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■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の彫刻…(20)

■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の彫刻を論ずる書 第六(2)

題が已に彼の國人の興味を惹くべく出來てゐるのは言ふまでもない。今なほリュクザンブールの彫刻室に備へつけられて、藝術を解すると解せざるとに拘はらず此の前だけは誰れでも素通りしないで立ち止まるといふ、言はゞ素人好きのする彫刻である。上を見上げて一心を凝らした顏には、非常な大決斷の威力が眼と口とに見はれて、殊に其の堅く結んだ口の廻りの筋肉には、強すぎはせぬかと思はれるまでの力が出てゐる。兩手を膝に突き合はせたのは顏の表情を補助するものと見るべく、曲げた首の角度、體のひねり、袴の和かみ、足の優しみ等は彫刻的技巧の興味の源となつてゐる。評家は此の作がかゝる題目のやゝもすれば陷らんとする弊、すなはち芝居氣、舞臺的といふ〓[#「こと」合略仮名]を脱し得て、無垢單純な田舎乙女の美しさを失はなかつた〓[#「こと」合略仮名]を稱へる。盖し一層多く寫實の精神に合するの謂であらう。



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*註1:題が已に
原本では文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。

*註2:リュクザンブール
「第二」の章では「リュクザンプール」との表記だったがここでは「ブ」となっている。原本のままの表記とした。なお、前註記のように、現代では普通「リュクサンブール」(フランス語では「Luxembourg」)と表記される。

*註3:彫刻
「彫」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tyou_horu.jpg
「刻」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/koku_kizamu.jpg

*註4:此の前
「前」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen_mae.jpg

*註5:素通り
「通」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。

*註6:強すぎ
「強」の俗字。旁が「口」+「虫」。

*註7:表情
「情」の正字体。「月」は「円」。

*註8:技巧
「技」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/waza_gi.jpg

*註9:評家
「評」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hyou.jpg

*註10:陷らんとする弊
「弊」の旧字体。「敝」+「廾」。

*註11:
「〓」は「こと」合略仮名。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/gouryaku_koto.jpg

*註12:脱し
「脱」の旧字体。旁が「兌」。

*註13:田舎
「舎」の旧字体。「人(ヒトカンムリ)」+「舌」。

*註14:一層
「層」の旧字体。「曽」が「曾」。

*註15:精神
「精」の正字体。旁の「青」の「月」は「円」。
「神」の旧字体。扁の「ネ」が「示」。

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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1

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2010/11/11 17:13
こんちは、今日危なく来れなくなるとこでした引越しでPC初期化

随分時間食いましたね見落とすとこでした・彫刻面白いねデーター^^

案外好きなんでね詳しくないけど有名なのだけ。しってますよ

今年も終わり近いですね・1ヶ月半ですね。どうします^^



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