考え事をした後、下を向き少しずつ進む。といった行動を続けていた。
ジーナはリンの方には目もくれず、自分の世界に没頭していた。
薬草【積み】ではなく【摘み】ではないでしょうか~
誤字訂正後はコメント削除しておいてくださいませ
そしてこの後また一波乱。期待が高まります。
( ̄m ̄〃)ぷぷっ!
でもこの二人の こんな関係が 読んでて面白かったりもするのですw
さぁ、羽は見つかるのでしょうか?^^
再会したとたん、力づくで巻き込んでるなぁーwww
さぁ、これからどうなるのかホント楽しみです><
さぁ、リンの心臓は誰の手に―www