調子に乗ってみました1
- カテゴリ:自作小説
- 2010/11/19 19:52:54
むか~し書いた、パロディ小説です。
とあるゲーム世界が背景設定になっているので、ご存じないとわからないところが多々あるかもしれません^^;
私の名前はシャーロッテ・ホームズ。
かの有名な世紀末探偵、シャーロッ○・ホームズの子孫(正確にはひ孫)にあたる。
もちろん一般にはシャーロッ○・ホームズは生涯独身を通した事になっているが、本当は密かにゴドフリー・ノートンと死別した、『あの女性』と結婚していたのだ。
探偵業を引退したのもその結婚が理由だと、故郷に置いてきてしまった両親から聞いている。
さて、私は両親のいる故郷大◎帝国を後にし、今日プルト共和国へと移住して来た。
タラの港で私を待っていたシャイアルと言う議長補佐に、移住の申請書を提出する。
・体は丈夫ですか?
まあ、ちょっとやそっとでは壊れはしないつもりだがね。
・働く事は好きですか?
私にとっては、仕事そのものが報酬だよ。
・早起きは得意?
必要があれば。
・運動は得意ですか?
一応ボクシングとフェンシングとバリツに棒術は嗜んでいる。
・声は大きい?
普通だと思うよ。
・人付き合いは上手ですか?
あまり好きではないね。 すると、所属するショルグとウルグを決めるよう、求められた。
ショルグは…剣術はフェンシングに棒術、体術はボクシングとバリツの経験があるが、魔術にはこれまで縁がなかったので、ミダショルグを選ぶ事にした。
ウルグは…魚つりと作物の採取と石掘り。どれも私に向いているとは思えない。
試しにディティクティブウルグと言うのはないかと聞いてみたが、「ない」ときっぱりした返事が返ってきただけだった。
それでも私は諦める事はせず、今度は「では、ディオゲネスウルグは?」と聞いてみた。
だがそれにも「ない」と言う言葉しか返ってこなかった。
仕方なく私は、地質の調査にも役立ちそうなガアチウルグに所属する事に決めた。
ウルグは変わる事ができると言うから、必要ができたらまた移ればいいだろう。
それからしばらくして、私はウルグで借りた天運の木槌を片手に、地質の調査に出かけた。
まずは港の近くから。
私は道端に座り込むと地面を掘り返し、石や土の様子などを調べた。この辺りはさらさらとした白っぽい砂地で、海が近いせいか、多少の塩気と水分も含んでいるようだ。
私は通りすがりの人の目も気にせず、気のすむまで調査すると、今度はエレシュ山に向かって歩き出した。そこでも同じように調査をしようと地面を掘り返していると、「もしもし?」と私に声をかけてきたものがおり、振り返ると
「ああ、シャイアルさん…」だった。
「悪いが今忙しくてね。話なら後にしてくれないか?」そう言うと、
「お忙しいところ悪いですがね、こちらとしてもそんなところを掘り返されては困るのですよ」と言い返して来た。
「これは私の仕事にとって大事なことなんだよ」
「あなたの仕事場はガアチウルグでしょう。こんなところで掘ってないで、そちらの採掘場でお願いしますよ」
どうやら議論は永遠に平行線を辿りそうだったので、仕方なくその場は私が引く事にした。
まったく、これだから凡人は困るのだ。
明日はウルグを変わる事にしよう。
そんな折、ひとりの男が私を訪ねて来た。
「あなたはコークショルグとリムウルグに所属していますね」
私は訪問者に椅子をすすめ、彼が腰をおろすのを待ってそう言った。
「なぜそんな事がわかるんですか?」
予想通り相手は驚いたようだった。そこで私は、いつものように種明かしをしてやる事にした。
「まずあなたのその手のタコ、それは剣を扱うコークショルグ員特有のものです。私はこれまでにほぼ国中の人間の手を調べました。今書いている、「ショルグ、及びウルグが手に及ぼす影響について」と言う論文にも載っていますので、発表したら試しに読んでみるのも悪くないと思いますよ。
それにリムウルグについて。これはあなたがここに入って来た途端、部屋中に広がった潮の香りによってもあきらかですし、何よりあなたの着ているその服。リムウルグ長にのみ許されたそれを見れば、あなたがリムウルグ以外のどこでもない事は子供でもわかりますよ」
ああ、ここにあの忠実なワトスンがいてくれれば、「すばらしい!」と感嘆の声を上げつつ、天井に頭をぶつけそうなほど飛びあがってくれただろうに…。
だが私の依頼人は、「成る程。理由を聞いてみれば意外と簡単な事なんですね」と言っただけだった。
「まったく、種明かしなんぞするもんじゃありませんね」
仕方なく私はその言葉に苦笑してみせた。
「さて、ところで私にご用と言う事ですが、なにか事件ですか?」
その言葉に依頼人は居ずまいを正すと、「ええ、実は…」と切り出した。
その彼、リムウルグ長ジェフ・ジョンソンの言葉によれば、先日奥さんの誕生日プレゼント用に買って来た太陽の鏡が、アイテム庫から消えたと言う事だった。
「とにかくその時の事について、なるべく細かく、たとえつまらないと思うような事でも構いませんから、話してみてください」
私は改めて椅子に深く腰掛けると、指先を山のかたちにつき合わせた。