Nicotto Town


-full coller program-


機動戦士ガンダム 公国の威信19

漆黒の闇を切り裂いてティターンズ船籍ロンバルディア級戦艦
ニフルヘイムが、その禍々しい姿を現した。
赤紫の船体には、闘争心を掻き立てるヒビの入った頭蓋骨が描かれていた。
無数に連なる砲門の煌きは死へと誘う篝火か…。
それを、右遥か前方に見ながらレイリーは、マライタ島のクレーターに
埋もれたゲルググの機内でスマートライフル照射の最終チェックを進めていった。
両隣には1機ずつリックディアスが、同じようにして出撃の準備を整えていた。
レイリーは、自分が作戦の起点として動くという、
今までになく責任重大な任務のプレッシャーにに押しつぶされそうだったが、
それでも、必死に前を向いて戦いへの意思を強めていった。
そして、うつむきながら深呼吸を一つして、ゆっくりと顔を上げた。
そして、ゲルググのモノアイを点灯させると、
あたりの地形の詳細に分析された姿が映し出された。
そして、左腕につけた迷彩柄のスポーツウォッチを見た、“11:59”
ゲルググはブースターを吹かして10mほど上昇し、
バックパックの右側に二つ折りにして据え付けてある
スマートライフルを外し、伸ばして連結の具合を確認した。
状態が良好だと確かめられ、照準をニフルヘイムの左舷側滑走路
の付け根のあたりに狙いを定め、意識をその1点に集中させていった。
そのとき、時計のアラームが小さく鳴った、“0:00”
レイリーはヘッドセットのマイクに向かってつぶやいた。

「レイリー、ミッションプランを開始します」

そして、コクピット左側のスティックの赤いトリガーを引き絞った。
紅い稲妻が獲物に向って襲いかかり、その鎧を噛み砕いた。
ニフルヘイムの左舷滑走路は轟音とともに崩れ落ちた。
レイリーは再び射撃の準備を始めた。そのためにコクピットの計器類をいじくっていると、
ニフルヘイムの右舷滑走路から昆虫を思わせるMS、
ガプスレイが立て続けに3機、飛び立った。
それを見てゲルググはライフルを2つに折って、バックパックにすえつけると、
両フクラハギのホルスターから機関銃を外して手に取った。
MMP80/90マシンガンは旧ジオン軍が大戦の末期に量産していた武装のため、
威力は低かったが、取り回しやすく、信頼性が高い武装であった。
それを両手に構えたゲルググは、リックディアスとともにニフルヘイムに向っていった。
最後の戦いが、今、始まった。




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