Nicotto Town


日記ダイアリー徒然草


短編(3)

木の上にいる誰かが、銃を私に向けている。いや、違う、私の後ろの人物に、だ。背後の男が大声を出している理由に気付く。私と、私の仲間である(と思っている)、木の上の狙撃銃を持った人物に向かっていっているからだ。
 
でも、あの感じだと、私にあたってもいいと思っているようだ。そりゃあ、私は仲間でもなんでもないけど。

 木の上の人物を思いっきり睨みつける。苗字を口ぱくでつげ、目で、

「私を殺したら、どうなるかわかってんだろうな、この野郎」

と言った。どうやら、通じたようで、銃を下ろした。

 ほっとした。後ろからも前からも狙われるなんて、たまったもんじゃない。背後の男にも、その姿が見えていたようで、息をつく音が聞こえた。

 厄介なのは、後ろかもしれない。どうやらこいつは、組織に加入しているわけでもなさそうだ。ということは、私を殺したときに、どうなるかなんてどうでもいいだろうし、まず予想できないだろう。つまり、木の上にいた奴らの仲間じゃないとバレた途端、私は利用価値がなくなるわけだ。次からは、不要な言動はよしたほうがいいだろう。

 背後の男は、銃が引いた事によって、今度はあからさまに奴らに向かって言った。

「俺は、爆弾を持っている。少しの衝動でも、爆発するようにした。俺がもし撃たれたりして、倒れたら、アレもこの子も、木っ端微塵になるぞ」

 これでは、手が出せない。なんて迷惑な爆弾野郎、心の中で呟いた。

「歩け」

 銃で背中をつつかれて、言われるままに歩き出した。

 助けを呼ばずに、生還すること。木の上の奴らの仲間だと思わせること。これを守り通さなければ、わたしの明日はない。

 私がたてになる形で、移動をしていく。私は、未だに背後の人物の姿を確認できずにいた。




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