ますむらひろし詩画集アタゴオル
- カテゴリ:マンガ
- 2009/03/10 00:26:19
ひさしぶりにひらいただいすきな詩画集より。抜粋。
from[ますむらひろし詩画集アタゴオル](1992.3 偕成社刊)
【いえろう・むうん1989】
斜角月光石を発見。
ただちにグラスを差し出し
満月を念願する。
やがてハラハラとこぼれるかけらは
みんな光の粒になって
喉のなかでプチプチ弾ける。
そして、あたりは、
すべて月光の支配下となり
僕らは月光分子となる。
【宇宙回帰の水巡り1984】
激しくはじける光を、捕獲網で捕まえて
宇宙の秘密をふくんだスープを作ろう。
そして、夜更けの真ん中の草はらで
ゆっくり静かに飲んでしまうのだ。
やがて《遥か向う》が、渦を描いてやってくる。
ボロボロに錆びた僕の目玉を、取り替えるために。
【触われない正方形1979】
遠方より、送られてきた形。
ぼんやりとした瞬(またた)きの欠片(かけら)。
時間が溶けてしまった辺りからやってきた
決して触れられない正方形。
だが、このなかには
確かに 誰も知らない遠方の秘密が
入っている。
【月の光の角砂糖1988】
すべての旅人の背には、透きとおる羽根がある。
雨と大地の引力でやがては折れてしまうその羽根を
癒してくれるのは、
三日月しか見えない瞳に浮かぶ月光製の角砂糖。
そのひとかけらかじれば
旅人の舌に淡く穏やかに、歳月は浸透しいく。
【ATAGOUL】
森の奥に生える永遠の巨木が
「君は 始めは なにも持っていなかったんだよ」と
風のなかで笑っている。
その声が、通っていく旅人の背を軽くしていく。
【風の気分1979】
森から森へと、夜の隙間を歩きまわり、僕らはガラス箱に、自然がくれる<静寂(しじま)>を拾い集めていった。
そして、風の紐たちと木の葉たちの交感を劇場にし、風の言語を観察した。
そうして夜の底で、乾いた音の枯草を踏みしめながら、僕らは果てしなく風に
酔い続けたのだ。
【花粉のような旋律が1987】
花粉のような旋律が 降りそそぐと
その音のこまやかさのなかで
眠り落ちてしまう。
しかし それは眠りではなく
螺旋(らせん)の渦の中を
意識がゆるやかに下降していくのだ。
そして、花粉のような旋律は
こぼれ落ちていくことの秘密を
教えてくれる。
【皮膚は銀河を1989】
大きな植物の種を、両手で抱え
瞳を閉じる。
そして手のひらに伝わる種の感覚を
感じている。
皮膚は手のひらと耳の二極で交信を始め
僕の皮膚はこの広い銀河を
包みこんでいることを、感じた。
【ツララで眠れば1986】
アタゴオルの冬の楽しみのひとつに、カナ氷採りがある。
しんしんとした雪原に降りそそいだ月の光が、カナ氷洞窟のツララの中に三日月形に結晶している。
これを取り出して壜につめて、暗室に寝かして置く。そして真夏の蒸し暑い夜が来た時に、炭酸水に入れて呑むのだ。
やがてヒンヤリとしてきて眠りにつくと、きまって真冬の奇妙な夢を見てしまう。
ーーーーーーーーーーーーー
極上の夢が寄せてきました★彡
銀河鉄道の夜とますむらひろし氏は残念ながらリンクしてなかったけれど
だからこそむしろ、賢治と同じ世界観を感じられたのは嬉しいかな。
今度探してみます(^^)<絵本
羽根がまだあるなら、まだ旅人として歩いていけますね。
ケンジの銀河鉄道の夜のアニメーションはますむらひろし絵、ほそのはるおみ音楽、でした。ますむらひろしは、ケンジの童話をコミックにして数冊の絵本にもしています。繊細だった感性を覚えている方に、ぜひふれてほしい作品世界です。透きとおる羽根、みえますよ(-_-)~...
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4030161901/exblog-22?dev-t=DJUT61OBEY1IR%26camp=2025%26link_code=xm2
とてもすてきな絵本ですよ。
みみずくは 【月の光の角砂糖1988】 がいちばん好きです。
この背にも透きとおる羽根はあるかしら?
まだ折れていないかしら。
絵の方も見てみたいですね〜
でもこの詩を読んで勝手に想像するのも楽しかったデス^^
特に【風の気分1979】がすごく想像力を駆り立てられました♪
私も今日は風と会話してみようかな☆