寿退社したＡさんというまじめな女性がいました。
ボクとは、あまり交流がなかったので、
彼女もボクのことをよく知らなかったのでしょう。
それは彼女の送別会の日のこと。
彼女は、花束をたくさんもらっていました。
偶然にも帰る方向が同じなので、彼女といっしょに帰ることになりました。
東横線の渋谷から横浜行きです。
この電車、結構混むので、彼女の花束が潰れないようボクがそれを持ち
両手で高く上げ満員電車に乗り込みました。
電車が動きだし、ボクは、彼女を笑わせようと、こう云いました。
「東横線って、痴漢が多いンだよね。」
「えっ、そうなの？」と、Ａさん。
「でも、今は、両手あげてるから大丈夫だけどね。」と、ボク。
　Ａさんは？な顔。しばらくして、
「えー、けんじさんって、そんなことしてるの。」と、どん引きの彼女。

だめだこりゃ。

ボクがよくやる悪ふざけに、バイセクシュアルを装うというものがある。
これは、ホントくだらなさすぎて、ジョークは通じているとボクは思い込んでいた。
「けんじさんって、どんな人が好きなの？」
「いやー、オレ両刀だからねー。」とか
「○○くんは、ボクのほもだっちだから。それを認めてもらった上で、
付き合ってくれないと。」
とか、くだらないことをひたすら云うのだ。
まぁ、恋愛話をかわすためのボクなりの常套手段でもあったのだ。
そんなことを、すっかり忘れていた、とある忘年会のとき、
６０歳くらいの年輩のお客さんから、お酒を注がれながら、
「いやー、しょうがないよ。それは、神様が決めたことだからねー。」
「はぁ？」と、意味がわからない私。
するとその人は、あたりをはばかるように、
「両刀なんだって。」
酒を吹き出す私。

だめだこりゃ。